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動かないボーナス【毎週ショートショートnote】

「我々は、今季、充分な働きをしたはずだぞ」

俺は、労働側の代表として、雇い主に詰め寄った。

「もちろん、とてもよく頑張ってくれたと思っているよ。しかし、君たちの要求は少々、高すぎてだな。こちらにも用意というものがあって……」

雇い主の首は、なかなか縦に動かない。

「飛ぶ鳥を落とす勢いで結果を出したのにもかかわらず、ボーナスの支給内容が前回と変わらないというなら、俺たち一同、黙っちゃいないからな」
「ま、待て。わかった、検討しよう」

「さすがの迫力でした、先輩。これでようやく上層部も動きそうですね」
「ああ。もういい加減、飼いならされたハト派の連中では頼りにならなかったからな。俺が動けば、こんなものさ」
「ついに、ずっと動かなかったボーナスが動くんですね」
「ああ、あれだけみんなで頑張ったんだ、取りっぱぐれがないようにしないとな」
「かっけーっす、タカさん!」

後日、俺たちの要求どおり、猛禽類の仲間たちには生きたネズミが支給された。

(410字)


※ #毎週ショートショートnote への参加作品(初参加)です!こんな感じでいいのかしら。


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