オードリー若林さんが駆使する『チャップリンメソッド』
チャップリンは、社会問題や政治をテーマに、世の中に蔓延る矛盾や人々が抱える憤りを、風刺により世に知らしめ、強い共感を得た。
「そうそう、そういう事なんだよ〜、俺たちが苦しんでる事って」ってな具合に。
それを単なる風刺ではなく、パントマイム映画という言語の壁を超え、上質の笑いに昇華させたところが、今だに世界で唯一と言われる所以だろう。
笑いという切り口は、間口が広く誰でも楽しめる上に、とにかく後味が良い。
この物事の本質を突き、
人の心を掴みながら、
笑いに昇華させる枠組みを、
『チャップリンメソッド』と命名したいと思う。
人々の焦点が国や社会から個人へと向かうこの時代の中で、若林さんが支持を集める根源的な理由の1つも、この『チャップリンメソッド』にあると思っている。
(✳︎若林さんが現代日本社会のチャップリンであるくだりはこちらをご覧下さい。『自己肯定感で救いを与えるオードリー若林さんと現代日本社会のチャップリン』)
若林さんは、人が内に秘める葛藤や問題意識を深掘りし、紐解きながら納得感のある着地点を探っていく。
エッセイやエピソードトークでは自らの内面を、トーク番組では相手の内面に切り込んでいく。(相手の自己肯定感までケアしながら!!)
多くの人が自ら直面してきた葛藤や似た社会への違和感に強い共感を得て、心を掴まれる。
そのプロセスは、笑いのエッセンスがふりかけられた未知の言語化に彩られ、最後は物事の解像度を高める言葉に落とし込まれる。
「なるほど、、」と唸らされ、ある種の感動すら覚える。
日本の芸能界に、かつて『チャップリンメソッド』をぶん回すレジェンドがいた。
島田紳助さん
場の回し、エピソードトーク、ボケ、ツッコミ、番組ごとのサブキャラの育成、全てが超一流の大MCだった。
着眼点の切れ味、物事の裏に潜む本質の捉え方、解釈の着地と浄化、それを見事としか言いようがない話芸で極上の笑いに昇華させた紳助さん。
そのコアは『チャップリンメソッド』に違いなかった。
本質に向かう過程での緊張の醸成、話のオチでの緩和という、『チャップリンメソッド』も駆使したお手本のようなエピソードトークは記憶に新しく、過去の動画を見ても技術の高さに震える。
『チャップリンメソッド』は大衆を惹き込む力があるが、笑いへの昇華が肝であり、ここを押さえられるのは基本的には芸人しかおらず、使い手は限られる。
人知れず紳助さんから『チャップリンメソッド』を継続した若林さん。今後、若林さんの活動をこの切り口から紐解いていきたいと思う。
次回予告
『弘中綾香の純度100%に見るオードリー若林さんのチャップリンメソッド』
(気が変わるかもですが!)
若林さんは何というか
「いや〜もう全然恐れ多くて、紳助さんと比べられるようなタマじゃないですし。まぁでも無理くりでも括ってもらったんで、今日はその話も聞かせてほしいと思います」
「ええやん、しかし若林もよう頑張ってるよな、テレビでも見とるで〜、若林は言葉のチョイスがええわ、使いまわされてない言葉をポーンって放り込むから人はグッと引き込まれんねん。これをぜんぶ計算してやってるからな。夜な夜な頭使って誰も考えてない言葉の組み合わせ考えて、大変やろ?笑」
「紳助さん、それはそのまま出しちゃダメなやつですよ笑、調理場映しちゃったら、もうグチャグチャなんですから。それをさも素材のままですって顔してキレイに並べて出してるんですから」
「そやろうな、ふだん裏側見せてく芸風やけど、そこだけは出さへんもんな。そこ出すと急にインテリっぽくなって客と距離感でるからやろうけど。まぁそれも含めてよう考えとるわ」
「もう丸裸じゃないですか笑、今日はゲストなんですから、こっちを掘るのやめてもらってもいいですか笑?」
あちこちオードリーで1番話を聞きたい人かも知れない、、、