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オードリー若林さんが「あちこちオードリー」で狙うNEXT「アメトーーク!」の座

「あちこちオードリー」が4月より水曜23時6分~23時55分へ引越しとなり、49分間の放送に拡大となる。

オードリーにおける「あちこちオードリー」の重要さは以前から触れてきたが、いよいよ本格的に活動の軸となっていきそうだ。

※参考:『2周目に入った「あちこちオードリー」と大人達がオードリー若林さんに抱く思惑」』

23時台のトーク番組と言えば、長きに渡り君臨しているのがテレ朝の「アメトーーク!」であり、当然今後比較の対象となる。

「アメトーーク!」でテレ朝バラエティを引っ張る加地さんと、最近テレ東からの独立を発表した佐久間さんという旧知の凄腕プロデューサーという対比もあり、関係性も面白い。

今回は「アメトーーク!」の歴史を紐解きながら、「あちこちオードリー」が今後取るべき方針を考えてみたい。

改めて「アメトーーク!」とは?

今更説明不要だが、改めてこの長寿番組を振り返ってみたい。

● 番組名:「雨上がり決死隊のトーク番組 アメトーーク!」
● 放送時間: 木曜 23:15〜翌0:10(55分間)
● MC: 雨上がり決死隊
   ※現在は蛍原さん+週替わりサポートMC
●番組開始: 2003年4月(間もなく18年!)
     ※当時、蛍原さん35歳、宮迫さん33歳

※ 月曜の深夜24時台に30分番組で始まり、2006年10月から今の木曜23時台に時間拡張で移った。

※ 30分番組の時代は「アメトーク!」、1時間番組になるに際して「ー」が一つ増えて「アメトーーク!」となった。30分長くなるごとに「ー」が一つ増える。3時間特番だと「アメトーーーーーーク!」。

※ 2016年10月から2018年9月の2年間、日曜18:57〜19:58の「日曜もアメトーーク!」も含め、週2の体制だった。

「アメトーク!」の革新性とは?

「アメトーーク!」の革新性を生んだのは、番組としての型の緩さMCの大家さんスタイルだろう。

「アメトーーク!」という緩めの箱だけがあり、どんなテーマでも面白ければ企画できる環境を作った。

制作だけでなく、時に芸人が、エッヂの効いたテーマを企画し、テーマに合わせた「くくり芸人」がトークを展開できる場となっている。

発想次第でテーマは無限に存在し、その自由度の中で突発的に爆発力を持つマニアックな企画が生まれてきた。

● 中学のときイケてないグループに属していた芸人
● 運動神経悪い芸人
● 人見知り芸人
などなど、神企画は数多ある。

そして雨上がり決死隊は、くくり芸人たちを大家さんのような立ち位置から見守ってきた。

さんまさんやダウンタウンはMCとして、流れを作りオチも付ける。ゲストを完全にコントロール下においた鵜飼スタイルと言える。

MCに絶対的な力がある場合には、この鵜飼スタイルが有効であるが、MCへの依存度が高く、変化が生じづらい側面もある。

場をぶん回すタイプではない雨上がり決死隊が大家さんスタイルを取ってきたからこそ、多様な芸人が自由度を持ってトークの進行を行え、型にハマらない企画を生めたと言える。

「アメトーーク!」が育てた芸人とは?

業界視聴率が高いと言われる「アメトーーク!」を通じてブレイクを果たした芸人も多い。

思い当たるだけでも、
● 有吉さん(おしゃべりクソ野郎)
● 大吉さん(焼却炉の魔術師)
● サバンナ高橋さん(中学のときイケてないグループに属していた芸人)
● ケンコバさん(下ネタ・プロレス)
● 永野さん(ラッセン)
は明確に「アメトーーク!」からステップアップを果たしたと言えるだろう。

そして若林さんも、人見知り芸人で業界内認知度を上げたことで、番組出演が増えていったと自身で語っている。

「アメトーク!」を育てた加地さんとは?

革新的なスタイルで「アメトーーク!」を長寿番組に育て上げたのが、テレ朝の『役員待遇総合編成局制作1部所属のエグゼクティブプロデューサー・ゼネラルプロデューサー・演出家』の加地倫三さんだ。(Wiki調べだけどこの肩書合ってんのかな笑?)

加地さんと言えば、ロンドンハーツを長らく担当され、テレ朝バラエティの躍進を支えてきた方として有名だ。現在は他にテレビ千鳥、霜降りバラエティを手掛けてる。

最近では、佐久間さんのオールナイトニッポンやカジサックさんのYouTubeに出演するなど露出もあり、50代とは思えない若々しさと、笑いへの熱感を披露している。

佐久間さんと、胸襟を開いて番組制作や芸人について語ったオールナイトは必聴で、制作として番組を成立させる上での苦労や、困った時に頼りになる芸人さんへの信頼を語った。

加地さんは頼りになる芸人として、品川さん、川島さん、大吉さん、ケンコバさん、陣内さん、有吉さんなどの名前を挙げ、間を埋めてくれる存在の貴重さを強調した。

(佐久間さんは、「小峠がいれば大丈夫、考えるを止める」、と小峠さんへの信頼を語っていた)

因みに、加地さんは、弘中アナをカメラテストで面接した際の印象として、「フリートークが抜群に面白かった、(「踊る!さんま御殿!!」で)踊るヒット賞をとるようなタイプ、図抜けてすごかった、全部(話を)落とす」と絶賛。

弘中アナのポテンシャルは学生時代から際立っていたようだ。

「あちこちオードリー」で佐久間さんが図るべき進化とは?

