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日米IT連続起業家が考えた「稼げるWEB3.0の最前線」中島聡×けんすう特別対談(後編)

こんにちは、アル開発室運営チームです。

この記事は、7月5日(火)21:00〜まぐまぐ!Liveにて配信された、エンジニア/起業家の中島聡さんと、けんすうの対談動画を文字起こししたレポート記事です。

中島さんの有料メルマガ「週刊 Life is beautiful」で限定公開される予定だったレポート記事を、特別にアル開発室でもお届けします。

前編に引き続き、後編も12,000字を越える大ボリュームかつ、無料部分だけでもかなり文量がありますので、楽しんでいただければ幸いです。

それでは、本編へどうぞ。

▼前編はこちら


■「Web3.0」でビジネスはどのように変わるのか

内田(司会):それでは後半に入ります。私が「Web3.0」の初歩的なことをお二人に話していただきましたが、ここからはプロのお二人による未来のトークを伺っていきたいと思います。色々とテーマを設けたんです。

「Web3.0」時代にはビジネスはどのような姿に変わるのか?今後の企業、社会、個人はどのように生きていくのか?「Web3.0」の最前線ではどのようなことが起きているのか?「Web3.0」を利用した起業のアイディア

「Web3.0」につながると個人でどんなことができるようになるのか?そのあたりでお二人のトークを伺っていきます。

まずは、ビジネスはどのような姿に変わっていくのか?お二人のイメージする「Web3.0」の世界をお聞きできますか?

中島:ビジネス面でも色々あると思うけど、会社のあり方、昔ながらの会社を作って、ベンチャーキャピタルからお金集めて、人を雇って、っていうことをやる必要がなくなるのが、僕にとって一番大きなことですね。

別にそういうことをやる人を否定しているわけでも、これからそれをする人もいっぱいいると思うんです。それでも構わないけれど、僕はもうやりたくない。やらないで済むなら最高なわけです。

ビジネスのやり方としては、基本的に、面白い「スマートコントラクト」を作り、世の中にデビューさせて、それをみんなが喜んで使うインセンティブメカニズムを作って「スマートコントラクト」に書いておけばいいわけです。

それで、発行する「NFT」の20個に1個は僕のところに来るような仕組み。それだけを書いておけば、あとは勝手にその仕組みが走り出す。

内田:勝手にチャリンチャリン。

中島:僕には報酬として20個に1個の「NFT」が入ってくる。でもそれがちゃんとしたビジネスになるためには、当然だけどいっぱいユーザーが集まらないといけないし、「NFT」の価値を上げなきゃいけない。そこの全責任は僕にあるってというのも、すごくシンプルで分かりやすいんです。

内田:良い物を作ればお金になる。

中島:世の中に価値を提供する。世の中に価値がある「スマートコントラクト」を本当に1個でも2個でも出せたら、もうあとはそれで食っていけるんです。

内田:ずっと走っていける。

中島:そうです。会社登記もいらないし「NFT」が入ってくるので、「NFT」を売った時にだけ税金を申告すればいいという、僕から見ると超美しいビジネスモデルです。

内田:人から必要とされるんであれば、お金も入ってくるという。

中島:会社を大きくするとか、人を雇うとかを考えなくていいんです。もちろん、サービスを作る瞬間にひょっとしたらデザイナーさんを雇わなきゃいけないかもしれない。

そこは雇うんだけど、その時も、お金を払って雇って作ってもらって出す方法もあるけど、じゃあ出てきた「NFT」の3個に1個をあげるから、って契約でやってもいいし、その辺も全然フレキシブルにできるので。

内田:自由ですよね。そうすると本当にエンジニアとしての使命にも直につながる。

中島:だから多分、本当に高校生で年収何億円になっちゃう子も絶対出てきます。実際、僕は「NounsDAO」っていうのに入っているんですけど、そこは報酬設計が10個に1個渡るようになっているんですけど、今は1個当たりが2000万ぐらい。

エンジニア連中が10人いるんですけど、10日に1個、2000万円が入ってるんです。彼らにチャリンチャリンと。「Nouns」っていう「DAO」を立ち上げて、彼らはプログラムを書いただけですけど。

そういうビジネスで会社も無くて、一応「DAO」用の組織を作ったけど、エンジニア集団は単なるエンジニアで「NFT」をもらって、あとは「NFT」を売った時に税務申告するだけです。

