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『月の満ち欠け』映画と小説を行き来して田中圭さん演じる正木の事をもっと知ろうと思った女の感想(ネタバレゾーン分けてます)

月の満ち欠け(ネタバレなしゾーン)


幸せな家族に突然訪れる悲劇。 

許されざる恋をしている恋人。

ここにかかわる人たちの複数の人生が愛の奇跡によって繋がっていく度に全身にゾワゾワと震えが走った。

大切な人を思って何度も泣いた。
悲しくて切なくて優しくて温かい。
そんな物語。
冬の始まりに出会えてよかった。

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ここまでが私の初見の感想。

小説未読、なんならあらすじも見てないぐらいのピュアピュアな気持ちで鑑賞したこの映画。
観た後の余韻がおさまらず、毎日リメンバーラブ♪リメンバーラブ♪と頭のなかが瑠璃色な日々。

観た後の余韻の中でもっと知りたい欲が深まり、小説も読んだので相変わらず長い長い文章になってしまったが感想を綴っていきたい。

それではここからはネタバレゾーンです。

映画を観てない方はどうぞ美しすぎる正木さんのいるミュージックトレイラーへ。
息を呑むほど美しい正木さん。
スクリーンで見る価値あるよね。



映画感想(ネタバレ)


誰もが羨むような幸せな家族が一瞬にして失われる。

妻と娘の事故の知らせを聞き駆けつけた小山内。

大泉洋さん演じる小山内の泣き崩れる姿が見ていられないほどに辛くて、自身に置き換えると胸が張り裂けそうだった。

正木瑠璃と三角のシーンは有村架純ちゃんってこんな色気あったのね…

ミステリアスで放って置けない、そんな一瞬にして消えてしまいそうな瑠璃に魅了された。

瑠璃を思う三角から滲み出るピュアオーラ。

目黒蓮くんは舞台挨拶でのフワッとした印象のままに三角としてそこに立っていて真っ直ぐで素直で可愛らしい好青年がバッチリハマっていた。

美しい映像や懐かしい音楽に引き込まれながらも、頭のパズルを組み合わせるのに時間がかかるタイプの私は時系列迷子となり、時折頭の中にクエスチョンを浮かべながら観ていたのだが、正木の登場シーンで頭の中のクエスチョンマークをボキボキとへし折った。

スーツを身にまとい振り返るその姿…
過去何度も観てきた、一目で恋に落ちる田中圭がそこにいた。

もう…振り返る正木さんと目が合った瞬間に「こんな高級感漂うスーツ姿まで拝めるなんて聞いてないよ〜!」と心の中が歓喜の渦で、ひょっとしたら前のめりになっていたかもしれない。

遠慮がちに探るように話す姿からのあの誠実なプロポーズ。

押し方も引き方もきっと何もかも分かっている。

そんな役を生きる田中圭が大好きです。

棚に飾られる結婚式の写真も良かったな。
出来れば動く姿を観たかった。

素敵なジェントルマン田中圭を見て幸せになった時間は束の間で。

テーブルの上に置かれた紙を見て「え?そんな!」と急に彼への心が離れてしまった。

それと同時にこの後吐き捨てるであろうあの言葉が脳裏に浮かび「この役よく受けたね流石田中圭」とも思った。

流石田中圭。
なんか漢字で書くとすごいよね。

こういった夫婦の問題は、ドラマや映画によく取り上げられるものだろうけども、紙切れ一枚で2人の抱える問題を見せられてからの

「とんだはずれくじだったな」

予告で見ていたあの言葉が子どもが出来無い女性に浴びせられる。

役とはいえ好感度がコロコロと転がっていきそうな設定である。

人気もあり仕事が絶えない。そんな状況になった今でもこういう役を引き受ける田中圭ってほんと凄い。

しかも若い頃からそのスタンスなのが誇らしいほどに格好いい。

ただ、個人的はここは紙切れ一枚で済ませずに、もう少し夫婦の歩みを見せていただきたかったなぁ。 
小説にはその辺りが鮮明に描かれていたからこそ残念である(小説のはなしはまた後で)

