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夜からの手紙【毎週ショートショートnote】

深夜の窓辺に、一羽のカラスが降り立つ。足には、潜入工作中のスパイからの定期報告が結わえつけられている。

“こちらは『常闇の暗夜』”

……毎度思うのだが、この大仰なコードネームはどうにかならないものか。

“状況が著しく悪化した”

おや、異変発生か。今回予告なく暗号文のパターンを変えたのは、危険を察知してのことか。

“行きつけの食堂の定番メニューがなくなった”

……そんなことかよ!

“アジフライ定食が失われた。甚大な損失だ”

知らんわ!

“早急に新鮮な魚の輸送路を確保する必要がある”

完全に私事じゃねえか。

“余談だが、別の組織からもスパイが潜入している模様”

いや、そっちのが重要だろ!

……と、再び夜空からカラスの羽音が。
何だ、緊急の連絡か?

“こちらは『暗黒の闇夜』”

……あっ!
こっちがうちのスパイじゃん!
名前が紛らわしくて気づかなかったよ!
まったく、さっきの奴は何処のポンコツスパイだよ!

“至急、アジフライ定食を確保されたし”

お前もかい!



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