内田:じゃあ本当に、エンジニアと社会が直につながって、会社という組織を通さなくても、それがビジネスになっていく。エンジニアは良いものを作り続ければいい。

中島:それだけが答えじゃないです。でも、それが可能になったことが、僕にとってはもう最高です。

内田:色んな起業をしながら経営はしなくていい。

中島:会社経営という、僕が一番嫌だなと思ってることをやらなくていいので。

内田:そういう人たちが世の中にはたくさんいそうですよね。エンジニアと呼ばれる皆さんには。会社をやらなくなっちゃう。

中島:でも、会社は会社で別に役割があるから。

けんすう:結構周りでもそういう大きなプロジェクトやっているところがあるんですが、会社はなかなか難しくて、大きなプロジェクトをやるときに「いきなり20人とか雇えないよね」ってなる。

有名なクリエイターに頼みたい時には、発注するか、会社に入れるかの二択ぐらいしかなかったんですけど、今だとインセンティブ設計で、先ほど中島さんが仰られたような、10個に1個の「NFT」をあげるとかで、すごいクリエイターが協力してくれたり、この人は週に2時間くらいだから、100個に1個にしとくけど、関わってもらえるとか、割と柔軟な設計ができます。

友達とかもそれで30~40人ぐらいで1プロジェクトを、今立ち上げようとしてるんですけど、やっぱり会社だと、そんなことをするのは無理です。30~40人をいきなり動かすっていうのは。なので「Web3.0」での起業は面白いと思います。

内田:それなら、昼間は普通に会社勤めをしながら、本当にちょっとそこに加わるっていうことが可能になりそうですね。

けんすう:可能になります。しかも、全員、うまくいかないと報酬が無いってわかっているので、めちゃくちゃ頑張っています。

内田:でもうまくいけば、そこは本当に継続的な収益につながるわけですね。

けんすう:わかりやすいですよ。僕はコミュニティ運営をこれまでよくやってきたんですけど、一番難しいのは、お金を定額払いしながらやるコミュニティ。会社員って基本的にめちゃくちゃサボっても給料って入るんです。

なので一番合理的なのは、首にならないギリギリまでサボるっていうことになる。実際にはそこまではしなくても、会社員っていう仕組みって、モチベーション的には低くなるんです。

なので、多くの会社員は、やっぱり会社の愚痴とか、上司の愚痴とか言いまくるじゃないですか。だから、会社というのは難しい組織形態だなと思っているので、そうじゃない選択肢があるのはいいんじゃないかなと思っています。

■「Web3.0」で会社は必要なくなる

中島:難しいです。でも、この「NFT」を配る方法は、プロジェクトが失敗したら本当に一銭にもならない。全部タダ働きになるんで、頑張るしかないんです。そこに入ってきて、サボっている人は意味ないです。

内田:でも、過酷ではあるものの、面白そうです。やりたいことができるっていうか、楽しそうです。

けんすう:会社員って仕組みは、割と辛い思いをする人が多い仕組みなんです。

内田:確かにそうですね。会社員は閉じ込められて、やりたくない仕事ももちろんしなきゃいけないし。お金はもらえますけどね。でも今の話を聞いてたら、本当に一個人が自由にやりたい形で仕事ができるとか、やりたいことが形にできるってのはいいですね。

中島:ぶっちゃけて言うと、今の最適な生き方は会社に一応席だけおいて、クビにならないギリギリまでサボって余暇の時間で「Web3.0」のプロジェクトをやるのが一番いいんです。

内田:それは、うらやましいです。

中島:食うのには困らない、とりあえず失敗しても。

内田:成功したら、別に会社を辞めて、自由に時間を使ってもいいんですね。

けんすう:あると思います。ただ、やっぱり「DAO」って言われたりする、今の「Web3.0」の組織形態って、これはこれで別の難しさがあるので。

内田:どういうところですか?

けんすう:インセンティブ設計をミスるだけで、めちゃくちゃ頑張ったのにリターンが無いみたいなことがたくさん起こるでしょうね。

それと、有名な人はちょっと関わる事が確定するまで頑張って、確定したらフェードアウトして、別のプロジェクトに行くっていうのが、合理的な動きになっちゃう。

こういうことをやってる人がいるので、そうすると思ったよりうまくいかないケースも出るだろうなと思ってます。

でも、僕はやっぱり選択肢があった方がいいと思うので、その意味では会社ではない組織形態で、大きなことができる仕組みができたっていうのは面白いなと思ってます。

内田:色んな働き方ができるわけですからね。日本人もようやくそうなっていけるという感じがします。

中島:でも、エンジニアが一番有利です、その意味で言うと。

内田:今は、小さい子の憧れの職業がエンジニアが上の方にきているじゃないですか。

中島:Youtuberに勝ったんですか?

