【第4回 試合の運用】僕が少年野球チームを作るなら。

「僕が少年野球チームを作るなら。」第3回はチーム全体の指導方針についてまとめました。
※前回の記事は以下をご参照ください

全員参加、全員出場が大原則

試合には出席者全員に参加してもらい、全員に出場してもらいます。
「同じ部費を払っているんだから」という以前に、チームメンバーなので全員が役割を全うする必要があると思います。

打席数、守備機会をなるべく均等に

年間や月間でスパンを区切り、全選手の打席数、出場試合数、守備機会(打球を処理した数ではなく、守備に就いたイニング数)をなるべく均等にします。
どうしても上手な選手、身体能力が高い選手は打席数が多くなったりセンターラインに固定したりしたくなりますが、
チーム全員でプレイする、ということを前提に能力の劣る選手でも内野を守ったり、上手な選手でも途中交代させたりします。
不満を持つ選手も出るかもしれませんが、意図をきちんと説明したうえで選手起用を行えば、チームで戦うとはどういうことかを理解してくれるはずです。

ランナーコーチやボール出しも順番に

全員参加には、いわゆる「雑務」も含まれます。
いつも同じ選手がボール出し、ランナーコーチを行うのではなく、エースピッチャーでもスタメンを外れていれば率先して雑務をこなしてもらいます。
いわゆる特別扱いは決してせず、全選手が平等に任務をこなすことが大切だと思います。

練習試合は「練習」に徹する

試合には公式戦と練習試合があります。
練習試合とは、読んで字のごとく「練習する試合」。
結果だけを求めず、成長につながる経験をさせます。

様々なポジションを経験させる

公式戦では不安で使いづらいポジションでも、練習試合なら思い切って起用できます。
普段あまり守らないポジションを経験することで、違う視点から野球を見ることができ選手にとっても新たな気づきが生まれることでしょう。

毎試合課題をもって臨む

たとえば、「今日は打たれてもいいからフォアボールを出さないようにしよう!」「三振してもいいから全打席強振しよう!」など、試合ごとにテーマ(課題)をもって臨みます。
ときには「2ストライクまでスイング禁止」「盗塁禁止」「クイックモーション禁止」など、さまざまな制約を持たせるのもいいでしょう。
チーム全体として1つの課題に取り組むことで一体感も生まれますし、公式戦で同じことが必要になったとき、冷静に対処することができます。

いろいろな「エキシビションルール」を設定してみる

練習試合では公式戦どおりのレギュレーションにこだわる必要はないと思います。
例えば、DH制を取り入れて全員打ちにしてみる、全イニングノーアウト一塁から始めてみる、投手は1イニングごとに交代させる、など、お互いの監督が了承したうえで独自のルールを設定してみるとよいと思います。

勝ちにこだわるが、勝ち「だけに」こだわらない

野球はスポーツである以上、勝負がついて回ります。
「勝たなければいけない」わけではないのですが、「全力で勝ちに行く」ことは大切です。
全力で勝ちに行くからこそ、課題や敗因・勝因が分析でき、次の練習や試合に繋がるのだと思います。

勝利至上主義の弊害

勝利至上主義、つまり「勝たなければいけない」という考えは、選手を使いつぶしてしまうことになりかねません。
例えば、絶対的エースがいれば連投させ、球数制限限界まで投げさせる。野球を始めたばかりの選手やあまり上手でない選手には出場機会を与えず、いつも固定されたメンバーで戦う、ということも起こりえます。
その結果として、レギュラーと控えの経験値・技術の差がどんどん開いてしまい、エースやレギュラーメンバーは疲労が蓄積してパフォーマンスが落ちる、故障してしまう、といった事態に繋がります。
勝つことが「絶対条件」ではなく、時には「勝てないかもしれないがこの選手に経験を積ませよう」といったように、勝敗と経験や成長のリスクバランスを常に考えて采配をすることが大切だと思います。

手を抜かないが、配慮は怠らない

少年野球では、力の差があるチームが対戦した場合など、かなりの点差がついたワンサイドゲームとなる場合があります。
もちろん、単純な打力の差、守備力の差といった側面もありますが、一因として盗塁がすべて成功するがゆえに走者が出たら二盗、三盗と「盗塁の無限ループ」が起こることも挙げられます。
プロ野球、MLBでは「アンリトン・ルール」(暗黙の了解)として、大差で勝っているチームはむやみに盗塁やバントをしない、といった考えがあります。
これについては賛否ありますが、力の差が明らかにあり、逆転される見込みが限りなく少ない場面では少年野球でもむやみに盗塁をすべきではないと思います。
もちろん、「全力を尽くすことが最大の敬意である」という考えも理解できます。しかし、盗塁をしないからといって決して手を抜いたりわざと点を取られたりするわけではありません。ただ、本来20対0の試合がたかだか15対0になったからといって「全力を尽くしていない」と批判されるべきではないと思います。
それよりも、相手チームの心象が悪くなったり、相手選手が野球を嫌いになってしまったりするリスクのほうが圧倒的に高いのではないでしょうか。
どのスポーツでも、試合が終われば敵味方は関係ありません(いわゆる「ノーサイド」)。野球少年たちに試合の楽しさを伝えるためにも、「オーバーキル」に繋がる盗塁の乱用は考えたほうが良いと思っています。

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