鈴木おさむ✖️田中圭の舞台『僕だってヒーロになりたかった』レビュー(ネタバレあり)
鈴木おさむ×田中圭 2度目の舞台
僕だってヒーロになりたかった
DVD化はしているものの、今は手に入らないこの舞台(高額で転売されている)
※ありがたいことに2022年に受注生産で再販になりました!!
先日舞台鑑賞を諦めた私のnoteを見てくれたフォロワーさんからDMが届いた。
ちょうど鑑賞後のタイミングだったらしい・・・
「DVDもポスターもおくるから」という優しいお声がけだった。
舞台鑑賞を諦めたときのnote
鑑賞後の喜びを負のオーラで包んでしまった罪悪感もありつつ、私そんなにも捨てられた犬みたいだったのかしら?と優しい世界にホッコリした。
その翌日に発送されたポスターとDVDが海を越えて我が家に届くころには、沢山の方々から寄せられた共感の言葉、そして色んな事を気遣ってくれるDMやメッセージに救われてすっかりと元気になっていた。
そして・・・私は念願の”僕だってヒーロになりたかった”を鑑賞することができたのです。
ありがとう女神さま。いやヒーロー。
私はあなたのおかげで元気を取り戻すどころか、ちょっとパワーアップいたしました。
お返しする前に記録としてレビューを残しておきます。
レビューと言う名のあらすじです。ネタバレしかないのであしからず。
僕だってヒーロになりたかった
公式ホームページ
インタビュー動画あり
おさむさんの言葉
僕だってヒーローになりたかった。世の中で、ヒーローになれた人はほんの一握り。
ほとんどがなれなかった人。だけど、みんな絶対誰かのヒーローなんだ。
そう思って、この物語を作ります。
2017年、夏、この物語を見た人が更に熱くなりますように!!
”芸人交換日記”以来6年ぶりとなる鈴木おさむと田中圭のタッグ。
芸人交換日記まとめ記事はコチラ
特典映像のインタビューで語られていたが、この物語は田中圭と舞台をという話が出た後に、圭さんをあて書きし、タイトルと2枚程度のメモをおさむさんが圭さんに食事会で見せたのが始まりだったらしい。
メモを渡された圭さんはタイトルを見て、笑っていたとか。
2017年、出演作は途切れないものの2番手の役が多かった時代。
僕だってヒーローになりたかった
このタイトルをみて複雑になった圭さんの気持ちがちょっと分かる気がする。
パンフレットで圭さんが語っている
小中正義についてのコメント
まさにそうだな!と思う。
正義は一見悪に手を染めたというように見えたり、人を蔑むような言葉を発したりするところもあるけれど、それでも応援したいと思うのは、とびっきりピュアで愛に溢れている人だからなのだろう。
おさむさんが田中圭で当てがきする役柄って、とびっきりピュアでちょっと危なっかしい程に愛の人なのかもしれない。
そして愛に飢えている人…
もしも命が描けたらの月人さんもそんな感じだった。
圭さんのインタビュー
舞台場対談記事
この時のズボン2020年もまだ履いてたよね・・・
物持ちのいい人気俳優・・・嫌いじゃないです。
舞台の上に階段のついたジャングルジムのような赤い鉄格子。舞台セットは多分これだけだ。
舞台セット
私はいつも舞台のDVDをみるときに、役者の熱量とこの殺風景な舞台セットについていけるか不安になるのだが、始まって10分もたたないうちにその世界観に引き込まれ、そこにはない様々な景色が見えるようになるのが不思議だ。
想像力を掻き立てられるとはこういう事なんだろう。
ストーリーと感想
小中正義
正義と書いてマサヨシを演じる田中圭。
冒頭からずっとほぼ一人喋りで、彼のこれまでを語っていく。
高校時代サッカー部のゴールキーパーとして甘いマスクで人気者になるも、
更に甘いマスクの1年後輩にポジションを奪われてしまう。
他のポジションなら別のポジションに切り替えることも出来るが、ゴールキーパーはそうはいかない。
才能ある後輩を、ただ横で見ていることしかできない。
これって俳優も同じなんだろうな・・・
ふと綾野剛くんに嫉妬していた話を思い出す。
過去に怪我でバスケを辞めた圭さんの事もよぎるよね。
おさむさんめ・・・酷なことするよね。
それにしても嫉妬心を抱えた演技、圭さんうまいなぁ。
この挫折がきっかけでプロのサッカー選手としての夢を諦め、この挫折を原動力としてのし上がることをきめた正義。
学生時代に会社を立ち上げIT企業の社長として世間に知られる事となる。
ここまでのエピソード、時折ほかのキャストが合いの手のように入ってくるも、ほとんどが圭さんのセリフ。
それはそれは果てしないぐらい長い。
