【第3回 指導方針】僕が少年野球チームを作るなら。

「僕が少年野球チームを作るなら。」第3回はチーム全体の指導方針についてまとめました。
※前回の記事は以下をご参照ください

「無理、無駄、無意識」の排除

選手には、「3つのム」を排除するよう伝えます。
「無理」「無駄」「無意識」です。

3つの意味で「無理」をさせない

まず第一に、決して無理をさせないこと。
「無理」という言葉を辞書で引くと次のように出てきます。
 1.道理に反すること。理由が立たないこと。
 2.実現するのが難しいこと。
 3.行いにくいのに、押してすること。
私は、すべての意味での「無理」を排除したいと考えます。
 1.「道理に反すること」をしない。→理由を説明できない練習はしない。
 2.「実現が難しいこと」をしない。→実現可能な目標を設定する。実力や年齢、体格に相応しくない練習はしない。
 3.「行いにくいのに、押して」しない。→怪我や痛みに耐えながら練習しない。
このように、「無理」を排除することは怪我の防止だけでなく、効率的な練習、選手に合わせた練習を行うことにつながるのです。

無駄を省くには伝統や常識を疑う

次に、無駄を省くこと。
同じように、「無駄」も辞書に頼ってみると「効果・効用がないこと」と出ます。
つまり、無駄を排除しようとすると、練習の効果・効用を考える必要があります。
「伝統的にずっとやってきているから」「慣習になっているから」「野球界の常識だから」これらは、いずれもその練習の効果・効用を何ひとつ説明していません。
伝統的に、常識的にやっている練習は、果たして効果のあるものでしょうか。
無駄を省くためには、一度立ち止まって伝統や慣習、常識を疑って見つめなおす必要があります。

意識することでうまくなる

最後に、無意識をやめること。
ここでいう無意識とは意識しなくてもできてしまう、いわゆる「ゾーンに入る」ことではありません。
単純に、「何も意識せず練習する」ことをやめさせます。
人間は、何かを意識しながら行動することで、はじめて行動にその意識が顕在化します。そして、意識して行動し続けることで、ようやく意識が無意識下へと浸透し、いわゆる「何も考えなくてもできる」状態となります。
つまり、何かを習得しようとするとき、それを意識しながら練習を繰り返すことで初めてそれを身に付けるためのスタートラインに立てるのです。
漫然と、何も考えず素振りを100回こなすよりも「トップの位置は?」「外角を打つためには?」など、1回1回意識を持って行う20回のほうがより有益な練習であると思います。

「命令、否定、上から目線」の禁止

また、コーチ陣(指導者)には「命令、否定、上から目線」の3つを禁止するよう徹底します。
(本当はもっと要求したいところですが、人間というのは常に意識しておける限界が3項目ぐらいだと聞いたことがあるので、3つにとどめておきます)

命令されると思考が止まる

少年野球チームを見ていて思うのが、命令口調の多さです。
急を要する用事ではなくても、「走れ!」「片付けろ!」「~~しろ!」といったように命令口調で話すことが非常に多く見受けられます。
子供に限らず、人間は誰かに命令されると、その瞬間に思考が停止します。
「やらされる練習をしてはいけない」とよく言いますが、「やらされている状態」にしてしまうのは指導者の命令口調です。
指導者は、命令ではなく提案(「~~してみたら?」「~~するといいよ」)、もしくは勧誘(「~~しよう!」「~~しない?」)が好ましく、指示する場合は必ず理由をつけて説明する(「××だから〇〇したほうがいいよ」)ことが大切です。

4つの承認、4つの否定

管理者、指導者に必要なのは「承認すること」です。
承認には、大きく分けて以下4つの段階があります。
 1.結果承認
 →結果を承認する
 (例)「テストで100点とってすごい!」
 2.過程承認
 →結果が出ていなくても、目標に対する過程(プロセス)を承認する
 (例)「1日5時間勉強すると決めてやり切れたのがえらい!」
 3.行動承認
 →今行動していること、行動しようとしていることを承認する
 (例)「ゲームせずに机に向かうの?すごいね!」
 4.存在承認
 →存在すること、存在自体を承認する
 (例)「今日も来てくれてありがとう!嬉しい!」
下に行くほど難しくなり、そして重要度が高くなります。

逆に、これらを否定することを決してしてはいけません。
 1.結果否定
 →結果を否定する
 (例)「コールド負けするなんてダメだ!」
 2.過程否定
 →目標に対する過程(プロセス)を否定する
 (例)「素振りするって決めたのにしてないだろ!」
 3.行動否定
 →今行動していること、行動しようとしていることを否定する
 (例)「遊ぶな!ちゃんとやれ!」
 4.存在否定
 →存在すること、存在自体を否定する
 (例)「帰れ!」「野球(チーム)なんてやめてしまえ!」
こちらも下に行けば行くほど重要度が高くなります。
つまり、存在否定はいつ、いかなる場合においても決してしてはいけない言動なのです。

上から目線の態度は委縮につながる

上司と部下、先生と生徒、親と子供など、社会では数多くの上下関係が存在します。得てして、立場が高い者が低い者に話すときには「上から目線」になりがちです。こと少年野球においては、選手は子供、指導者は大人と年齢差もあるためより注意が必要です。
「上から見られている」と感じてしまうと、何をするにも上の立場の者(上司や先生、指導者)の顔色を伺って行動します。
それゆえ、「怒られないため」の行動が主となり、主体的な行動(積極的なプレー)は生まれにくくなります。
上から目線と思われてしまう行動の顕著な例として、腕組み・足組みがあります。
大人が腕組みをして話したり、足組みをしてベンチでふんぞり返っていると選手(子供)は無意識下で「上から見られている」と感じてしまいます。
(たとえどんな優しい言葉をかけていても、です)
また、評価やアドバイスをすることも「上から目線」です。
評価をするという行動は上司から部下にのみ行われます。
「おまえは~~なんだから、もっとこうしたほうがいいよ」
というように、評価をされると「上から言われている」と感じてしまいます。
上手くなる手助けをするためにアドバイスは必要ですが、求められていないアドバイスはただの「上からのおせっかい」です。
指導者はアドバイスしたい気持ちをグッと我慢して、求められたときにだけ「提案をする」程度で構わないと思います。

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