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アラサー、着物着るってよ〜不満編〜

着物を着始めて、所謂「着物警察」には今のところ遭遇していない。
それどころか褒めてもらえることも多く、私ももっと気軽に、不審者にならない程度に色んな人を尊敬したり褒めたりしたいと思っている。

しかし、着物関係で何となく嫌な気持ちになることもある。

すれ違う人の視線とか、そんなものではない。
着物屋の店員である。

普段はリサイクル着物や通販を利用しているものの、着物をクリーニングに出すなどファッションビルなどに入っている大手着物屋を覗くことや小物を購入することもある。
どの店でも小物一つ買うだけで住所を書かせるのは本当にやめて欲しい。
だが、それ以上に気軽にシャネルのコートのような値段の着物のローンを組ませようとしてくる店員は本当にやめてほしい。

私もよく行く店舗があるが、反物や帯を可愛いですね、なんて言ってみたらすぐに電卓を叩き60回までローン組めます!みたいな人が急に横から出てくることがある。
しかもそれがお店の経理とか言い始めたりするので大変だ。

店員が怖くて着物に挑戦できない人というのはとても多いのではないだろうか。
もちろん、商売である以上売らねばならないのはわかる。
でも、着物で生活や仕事をしているわけでなく、普段は会社勤めだったり学生が興味を持って勇気を持って着物屋に行ったら数十万の着物のローンを組ませようとするのは悪徳商法以外の何者でもない。

洋服で考えてみればわかる。
ファッションビルの1店舗、可愛いワンピースがあると惹かれて眺めていたら
「ご試着もできます」
店員が声をかけてきたので試着してみた。
試着室で値札をみたら30万円、試着するのもドキドキする。
「如何でしょうか」
「少し考えます」
絶対に買うと決めていたならともかく、フラッと観に来たレベルで30万円即決はセレブだ。
そこで店員が畳み掛けるように
「伝統の技法で作られていて」
「本当であれば倍額はして」
「ローンは60回まで組めますので是非」
買わねーよ、と言いたくなる。
慣れないうちの着物なんてパーティードレスと同じようなもので、着ていく場所を考える。
羽織はカーディガンみたいな扱い、と言えども会社に羽織なんて着ていくこともできやしない。

気が弱い人や断るのが苦手な人は、また来ます、考えます、今回はちょっと遠慮します、なんて言えないことも多くあるだろう。
そして現在、着物業界はそういうものだという認識が普段着物を着ない人たちに蔓延している。
着物が衰退した理由なんて、現代の生活様式に合わないからと一口に言えない。
合わなくなったから、じゃあどうするのよってところを考えなければならないのに、考える前の印象が悪過ぎる。
安いものやセットで揃えれば一式三万も掛からないのではないだろうか。
普段着てる洋服だって、下着から靴まで揃えたらそれ以上するだろう。
ボタンや背中のジッパーだって着るときにイライラするときもあるだろう。
それと同じように着物なんて着方が少し面倒なワンピースの様なものだ。

着物を着ること自体のハードルは、決して高くはないのだ。

着物は高いとか、勧誘がしつこいとか、ネガキャンの結果が周り巡って、着物に興味を持つこと自体の壁を作っている。
一生物、なんて言葉を使っても衣服は消耗品だし、日常で着る機会は作らなければ着られない人だっている。
折角の機会を潰しているのが、一番着物を着て触っている販売員だと思うと虚しさが襲ってこないだろうか。

幸いなことに、そんな大手の中でも担当してくれる顔馴染みの店員さんは、私の嗜好や方向性を理解してくれているので押し売りのようなことはしてこない。
でも、その後ろで電卓持ってうろついている経理の店員さんが少し苦手でたまにしか店内を見ることが出来ないのも事実である。
不満というよりも、愚痴編ではあるが、楽しく着られるのが一番だよねっていう話だ。

まあ、毎回新規店舗で住所書かせるのもやめたほうが良いと思うけどね。

#着物 #コラム #日記 #ファッション #和装 #和服

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