古城の謎と芸術家の苦悩 宮部みゆきが伝えたかったメッセージとは?
宮部みゆき「過ぎ去りし王国の城」を読みました。
振り返ってみると古城の謎に迫るのももちろん面白いですが、
登場人物たちの日常生活における苦悩と、それを変えようとする意志も描かれてて面白かったです。
1.あらすじ
主な登場人物は3人で、物語は受験を終えた中学三年生の真が古城の絵(スケッチ)を見つける
シーンから始まります。
その絵の中に自分のアバターを書き込み、それに触れると絵の中に入れることを知った真は美術部員の珠美と漫画家のアシスタントのパクさんともに古城の謎に迫っていきます。
あらすじはこんな感じ。ここから面白かった点を書いていきます。(ネタバレを含む)
2.現代で生きるあなたへ、宮部みゆきからのメッセージ
宮部みゆきはこの小説で、現代で生きる読者へのメッセージを送っていると思います。
その根拠は3人の人物背景にあります。それは、今置かれている状況に不満は特にない、楽観主義の真と家族や仕事の関係に満足していない珠美とパクさんという対照的な3人の人物背景です。
クライマックスで珠美とパクさんは古城の絵の力を使って現在の状況変えたいという強い意志を持って未来を変えようと行動します。
結局行動したものの、未来はほとんど変わらなかったのですが、珠美とパクさんの心理は大きく変わりました。未来に対して前向きになったのです。
このことから宮部みゆきは
不満があるのなら、行動しろ!
と言いたかったのではないでしょうか?
自分の置かれた環境を言い訳にせず、未来を変えようと行動すれば、たとえ未来が変わらなくても得られるものがあるよと。
3.本から感じたこと
現代の人たちは他人と比べられることが非常に多いと感じます。学校でテストの点数で比べられたり、SNSではプライベートの充実性を比べられたりしていますね。
しかし、自分の顔や地頭の良さなど、変えられないものを僻んでいつまでも言い訳をしているようでは変われません。自分の変えられる点に気づき、変えるための知識を身につけ、未来に向かって行動することが現代で生きる僕たちの幸福な生き方ではないでしょうか。
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