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欲情の種

肌の合った女が何人かいた。確かに肌は合ったが、そこにはその場限りの感情だけだった。ふとした時、肌の馴染む女が出来た。初めは他の女と同じだった。ある時、溶ける様な感覚がし、肌と肌が馴染み心地よい感覚に変わった。とても気持ち良く、今までの交わりがバカバカしくなる。女の虜になり毎晩肌を合わせていたら、馴染んだ肌から芽が出て来た。

気持ち悪い。そう思ったが、女があまりに大事にするので言葉には出来ない。次の日起きると本葉が出ている。気持ち悪い事にそれは俺の顔そっくりな葉だった。

言い忘れたが、芽は俺の臍から出ている。

日に日に俺の顔そっくりな葉が茂り、俺は仕事を辞めざるをおえなかった。こんなの臍から出して、仕事など出来はしない。

10月10日たったある日、花が咲きその一月後に種から子供がうまれた。彼女そっくりの可愛い女の子だ。

俺は心底ゾッとしたが、仕事を辞めてしまっていたので女に相談する。

「何言ってるの?貴方のお臍から生まれたんだから育てなきゃ。」黙る俺はもう全てから解放されたい気持ちだった。

「ねぇ本当に私の子供なのか証拠も無いし、貴方が遊んでいたのは知っているのよ。」そう言って、愛おしそうに女そっくりの子供を抱いている。

俺は今ずっと恐怖の感情の中にいる。


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