物凄いスピードで話しながらも、コミカルな動き、感情豊かな表情で途中から長台詞なのを忘れてしまう。
声も擦れているように感じたが、当時の圭モバでかなり喉を酷使していたのだろうと分かる記述が沢山。
特に2017.07.18のブログ・・・喉の事をかいているのだが、役を生きているんだなとしみじみと感じるエピソードだった。
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(有料ブログゆえにこれ以上は書けず)
会社としては成功したが、なんでもお金で解決するような傲慢な正義を、秘書を務める真子(真野恵里菜)は心底嫌いだと感じていた。
真子に思いを寄せる正義だが、耐え切れず真子は会社を辞めてしまう。
そして一緒に起業した仲間たちも去って行く。
一人になった正義は真子の元を訪れ、教育係になって自分の人としてダメなところを全部言って欲しいいと頼む。
敬語で話す事、1日100回は人を褒める事…真子の指導により人温かい心をとりもどした正義。
そして真子と結婚。
順風満帆にみえたが、盗作の疑いをかけられ会社は倒産。
多額の負債を背負うことになる。
この辺りまででもう圭さんは汗だくで、もう顔中がピカピカ光るほど。
滴り落ちるという域を超えているのだ。
ちょっとこれでキスシーンとかあったらさすがに気まずいだろうなと思うぐらいに汗だく(謎の心配。キスシーンはありませんでした)
人生が一気に急落し、死が頭によぎる正義の元に謎の男が現れる。
防衛省官房長官の甲本(手塚とおる)が“日本のために日本を脅かす悪役“になるように声をかけてきたのだ。
手塚とおるさんとの演技・・・アドリブなのかな?
舞台上でイケメンの圭さんに嫉妬するようなそぶりのとおるさんが面白い。
圭さんもクスクス笑ってるし。
「良いなハンサムはCMがあって…俺にも一個くれ」とか・・・自由で楽しそうな二人の演技、心から舞台を楽しんでいるのが伝わる。
テロリストとして日本の様々なところを破壊するWake Up Japan(WUJ)という集団のトップ。
それが正義の使命。
これを受けなければ他の容疑で逮捕される。
そんな状況で、決して人を殺さない傷つけないという約束の元悪のトップとなる決意をした正義。
真子を幸せにする選択肢はこれしかなかった。
この後、真子のお腹に赤ちゃんがいることが分かる。
この役目を果たしたら、真子とお腹の子供と海外で幸せに暮らせる。
甲本の言葉を信じ、その日を夢見て与えられた使命を懸命に全うする正義。
日本中が彼に注目していく。
そんななか甲本の描くシナリオの続いての登場人物、自衛隊の龍馬(松下優也)が現れる。
正義を捕まえるべく現れた龍馬。
かつてサッカー部の後輩だったあの男にそっくりな男だった。
そこからは正義率いるWUJと、龍馬率いる自衛隊の戦いが始まる。
それはすべてシナリオ通りで、その姿をみる日本人たちに恐怖心を与え、そして龍馬(自衛隊)を応援させる。
そして平和ボケしている日本人に緊張感をもたらす。
それはある法案を通すためのシナリオだった。
この台本を受け取った時に手塚とおるさんが「ドキュメンタリー」と感じたらしいが、まさに・・・こういうマインドコントロールみたいな事って実は水面下で沢山怒っているのでは??と感じたりもした。
そしてこの物語の舞台は2021年東京オリンピック後の日本。
オリンピック後の喪失感に包まれた時代という設定だ。
これを今のタイミングで観られたことに運命めいたものを感じた。
これが終わればようやく真子とお腹の子供のところに行ける。
そんな喜びのなか挑んだ正義の最後のミッション。
そこで大きな裏切りにあう正義。
真子にかけた最後の電話での長台詞。
芸人交換日記を彷彿とさせる台詞も沢山あった。
「周りからはカッコ悪く見られることでも、それがある人にとっては輝いて見えることがある。
たとえ一億人から格好悪くみられても、たった1人愛する人に輝いて見える人生はなぁ…たとえ一億人から悪役だと思われてもたった1人にヒーロに見える人生は最高だぞ‼︎」
涙ながらに叫ぶようにまだ見ぬわが子へとかける言葉は、まるで魂の叫びのようで、泣くのを忘れて、ただただ引き込まれた。
彼の人生は悪役として幕を閉じたけれど、大切な人を守るために懸命に生きた正義は、確かにヒーローだった。
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僕だってヒーロになりたかった
手塚とおるさんがインタビューで語っていた
