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夜の神社に行ったなら。Ayumiの歴史さんぽ~鎌倉編~

あなたは、夜の神社に行ったことがあるだろうか?

人がいない参道。
本殿に灯るほのかな灯り。
ひっそりと忍び寄ってくる闇。

夜の神社は、昼間とはすこし違った顔を私たちに見せてくれる。

そして私にとってたいせつな氏神さま――鎌倉の鶴岡八幡宮も、そんな神社のひとつだ。

いつも観光客でにぎわうこの神社は、夜になるとひっそりと静まり返る。

そして神社へ続く参道「段葛」の石灯籠には、一斉に灯りがともる。少し幻想的な風景だ。↓

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地元の人は、鶴岡八幡宮を「八幡さま」と呼ぶ。

「八幡さま」は、私にとっても、何よりもたいせつな場所だ。

物心つく頃から、何度も、何度も、参拝に来た氏神様。

いまでも私は、なにか判断に迷う度、この神社に足を運ぶ。
なにかを願うこともあれば、答えを求めてお伺いを立てることもあるけれど、

参拝が終わった時には、いつだって穢れが落ちたような、清々しい気持ちになれるのだ。


八幡宮に行くには、三つの鳥居をくぐらねばならない。

一つ目は一の鳥居。朱塗りではなく、石で作られた大きな鳥居だ。道路のど真ん中に鎮座しているそれは、江戸時代、4代将軍徳川家綱が寄進した歴史ある物だ。

二つ目は、二の鳥居。鶴岡八幡宮へと続く参道――「段葛(だんかづら)」の入り口に立つ鳥居だ。朱塗りのどっしりした鳥居は、昭和の頃再建されたもの。両側には大きな狛犬が鎮座している。
そしてここに来るならば、私はやっぱり夜をお勧めしたい。両側に並ぶ石灯籠に明かりがともるからだ。特に春は格別だ。春になると、一斉に桜が咲く。灯籠に照らされた夜桜は、私が毎年足を運ぶ大切な風景だ。

そして三つめは、段葛を抜けた先に立つ三の鳥居。文字通り神社の入り口だ。
鳥居の前に立つと、はるか奥の本殿がまっすぐに見える。神様と目が合っているような気持ちになれるから、私にとってお気に入りの場所だ。

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そしてこの三の鳥居をくぐった先に広がる空間を、私は端から端まで知り尽くしている。

ゆるやかに丸い太鼓橋に、ひっそりと建つカフェ。左右に広がる源平池。静御前が舞ったという舞殿に、その昔、源実朝暗殺の舞台となった大銀杏の名残。

ここで、たくさんの時を過ごした。
朝早く行って、流鏑馬のリハーサルに遭遇した日。
境内のお祭りを見に行った日。
受験に受かりますようにと、緊張しながらお願いに行った日。

中でも思い出されるのは、やはり夜に訪れた思い出だ。
近くのレストランで食事をした後。あるいは学習塾の帰り道に、真っ暗な「八幡さま」にお参りした子供の頃。
すこしドキドキしながら、私は夜の神社の「非日常」を味わっていた気がする。

あなたは夜の神社に行ったことがあるだろうか?

鎌倉を訪れたら、ぜひ夜の八幡宮の、一味違う雰囲気を味わってみて欲しい。

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