雨木 ゆね

FF14をプレイ中のロールプレイヤー(RPer)。あまぎゆねと読みます。小説は中の人2…

雨木 ゆね

FF14をプレイ中のロールプレイヤー(RPer)。あまぎゆねと読みます。小説は中の人2人体制で書いてます。 (C) SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

マガジン

  • エオルゼア出向日誌

    FF14プレイ日記(RP成分MAX)です。ネタバレがたくさんあります。いわゆるなりきりプレイ(ロールプレイ/RP)を交えつつ世界観や雰囲気、生活を味わって過ごしたい。自分の創作キャラをもとに作っているので、日誌はその子目線のお話になります。

最近の記事

自分のこと呪術士だと思っている白魔道士〜その18(過去回想編)〜

 ベンがベハティについて知っていることは、存外少ない。  ふたりがエオルゼアに出向する数年前。その日はとても寒かった。淹れたコーヒーが片端から冷えてぬるくなるものだから、ベンは早朝の誰もいないオフィスで眉根に皺を寄せていた。  眉間の皺を一段深くしながら、ベンは手元の紙束――資料として上司から渡された文書を睥睨する。今日は職場に「ベハティ」という名のシャーマンが配属される。資料には彼女の経歴や過去、魔術適正、調査の結果判明した家族構成までもが一冊の資料にまとめて綴られてい

    • 自分のこと呪術士だと思っている白魔道士〜その17〜

      !ネタバレ注意! ※FF14 メインクエスト Lv17 「カッパーベルで消える夢」  剣撃が止み、咆哮が消え、命の音が立ち消えた。巨人の腹には、ベンが突き上げるようにして掲げた剣が深々と突き刺さっている。巨人の傷口から染み出した血潮が剣を伝い、柄を握りしめたベンの掌を紅に染め上げていく。熱い。命を奪ったとき、決まって指先に感じる熱さだった。  巨人の腹に突き刺さった剣を引き抜くと、眼前の巨躯が膝をつき、地面に倒れ伏した。坑道の床がその身体を受け止め、ずしんと重い振動が銅山

      • ゆうまずめ

         目を開けなければよかった。扉は歪み、天井がしなり、すべての窓が土で埋まっている。ありとあらゆる方向から押し寄せた土砂という土砂が建物全体を圧迫していた。血の臭いがすると思ったときには、土の波がすぐそこに迫っていた。倒れた人間の腹には土くれが覆いかぶさり、何人分かもわからない呻き声がいくつも漏れ聞こえてくる。まだ生きている。何人もの人間が土砂から這い出そうともがいているのだ。見知った顔がいくつも土くれに食い荒らされている。隣の女は首から下を土に飲み込まれていた。  「精

        • 自分のこと呪術士だと思っている白魔道士〜その16〜

           !ネタバレ注意! ※FF14 メインクエスト Lv17 「カッパーベルで消える夢」  ザナラーンの空は晴れ渡り、作り物めいた青を湛えて押し黙っていた。眩しいほどの陽光が降り注ぐ周囲に比べ、カッパーベル銅山の入口は薄暗い。入口を取り囲むように隆起した岩山が陰になり、陽の光を遮っているのだ。砂塵を巻き上げる風の音だけがいやに大きく聞こえる。  銅山の入口には顔なじみの冒険者、アリアヌが立っていた。歩み寄って挨拶をしたふたりを沈痛な面持ちで迎えた彼女は、目を伏せたまま悲痛な声

        自分のこと呪術士だと思っている白魔道士〜その18(過去回想編)〜

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        • エオルゼア出向日誌
          10本

        記事

          自分のこと呪術士だと思っている白魔道士〜その15〜

          !ネタバレ注意! ※FF14 メインクエスト Lv16 「タムタラの仄暗い底で」  ふたりを乗せたチョコボがグリダニアの街に着くころにはすっかり日が傾いていた。カーラインカフェの扉を開くと、一日の冒険を終え仲間と語らう冒険者の話し声に交じって、ラプトルシチューやマーモットステーキの香りが鼻先を掠めていく。カフェの西側に取り付けられた、天井まで届くほど大きなガラス窓から斜陽が差し込み、フロア全体を濃い茜色に染めていた。  カウンターでふたりを出迎えたミューヌに依頼達成の報告

