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秘密警察を宣伝してみる【毎週ショートショートnote】

「ご職業は?」
「秘密警察です。祖国のために暗躍しています」
「普段はどんなお仕事を?」
「先日はテロ計画の情報を受けて、反政府の過激派と思われる一派を一網打尽にしました」
「確実な証拠を押さえたんですか?」
「いえ、我々のモットーは『疑わしきは粛清』ですから、少しでも怪しい者はもう根こそぎ投獄しましたよ。大変でしたが、やりがいはあります」
「素晴らしい仕事ぶりですね」
「ええ、この国の秘密警察は、非常に優秀です」


「――無実の父を牢屋に入れやがって! 覚悟!」

またか。
先日のテレビ放送に出演させられ、秘密警察なのに顔も職場も割れてしまったせいで、命を狙われっぱなしだ。生きた心地がしない。

「出たな、不穏分子の残党!」
「貴様も逮捕だ!」

同僚は、そんな私を囮に使い、襲撃者を返り討ちにしていく。

「……バレてるんだよ、お前が敵国のスパイだってことは。だからこれは、裏切者の有効活用なのさ」

わが同胞よ。
この国の秘密警察は、非常に優秀です。

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