その後の正木さんの瑠璃の追い詰め方も恐ろしかった。

丁寧な敬語で淡々とにじり寄ってくるその姿。怖くて美しくて、ねっとりとした嫌悪感に包まれる。

どんな風にしたら自分を守れるのか冷静に確実に詰め寄ってくる。

瑠璃にとって掴んだら離さない食虫植物は正木さんだったのかもしれない。

そこからの怒涛の展開には度肝を抜かれた。

女性批判に暴力、暴言。
それだけでもじゅうぶん爪痕を残したはずなのに…

自らの足で、そして車でどんどんと近寄ってくる正木さんの怖い事。

あの悲しい出来事も、あの悲しい出来事も。

映画序盤で胸を張り裂けそうになったあのシーン…

「お前!」ではなく「お前だったのか〜!」ってね。

私を散々泣かせた元凶が私の愛する推しでした!という驚愕の事実。

いやはやなんとも言えない気持ちになりました。

それと同時になんかもうアレもこれも全部持って行った圭さんが誇らしくて妙な気持ちになったのも事実です。

そんなこんなで田中圭演じる正木に大いに振り回されたこの映画。

ラストのビデオのシーン良かったなぁ。
もう梢さん演じる柴咲コウさんの可愛い事…。
おのろけがこんなにも鼻につかないなんてね。
キュートすぎる梢さん。

そこは新幹線で、後ろの後ろの後ろあたりに人が乗ってますよ〜。という所が気になりつつも、梢さんの心に秘めていた想いに号泣でしたよ。

終わり方も可愛くてファンタジーの世界がフワッと広がって良かったよね。

てな訳で泣いて笑ってキュンとして驚き驚き驚いたこの作品。

スクリーンに浮かぶ大きな月に『田中圭』という名前が吸い込まれていくのを観ながら、ムビチケにも小説の帯にも載っていない田中圭さんがこれ程までに爪痕を残した事実に心の中でガッツポーズをしておりました。

前夜祭での鑑賞ということもあり周りにはキラキラした若い子たちがたくさん。

あの幸せもこの幸せも全部の原因だったのが私の推しだったという現実。

明るくなった場内で「うちの圭がすみません」
そんな気持ちになりスマホの待受画面をそっと隠しました。

こんな気持ちになったのは初めてでした。

映画館からの帰り道。

Twitter内でどんどん嫌われていく田中圭。

大ヒット御礼舞台挨拶などがあれば是非上映後に圭さんに登壇していただきたい。

ファンの私でさえも「うちの圭がすみません」ってなったんだもん。

圭さんどんな風に出てくるんだろう。
想像しただけで可哀そ可愛い。

ちょっとしたスパイスになるぐらいの役だと思い観に行ったこの映画。

余韻の中でどんどん正木さんへの想いが膨らんでいき、正木さんの行動について考えた。

瑠璃をとてつもなく愛していたから…?

瑠璃を失った後の、あの息を呑むほどのあまりに美しい切ない表情を思い出してはそう思おうとしたけれど、私にはどうしてもそれが瑠璃への愛とは思えなかった。

自己愛。

離婚をしなかったのも、小山内瑠璃のなかの正木瑠璃をすぐに見つけたのも(この部分についてはあまりに気づくの早すぎて…エスパーみたいになっちゃったから小説のあの描写を入れて欲しかったな…小説の話はまたあとで)

全ては瑠璃への愛の深さだったのだろうか。

自己愛?もはや自分も愛してない?