          自分のこと呪術士だと思っている白魔道士〜その15〜

          自分のこと呪術士だと思っている白魔道士〜その14〜

          !ネタバレ注意! ※FF14 メインクエスト Lv16 「タムタラの仄暗い底で」  カーラインカフェでの食事を終え、二人はベントブランチ牧場方面へとチョコボを走らせた。目的地であるタムタラの墓所は、ベントブランチを更に南下した場所にある。  黒衣森はよく晴れていた。頭上を覆う梢の隙間から陽の光がこぼれおち、木の葉の香りを纏った心地の良い風が二人の髪を撫でていく。道すがら草綿を摘み、ベントブランチ牧場ではチョコボの好物であるギサールの野菜を一抱えも買い付けた。  「君のチ

          自分のこと呪術士だと思っている白魔道士〜その14〜

          自分のこと呪術士だと思ってる白魔道士 その13

          !ネタバレ注意! ※FF14 メインクエスト Lv16 「タムタラの仄暗い底で」  サスタシャでの出来事を報告したのち、二人は森の都・グリダニアに向かうことになった。グリダニアの冒険者ギルドからも、二人に依頼が入ったというのだ。 「エオルゼアに来たばかりの頃には考えられんほどの引っ張りだこじゃね」  グリダニア行きの飛空艇に乗り込み、座席に腰かけたベハティは、眼下に広がる黒衣森を見つめている。空には分厚い雲がいくつも寝転がり、気怠そうに広がってはあたりの空気を濃い灰色に

          自分のこと呪術士だと思ってる白魔道士 その13

          自分のこと呪術士だと思ってる白魔道士 その12

          !ネタバレ注意!  サスタシャ侵食洞を出て街に着くころには、あたりはすっかり暗くなっていた。ずっと暗い場所にいると時間の感覚が狂うと言うが、洞窟内で起こったことの濃密さのせいか、あっという間の出来事に感じていた。  調査の末に強敵と出くわし勝利はしたものの、ベハティとベンがやるべき事、気にかけるべき事はまだ山ほどある。結局のところ海賊とサハギン族との間にどのような繋がりがあったのか、具体的なことは何も分かっていない。  しかしサハギン族の縄張りのすぐ隣に「ヒレナシ」がア

          自分のこと呪術士だと思ってる白魔道士 その12

          自分のこと呪術士だと思ってる幻術士 その11 〜初めてのダンジョン後編〜

          !ネタバレ注意! 「こんな所にクァールが何故⁉︎」 クァール、という名に聞き覚えがあったのはベンの方だった。 「ここらの海賊が飼っていたと聞いたことがある。ここに海賊がいる可能性がより濃厚になったな」 リムサ・ロミンサ近辺を根城とする海賊は、商人から狼犬を買い付けては手懐けていたらしい。そのうちもっと強い動物が欲しくなった海賊は、珍しい大型の肉食獣・クァールに目をつけた……と、ベンに教えてくれたのはリムサ・ロミンサの治安維持隊、イエロージャケットの一人だった。 狼犬

          自分のこと呪術士だと思ってる幻術士 その11 〜初めてのダンジョン後編〜

          自分のこと呪術士だと思ってる幻術士 その10 〜初めてのダンジョン中編〜

          二人分の足音が、仄暗い洞窟の岩壁に反響していた。 剥き出しになった岩肌を、鉄製のブーツが踏みしめる。押し殺したように控えめで、ややゆっくりとした間隔で一定のリズムを刻む足音だ。一方、柔らかい革靴の立てる音はパタパタとせわしなく不規則で、急に止まったかと思えば、すぐに明後日の方向へと駆け出していく。 「この枯れた木みたいなのは?」 ベハティが岩壁の一部を指さして尋ねる。サスタシャ浸食洞の岩壁は、ぼんやりと光る珊瑚や植物によって所々が青白く照らされていた。 「珊瑚とい

          自分のこと呪術士だと思ってる幻術士 その10 〜初めてのダンジョン中編〜

          『エオルゼア出向日誌』のふたりについて

           『エオルゼア出向日誌』ってなあに いわゆるなりきりプレイ(ロールプレイ/RP)を交えつつ世界観や雰囲気、生活を味わって過ごしたい人(雨木)によるFF14プレイ日記です。自分の創作キャラをもとに作っているので、日誌はその子目線のお話になります。たまに小説風になったりならなかったりします。登場人物は主に二人。小説は二人の中の人が書いてます。  小説「自分のこと呪術師だと思ってる幻術士」 ※その1〜その9は再編集中のため一時的にひっこめてます  白魔道士のベハティ・ナイトのベ

          『エオルゼア出向日誌』のふたりについて