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福本作品初の女主人公・マミヤが放つ魅力とは

2019年より近代麻雀にて『闇麻のマミヤ』の連載が始まった。福本伸行氏の代表作といえば、麻雀漫画の金字塔『アカギ〜闇に降り立った天才〜』がある。本作はそのスピンオフであり、アカギの魂を持った主人公が猛者相手に暗躍する姿を描く。

スピンオフといえど、いわば正式な続編である。その証拠に、作中では『天 天和通りの快男児』での通夜の風景や、アカギの友人である野崎治がパートナーとして登場している。ファンには待望の新連載であるが、その主人公が私の中で物議をかもした。


令和の賭け麻雀界に新たな主役が現れる

1999年、伝説の博打打ち・赤木しげるがこの世を去った。それから20年の時がたち、令和となった現代にひとりの天才少女が現れる。賭け麻雀を生業とする女子高校生・マミヤは、特殊ルール「闇麻」をもちいて悪にまみれた猛者たちの相手をしていた。次々と起こる厄介ごとを解決するべく、凄腕雀士・マミヤの牌が今日も鳴くーー!

福本先生の待望の最新作。「女主人公だって!?」と衝撃を受けたのは私だけではないだろう。その理由は、福本作品には女性が数えるほどしか登場しないことにある。あの人気作「カイジ」だって、カイジに恋する美心とカイジと同じコンビニで働いていた西尾くらいしかいない。『賭博覇王伝 零』にいたっては、エリザベス・ジュンコ(れっきとした男性だけど……)しか見当たらない。それほどまでに男性しかいないことを強調させてもらう。

満を持して初の女主人公となったマミヤだが、いったいどんな人物なのか。


勝負ごとに関してはさすがとしか言いようがない

短パンに、肩につかないくらいの外ハネヘア、大事な勝負にはちょっとばかり遅刻するごく普通のボーイッシュな女の子だ。道端のおじいちゃんをメロメロにするほどには容姿もいい。一人称は「俺」で明るくハツラツとした性格は、誰が相手であろうと物怖じしない大物感がある。そのため、賭け麻雀の界隈では「闇麻のマミヤ」と呼ばれ、一目置かれる存在になっている。
下ネタをあけすけに話すなど、破天荒なところがたまにキズ……いや魅力である。

目を惹くのはやはり天才的ともいえる勝負強さだ。「カイジ」に登場するのだが「目を覚ませ・・・!勝つことは偶然なんかじゃない!!」という言葉がある(ちなみに作品の中で私が最も好きな言葉だ)。運を天に任せず自ら勝ちを掴み取りに行く姿は、まさに人を魅了するカリスマ性がある。さらに特筆すべきはその観察眼。第1話「奴隷」から対決する誰もが強欲な性格と敬遠する鬼頭完治を、根は生まじめな人間だと見抜いたのだ。相手の本質を見極める鋭い観察力は、マミヤの武器であろう。

加えて、苦境であろうとあきらめないのも強さの一因だ。一度勝負に出れば、どんなに厳しい局面でも退こうとはしない。決してあきらめずに粘り強く勝機を探る姿勢は、ほかの福本作品の主人公に通ずるものがあった。そして、他人の懐に入るのもうまい。あれだけ手に血を握る闘いをした相手でも、内心で「おもしれえ女」と思わせてしまう。彼女の勝負の一挙一動は、敵をも魅了してしまうようだ。

かつて福本氏は、「いつか女の子がギャンブルで男を叩きのめすような漫画を描いてみたい」と語っていた。初の女主人公として選ばれたマミヤは、今の時代にぴったりなヒロイン、あらためヒーローといえるだろう。麻雀がわからなくても楽しめるので、ぜひ安心して手に取っていただきたい。

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