「嫉妬するぐらい作家演出家として鈴木おさむさんが田中圭さんのために書いたっていう感じがして物凄く感動した」
鈴木おさむという天才が、田中圭の為に作った作品。
こんな風にしてもらえる事自体、なかなかない事なのかもしれない。
それ程までに鈴木おさむは田中圭の才能に惚れ込んでいるのだろう。
おさむさんが、圭さんに書いたそのシナリオはヒーローになりたくて、なれなくてもがき苦しんで…でもその姿は確かに誰かの心に残る。そんなお話だった。
この作品を観た後にふとこの記事を思いだした。
「僕は小学校の頃、プロバスケットボールの選手になるのが夢でしたが、けがなどで挫折。母の勧めでオーディションを受けて俳優になりました」と告白。「でも、全然うまくいかないこともあって、辞めたくなりましたけど…」と振り返った。
さらに続けて、田中は「お芝居が好きという思いで続けてきて、今の自分がいると思います。みんなも挫折や悔しいこともあると思うし、嫌なら辞めてしまえばいいと思いますが、悔しいとか好きという思いがあれば続けてみてください。絶対、自分に返ってくるものがあるので」
挫折を乗り越えて、続けてくれてありがとう。
あなたは私のヒーローです。
関連記事やツイートなど
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松下優也くんと
この口大好き。ひょっこりはねた髪の毛も大好き。
田中圭大好き。
圭さんのお誕生日
喜んでいる圭さん・・・可愛いんだろうな。
01だったのね!いい役だったね。
こうやって共演者を大切にする圭さん。素敵だよね。
泣けるエピソード。
田中圭の背中を見て進んでいく五十嵐さん…頑張れ応援します。
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この口・・・好きなの(しつこい)
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出ずっぱり、動きまくり、喋りまくり、あなた本当タフですな~
ヒーローでした。。
真野恵里菜ちゃんの語る田中圭
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田中圭さんが楽屋でずっと喋ってる。
松下くんととおるさんが返事しない時は処理が私に回ってくる。舞台であんなに話すのに…
恵里菜ちゃんのブログ
セリフどれくらい入れました?って聞いたら
うるっとだよ、うるっと〜。
って言っていたのに立ち稽古初日で
冒頭の正義の長い説明セリフが
ほとんど入っていたのに驚きました。
圭さんのうるっとって一体なんなんだろう、と。笑
自分の芝居で不安を感じたことを伝えたとき
大丈夫だよー!大丈夫だから!
と、その言葉でとても救われました。
誰よりも忙しいのに疲れを1ミリも見せず
座長としてみんなをひとつにまとめてくれて笑顔にしてくれて
私たちはこの1ヶ月半そんな座長の背中を見て
ただがむしゃらについて行きました。
座長として、正義として、
このカンパニーのヒーローでした。
僕だってヒーローになりたかった。
この作品、内容はとても風刺を効かせたお話だったけれど、コミカルなシーンが殆どで、よく人がいう田中圭のコメディーの才能というのが遺憾なく発揮されていた。
途中なぞのダンス?ステップ?を踏まされたり、長台詞の末汗だくになっているのにさらに、舞台上でかなりきつい腕立て伏せをさせられたりと。
動きもかなり激しい上に尋常じゃない台詞量。
こんな芝居が出来る人は他にいるのだろうか。
鈴木おさむさんからの挑戦状を受けて立ち、これだけの素晴らしい演技をみせる田中圭。本当に恰好良い。
この熱演もっともと沢山の人に素晴らしさを知らしめるためにも、是非ともこちらも円盤の再販をお願いしたい。
責任もって買います宣伝します。
なにとぞ・・・・
鈴木おさむさんのブログ
田中圭君とは6年ぶり。
今回やったことで、自分の色んな蓋が空いた気がします。
また5年後。
僕が50歳になったときに。
圭君とがっつり舞台が出来たら、幸せです。
あれからまだ5年もたっていないのにすでに沢山の素敵な作品を見せてくれた二人。
田中圭24時間テレビ
先生を消す方程式
これからも斬新で素敵な作品を沢山見せてください。
そして・・・もしも命が描けたら
大千穐楽まで無事駆け抜けられるようお祈りしています。
いつも気にかけてくれて落ち込んだ時にやさしい言葉をかけてくれる女神様へ感謝をこめて・・・
雨音
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