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だれの意思でもないという怖さ

私が長年感じていた資本主義に対する違和感について、明らかになったのでその記録です!

結論を先に言うと、私がいやだと感じていたのは個人の意思が排除されることと、だれの意思でもなく動いていることだとわかりました。


これに気づけたのは、クルミドコーヒーというカフェの店主である影山知明さんの著書『ゆっくり、いそげ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~』を読んだからでした。

まだ読んでいる途中なので全貌は見えていませんが、今回の内容は第三章の「約束」の数珠つなぎ(p.82~85)という項目から強烈に学びを得ています。

まずは一文を引用します。

ベンチャー企業の経営者も、ベンチャーキャピタリストの自分も、投資元企業の担当者も、そして実は投資元企業の経営者だって、一人として「個人としてはそのことを必ずしも強烈に望んでいるわけではない」のに、気がつくと誰もが「売上・利益の成長」に向けて働くことになっていくのだ。

『ゆっくり、いそげ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~』影山知明

ベンチャー企業の経営において〈理念に忠実だけれど儲かりそうにない選択肢A〉と、〈気持ちに嘘をつくことになるけれど儲かりそうな選択肢B〉があったとき、個人としてはAを後押ししたくても、投資家との「お金を増やして返します」という約束や、「高い運用利回りを実現する」という職業上の使命によって、「お金を増やすべし」という約束の数珠つなぎが成立する。

ベンチャー企業を選択肢Bに駆り立てるのはシステムだ、という内容が書かれていました。

個人の意思とは関係なく、各々の立場に合わせた行動が求められる。しかもそれが、誰かの明確な意思によるものではなく、なんとなくそうなってしまっている

そんな現象の具体例が書かれていて、「私が感じていた違和感はこれだー!!」となりました。


身近な例でいうと、私がカフェでアルバイトをしていたときの食品の廃棄。まだまだ普通に食べられるのに、営業時間が終わったらすべて廃棄。従業員が持ち帰ることは禁止されていました。

今でこそチェーン店でもフードロス削減のための動きが増えてきましたが、当時はフードロスに対して本社がどう考えているのかまったく見えず。

従業員の持ち帰りを許可したら、わざと多く作って余らせるのでは?みたいな懸念があるのかな、とかも思いました。やっぱりある程度の規模になると、統一したルールを設けないとなにが起きるかわからないよなぁ、とか。

でも、社員さんが全員「すべて廃棄するべき!」とは思っていないかもしれないし、もしかしたら経営陣も「もったいない、捨てるなら従業員に食べてほしい」と思っているかもしれない。

とはいえ会社単位でルールを決めるとなると、そこに個人の意思を反映させるのはものすごく難しいし、一律で持ち帰り禁止とするのが無難で楽だよなぁと…

理屈はわかるけれど、取りこぼしているものがあまりに多くないか?というか、一人ひとりが考えを持たないことが組織で生きる術みたいになっているのが私は納得できない。


話がずれてしまったような気がしますが、要は、私が望んでいるのは個人の意思が殺されないことだということです。

先日気づいた「心がある関わりを増やしたい」という想いにも通じるなと。

以前地元のケーキ屋さんで、高校生が50円だけお金が足りなくて「すいません、おろしてきます!」と言ったら、店員のおばあちゃんが「いい、いい、おまけ」と言っているシーンを見かけました。

それを見て私は、なんだか泣きそうになりました。「あぁ、いいなぁ」って。あったかいなぁって。

チェーン店ではそうはいかない。店員の一存でおまけなんてできない。そのこと自体が悪いわけではなくて、私が望んでいるのは個人の意思で判断できる環境だということです。

そして、チェーンのカフェの経営者も、50円足りない高校生を見捨てたいとは思っていないのではないか。個人としてはおまけしてあげたいと思ったとしても、大きなシステムの一部になると、それができなくなってしまう

システムがあるから安く利用できたり、どこへ行っても安定した味を楽しめる。それ自体はとてもありがたいことだけれど、同時に失われるものもある。


この感覚に光が当たり、言語化できてよかった。

どちらかが善でもう一方が悪なのではなく、それぞれに特徴や問題があるそれをわかったうえで考える自分が望んでいるもの、求めているものがなんなのかを理解する。それが大事なのかもなと思いました。

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『深い雑談』というものをやっています!

日々なにを考え、その日の出来事になにを感じたのか。そんな、人と話す機会はあまりないけれど、間違いなくあなたを形作っていることについて話したいときは、ぜひ私を思い出してください。

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