生きていく上で彼の進むべきレールが決まっていきそこから外れられなくなった。
それはきっと凄く苦しいことで…きっと哀しい人。映画の正木さんを見ながらそんな風に思った。

嫌いというより不憫で哀しい。
そんな印象だった。

正木さんの心をもっと知りたくて小説を読んでみた。

読んだ結果…
瑠璃の見解ではあるが瑠璃への愛も自己愛もどちらもあった事が記されていた。
1番スッと入ってきたのはパンフレットの圭さんのコメントだったけれども。

一言いうならば、小説読んでから映画観なくて良かった。

脳内再生ではもったいないほどのシーンがありすぎるやないか〜い‼︎

映画を見て正木さんにハマった人には是非是非小説を観ていただきたい。

映画以上にこの物語の核となる正木さんがそこにいる。


ここからは小説ネタバレゾーンです。

小説ネタバレゾーン


あぁ…しつこいけど小説を読んでから映画を観なくて良かった。

あんなシーンやこんなシーン。
脳内で再生した後で映画を観たら多分凄く悲しんだだろう。

小説では瑠璃と出会ってからの正木さんの人生がもっと鮮明に描かれていた。

その人生は切なくて悲しくて。
完璧でいたかった男の人生が尊敬する人とのあっけない別れをきっかけに崩れていく。

崩壊していく男の半生を圭さんが演じるところもっと見たかった。

瑠璃との関係性も紙切れ1枚でプツリと切れたわけではなかった。

瑠璃と肌を重ねるシーンはなかなかにリアルで、夫婦間の温度差が伝わってくる。

愛のない規則的で強引な行為。
どんどん深まっていく溝。

あの美しい映画のなかで、田中圭と有村架純のなんともリアルな温度差のあるベッドシーン…
観たかったな。

田中圭さんを映画で使うのに脱がせないなんて勿体無いとすら思ってしまったのはきっと私だけではないはず。

すこし強引で頼もしかった夫が覇気を失い自分への興味や欲望も失っていく。

そんなとき三角に出会う瑠璃。 

私は映画の瑠璃よりも小説の瑠璃の方の家から逃げたい想いに感情移入できた。
ファンタジー要素をギュッと現実に引き戻すようなリアルなシーンが映画では無くなっていたのがちょっぴり残念だ。

瑠璃を失った正木のその後の人生には映画に出てこなかった登場人物が数名出てくる。

希美という女の子とのエピソードは正木さんの人生にかなり大きな変化をもたらすのだけれど…映画はあくまで小山内さんのお話だもんね。

せめて正木さんが小山内瑠璃の中の正木瑠璃を見つけるきっかけとなった瑠璃の仕草のくだりだけでも入れて欲しかったな。
なんか映画では一瞬で気付いたから執念凄っ!みたいになっちゃったもんね。

いや!
やっぱり勿体無いから正木さんのお話でもう1本映画作りませんか?

小説の正木パートかなり面白かったんだけどな…正木が出てきたあたりから読むの止められなかった。

あの瑠璃を失ったあとスクリーンにでかでかと映った美しくて儚くて切ない正木さん。

あんな表情がもっともっと観られるはずだもの。

スピンオフ?正木の人生?
監督〜監督〜!需要あると思います。

正木さんの最後の描き方も好きだったな。
小説でも鮮明には語られていない正木さんの最後。想像するだけで涙が出る。

正木さんの事だからきっとまた生まれ変わって瑠璃の近くにいそうだけどね。

正木さんのパート意外にも、映画とは色んな場面が異なっていた小説の世界。

読み進めるうちに夢中になってあっという間に読めた1冊。

読んでみる価値ありだと思います。

映画のパンフレットには脚本や時系列の解説などもあり大満足。 
こちらはこれからじっくり読む予定。


なんだか熱くなって小説と比較して色々書いてしまいましたが、映画ほんとうに最高でした。
すでに2回観に行きました。
スキアラバもう一度観たいほどです。

そして映画化する際に正木さんの話口調を敬語にしてくださった顔も知らないどなたか。

本当にありがとうございます。

敬語の田中圭…大好きです。
ゾクゾクする田中圭をありがとう。








心を痛めながら正木さんを演じてくれた田中圭さん、ありがとう。

お前か〜!とはなったけれど嫌いになんかなれないよ。むしろ凄く好き!

これからも色んな役柄で私たちの心を振り回してください。


そして来世でもどうぞ宜しくお願いします。


雨音






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