さて、そんな重厚な歴史を持つ「アメトーーク!」、加地さんに挑んでいく佐久間さん、そして若林さんは、放送時間の引っ越しと拡大でどのような展開を図っていくべきか。

まずは現在前後半2回に分けている放送を1回に纏めるというのが既定路線だろうが、その上で更なる進化を図りたい。

進化のポイントは2点
1.若林さんのポテンシャルを更に引き出す
2.サブキャラの育成により番組の厚みを作る

1.若林さんのポテンシャルを更に引き出す
基本的に「あちこちオードリー」では以下の2点を期待している。
① 他では聞けないゲストの本音
② ゲストの本音に対し、若林さんが何を考え、何を感じ、どう言葉にし、どう笑いに変えるか

ゲストの本音を引き出すに肝となるのは、若林さんの質問力だ。ゲストの人間性や今後の方向性を踏まえ、時に哲学的視点、作家的表現を駆使してゲストの本質を探っていく。

若林さん自身の日頃の考察の深さが、共通と思われる悩みや今後の方向性の基準など、深堀りの方向や程度の的確さに表れており、これが一つの番組の強みとなっている。ここは今のスタイルの継続で良い。

改善の余地があるのは、若林さんの頭の中のアウトプットだ。
台本がないのが「あちこちオードリー」の魅力ではあるが、全てが瞬発力だとどうしても若林さんにも限界が出てくる。

刺さるアウトプットとして、ユニークな切り口・腹落ちする言語化を期待する上で、事前にある程度、ゲストの活動などに関する考えを整理してもらう、というのはどうだろうか。

例えば、ゲストに今後期待するムーブなどを整理してフリップで言語化してもらう。

それが実現可能な範囲で、番組がサポートできるものなら企画として取り上げればよいし、次回出演した時にもそれに対するアクションが話題となる。

若林さんの負担は増すが、軸となる番組だけに積極的にリソースを割いて良いと思う。

※ 若林さんの理想とするリソース配分に関しては、『オードリー若林さんの出演番組ポートフォリオの最適化と事務所との折り合い』をご覧ください。

2.サブキャラの育成により番組の厚みを作る
ポイントの2点目、サブキャラの育成に関しては、例えば、ゲストに応じて時おり出演する店の常連さん枠を設けるというのはどうだろうか。

今後放送を重ねていく中で、Creepy Nutsのように複数回目の出演となるゲストも増えてくる。変化が欲しい回に新しい切り口を加える上で、常連さん枠を設けるのだ。

例えば、ハライチ岩井さんやパンサー向井さん、板倉さんなど、「あちこちオードリー」に過去にゲスト出演し、ストーリーがある方が候補となる。

ゲストで背景や本音を紐解いた上で、ハマった方に関しては芸人限らず、お店の常連さんに配置してキャラが番組に浸透していけば、サブキャラとして番組に厚みを持たせてくれるはずだ。

よくよく考えると、ここで言うお店の常連さんは、「アメトーーク!」の見届け人、はしご酒の女性の飲み仲間、といった位置づけであり、当たり前なのだが、やはり人気番組は絶妙なキャスティングが成されている。

また、若林さんの長きに渡る課題は、特定の関係性の継続的な強化と団体芸である(裏返すとしがらみがないという強みでもある)。

今後はある程度、特定の人と強めの関係性を醸成し、その中での団体芸を磨いていく、ということにもトライしていってもらいたい。

哲学・作家・お笑いのスタンドミックスを駆使し孤高の戦いを続けてきた若林さんに更なる引き出しを増やす上でも、必要となるムーブであり、パーティーを組むことでたどり着ける先もある。

✳︎スタンドミックスに関しては『オードリー若林さんが内蔵する3つのスタンドと輝くフィールド』をご覧ください。

それを「あちこちオードリー 」で実現できるのか、ゴッドタンで数々のサブキャラを生み、強力なパーティを作り上げてきた佐久間さんの豪腕に多くを期待したい。

若林さんは何と言うか?

「団体芸は、もうトラウマみたいになってて、いっつも吉本の芸人さん達の団体芸見て羨ましいっなって思ってきて、でも団体芸を組めるような関係の芸人もいないし、もう無理かな~って諦めてる部分はあるんですよね。田中とお決まりのくだりやるのが俺の限界なのかなって笑」
「若林くんは団体芸って向かないんだよね~。先輩に組み込まれるタイプじゃないし、後輩を腕力でもって軍団化していくわけでもないし。だから気の置けない同期しかないんじゃないかと思うんだよね、ピースとか」
「そうなんですよ!、ピースはあると思ってて、綾部くんとか相性いいし、あちこちオードリーで又吉くんが来てくれたときも良かったし、その時ベッキーもいて、凄い自然に流れつくれて。いやだからピースとベッキーなんですよ、佐久間さん」
「それだ、やろう!とりあえず綾部をアメリカから連れて帰らなきゃ、あいついつまでアメリカ見てんだ!?がはははは」
「ホントそれ、俺の団体芸人生、綾部くんのアメリカ視察に掛かってますわ。独立して一発目、綾部くんをアメリカから連れて帰る企画をお願いしますよ!テレ東予算なければ、テレ朝でもどこでもいいんで!いやでも、そしたら加地さんに頼むか」
「いやちょっとそこはやらせてよ〜、少なくとも加地さんには持ってかないで」

いやホント、オードリー・ピース・ベッキー、観たいよ〜

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