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月を射る(夢)



その日窓から赤く燃える月を見ていた。

2002年とあるから、今から20年も前のことです。
この日に書き留めたのも、5年ほど前の記憶を辿って思い出したもの。

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窓から外を見ると、月が太陽よりも明るく大きく、真っ赤に燃えていて何か異常なことが起きたんだとさとった。

その家は割と高台にあって、左右には山脈が見え、後ろも山に囲まれている。眼前には街が広がっていた。

月から炎が落ちてくる。
人々の驚きの声が聞こえる。街は騒然としている。
からすが騒いで、周囲を群れが飛び回り何かに真っ黒にたかっていた。

わたしは大きな弓を持ってきて、その月を射た。
大きな真っ赤に燃える赤い月、それは悪い月だからだ。
いくつか当たる。周囲も囃す。

月が血を流して苦しんでいる。
苦悶の声を表すように、からすが舞い、邪魔をする。
憎しみに体をよじって月はさらに赤く炎を燃やしている。
どれだけ討ったかしれないが、わずかに暗く、次第に光を減じてきた。
それでもまだ相変わらず燃えている。

こんな荒々しく悪意に満ちた月を見たことは一度もない。
いつも静かで冷たく、姿を変えながらも軌道は変わらず見下ろしているはずの月なのに、今は全身で憎しみをこちらに向けている。
あともう少し、という所で矢が尽きた。



調達しなければと家を出るあたりで目が覚めた。

こうして記録に残しておいたことで私さえ忘れていた過去がよみがえる。
追体験の追体験だ。
今思うに、矢を射るのは面白かった。
まるでリアルにゼルダのボス戦をしているようで。

何かネタはないかとメモをあさっていて発見しました。
病んでいたのかどうかなどという分析はなしにする。

完全に忘れていたあの日あの夢で見た間取りをはっきりと思い出せた。
おそるべしアスキーアート。




おわり



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