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他人と映画を観るということ

Amazon Prime Videoを友達などと同時視聴できるサービスが話題になっていた。

映画やドラマをリアルタイムで共有しながら、チャットであれこれ感想を言い合えるというもの。

実はNetflixでも『Netflix Party』というのを使うと、(非公式機能だけど)同じような楽しみ方ができるということで、以前試したことがある。観たのは『ベイビー・ドライバー』。圧倒的なカーチェイスと音楽に「うおおおおおお!!」とか「最高だぜ!!」とか言い合っていたら、約2時間の上映はあっという間だった。

ふだん自宅でひとり映画をするときは、その作品の面白さに関わらずどうしても視線や関心があちこちに飛んでしまう。LINEの返信をしてしまったり、2杯目のコーヒーを淹れにキッチンへ向かったり、あ〜あそこ掃除しなきゃな、面倒だなとか考えたり。

もちろん、映画館の場合は全くそんなことはない。スマホの電源は切っているし、なにより暗い密室空間なので映画以外に関心を向ける対象がほぼない。

その暗さゆえに眠くなってしまうこともあるんだけど、それでも映画館で寝落ちして見逃した、なんてことはほとんどしない。というか、しないようにしている。

それはたぶん、周りの席に座っている客に「え、あいつ寝ちゃってるよ…ぷぷぷ」と思われたくないからだ。わざわざ課金してまで映画館に足を運んだのに、ろくに映画も観ずに昼寝をかましてしまうなんて。そんな姿が見つかれば、確実に周りの映画ファンからヤバい人認定されるに違いない。いや、もはや人として扱っていただけるかも怪しい。

つまり、僕の心の中に住んでいる「プライド守るくん」がせっせと働いてくれている結果、映画に集中できているといえる。

『Netflix Party』のときも、おそらくある種の面子を保ちたいという意識が表れていた。映画が終わったら確実に感想合戦に入る。その流れに遅れをとってはいけない。だからこそ、ひとりで観るときよりも集中できたのだと思う。

なんだかNetflixごときに自分の見栄をつつかれた感じがして少し癪な気持ちにもなったけど、やっぱりエンタメは他人と共有してこそ楽しいよねということもあらためて確認できた。




「プライド守るくん」って誰ですか?

スキをしてくれるとたまに韻を踏みます。