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オードリー若林さんが内蔵する3つのスタンドと輝くフィールド

前回の投稿で若林さんの独自の価値を、
『人の内面に眠る真理を、独創的な着眼点と言語化の才能を駆使し、笑いの世界観で紐解く力』
とそれっぽく表現してみた。

うん、何ともそれっぽい。どことなく成立している感がある。

このそれっぽい表現をキャッチーにすると、
若林さんって、
哲学者×作家×お笑い
のスタンド使い
だよね、ということだ。

この複数スタンドの内蔵が若林さんの他芸人さんとの絶対的な棲み分けだ。

この3つのスタンドミックスはフィールドにより配分が変わり、その配分がそのフィールドで若林さんが独自色を出せているのかに繋がる。

どういう事なのか、フィールド毎に紐解いてみよう。

エッセイ

『社会人大学人見知り学部卒業見込』を久しぶりに手に取った。若林さんの物語の原点を記す著書だ。

キレキレだ。改めて。
ラジオで発揮されていた単なる芸人ではない感が形となって現れた傑作だ。

思わぬ着眼点からの内面への語りかけと深堀り、笑いのエッンスを交え、自分なりの真理へと言語化していくプロセスが気持ち良い。

題材が芸人の世界であり、それだけでも興味を引くに十分なのに、それだけじゃない感に圧倒される。

エッセイでは哲学者スタンドが活躍する。
必然として生活に溶け込んでいる違和感へ「そもそもこれって」と投げがかけた問いを、エピソードを通じて獲得した解釈の中で自己回収する。

この自己回収による真理の追求は哲学者の所業でしかない。

そこに作家スタンドによるグリップの効いた起承転結、表現の秀逸さやテンポの良さ、お笑いスタンドによる振り落ちのエッセンスが加わる。

エッセイの中で他のスタンドが色濃く発動されている具体事象を見てみよう。

1. 「落語家」
全盲の高校生が落語家を目指す一幕。
前向きに挑戦する人の尊さがピュアに感じられる語り口で記されており、この人は涙腺にまで攻め入れるのかと、作家スタンドのポテンシャルに震えた。
唯一無二の脚本・小説を書いてくれるとは思っているが、この手のヒューマンドラマまでいけるのか、、、

2. 「自意識過剰」
例のスタバでグランデが頼めないくだりのお話。

スタバとかでコーヒーを頼む時に「トール」と言うのが恥ずかしい。「グランデ」なんて絶対言えないから頼んだことがない。S、M、Lなら言える。その前にスタバに行くこと自体が恥ずかしい。ぼくは「スタバ」で「キャラメルフラペチーノ」の「グランデ」を飲んでいるところに知り合いが来たら窓を破って逃げる。

窓を破って逃げる若林さんが目に浮かぶ。
お笑いスタンドのテクニックよる落ちが秀逸。

エッセイのスタンドミックスの配分は
哲学者: 50%
作家: 30%
お笑い: 20%
といったところか。

ラジオ

オールナイトのスタンドミックスの配分は
哲学者: 25%
作家: 25%
お笑い: 50%

フリートークを中心とした自由度の高い枠組みの中で、お笑いスタンドが中心となりつつも、自らのシナリオを差し込むことができることから、個性である哲学者スタンドと作家スタンドも遺憾なく発揮できる。

テレビ

番組により配分は異なる。
例として2つのMC番組の配分をあげたい。

あちこちオードリー
哲学者: 20%
作家: 15%
お笑い: 65%

ゲストへの事前アンケートがないあちこちオードリーでは、着眼点やトークの流れに自由度が存在し、哲学者スタンドと作家スタンドも織り交ぜゲストを深掘っていける。

潜在能力テスト
哲学者: 5%
作家: 5%
お笑い: 90%

一方で、企画・台本がガチガチに用意されるクイズ番組では所謂バラエティMCをこなす必要がある。そこに独自の着眼点や真理への追求、流れを汲んだシナリオ展開は求められない。

❇︎ 当然お笑いスタンドの中にも様々な能力が存在するが、その切り分けは別の機会で。

若林さんが輝くフィールド

繰り返しになるが、若林さんの魅力はこの3つのスタンドミックスだ。

お笑いスタンドのみでバラエティMCをやろうにもくり〜む上田さんには敵わない。
(上田さんのエゲツない実力は、中京テレビの太田上田を見て欲しい)

大人数や雛壇の番組を得意としないのも、哲学者スタンドと作家スタンドを発動できないからであり、そこでザキヤマさんと戦うのは分が悪い。

前回投稿で継続・撤退の番組仕分けを行ったが、スタンドミックスの観点で見ても腹落ち感はあるはずだ。

叶うことなら3つのスタンドを存分に発揮できる書き物(脚本・小説)に時間を割いて欲しいし、発揮できない番組からは撤退してほしい、というのがファン心理である。

ただこればかりは事務所の意向、放送局の懐事情といった様々な大人の事情が絡み合った上で、用意されるフィールド、発揮できるスタンドミックスの配分が決められてくる。

それが若林さんの意思と反する時、ファンが望む形でない時、新たなダイレクト発信の枠組みが加わるのでは、と密かに期待もしている。

若林さんは何と言うか
「いや俺、哲学者なのかな〜笑、哲学者って括られちゃうと何か急に肩に力入っちゃって、無駄に生き様とか語っちゃいそうじゃない、日向坂とかにさ、哲学者はやめて欲しんだよね〜」
「いや、私もね、若林さんはそんな高尚なものではないと思うのよ、うーん、若林さんは何かもっとこう醜悪な、江戸の商人とかね、お代官様に取り入ってるような、そういう邪悪なスタンドだと思うのよ」
「お前うるせえよ、お笑いスタンドもなしでここまで来やがって、自分磨きスタンドしかない奴が偉そうに人のこと語ってるんじゃねーよ!まぁクミもいるし、その唯一のスタンドすら錆びついてるけどな」
「ん、いや毎日発動してますけどね」

いや、最後なんの話ですか、、、

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