内田:Youtuberにはまだ勝ててないと思います、残念ながら。でも、夢がありますね、エンジニアって。

中島:本当に今は黎明期なので、まだ「スマートコントラクト」をバリバリ書いている人なんて、エンジニアの数パーセントでしょうね。

けんすう:あまりいないですよね。

内田:もっとそういう可能性に、私たちもっと早くに気づかなきゃいけない。

中島:でも僕も結構長いこと気がつきませんでしたから。やっぱり胡散臭いなあとか思ってたし。

内田:でも、気づいたらやっぱり全然違った。

中島:中に入って見たら、もうとんでもないことが起こっている。なんでもっと早くやらなかったのかなと思いました。でも、まだ遅くはなかったので。

内田:ちょっと私も中に入りたいです。それはエンジニアじゃないと入れないですか?

けんすう:そんなことないと思います。

内田:そういうプログラミングができなかったとしても、参加できる形はあるんですか?

■クリエイターが稼げる「Web3.0」

けんすう:たくさんあります。日本だと特徴的なのが、やっぱり「NFT」をやりたいイラストレーターの人が結構多いので、統計を見たわけじゃないのでわからないんですけど、個人のイラストレーターがここまで「NFT」をやっている国って、日本以外にあまり無いんじゃないかなっていう気がします。

内田:ある意味、最先端な感じですか?

けんすう:かもしれないです。

中島:逆に、イラストレーターが描いてても、あまり食っていけないのかもしれないです。

けんすう:仰る通りで、個人でレベルは高いけど、食えてないクリエイターっていうのが、めちゃくちゃいるっていうのが日本ですね。

内田:例えて言うなら、地方ですごくいいものを作ってたとしても、全国になかなか知られないわけじゃないですか。それをインターネットで公開したら色んなところから注目を受けた、みたいなイメージでいいんですかね。できるとしたら。

けんすう:仰る通りですね。

中島:日本って、日本特有のあまりクリエイターを大事にしないビジネスモデルがあるじゃないですか。

内田:お給料があまり高くない。

中島:テレビ局と、制作委員会みたいなのが上の方にあって、また電通が出てきちゃうけど、電通とフジテレビとかがバーっとお金を取って、そこから下に降りてくるんだけど、最後の方で絵を描いている人は本当に時給が200円だったりっていうのが現状なので。

その辺の人たちの中で、今の世界で上がっていくのは難しいので、「Web3.0」の世界で成り上がっていくほうがいい。

内田:私も、文章を書いてたりするんです。イラストじゃなくて、文章とか、そういうのも可能なんですか?それはまた違うんですか?

中島:文章もあるかもしれないですね。電子書籍もやってみたいです。「フルブロックチェーン」の電子書籍はうまくいくかなぁ。今日、散歩しながらどうしたらいいかなと考えてたんです。

僕はちょうど今、本を書いてるので、それを電子書籍で出したいんだけど「フルブロックチェーン」でいきたいんです。全文字。

だから「NFT」でミートするために、例えば200文字ずつアップロードしてもらって、一万語のものだったら、500人が買えば全部読めるようになるみたいな物もできるかなと思って。

内田:そういうのも可能なんですね。

けんすう:これは「web3.0」と別で、クリエイターエコノミーという流れがあって、やっぱりここもどんどん「Web2.0」「Web3.0」関係なしに伸びていて、私も文章を2000年ぐらいからインターネット上で書いてたんですけど、2018年ぐらいまでは、せいぜいアフィリエイトで2~3万円が月に入ればいいって感じだったんです。

でも、最近だと月額でマガジンが売れたりとか、オンラインサロン的な感じで文章を公開できたりするので、月の売上で言うと、200万~300万ぐらいになっていて、やっぱりここ5年ぐらいで急に文章を個人で書いている人の収入が上がったという印象があります。

そういったことが色々起きてくるだろうなと、まさに、まぐまぐさんとかがやってらっしゃるのは、その流れだと思うんですけど、仕組みとしてはすごい前からあって、有料メルマガとか、有料のコンテンツも、ここ3~4年で急激にお客さんに受け入れられているっていう感覚があります。何がきっかけかわかんないんですけど。

中島:やっぱりフェイクニュースの流れもあるんじゃないですかね。ネット上だとどうしようもないコンテンツが目に入っちゃう。

じゃあ有料のコンテンツはどうなんだろうといった時に、通常のメディアはやっぱり弱いんです。相変わらず彼らはどうしようもないので、メルマガとかに人が来てるっていうのはあるかも。

けんすう:それはありますね。Googleがあまり使えなくなったと、みんなが思っているっていうのが、大きいと思います。検索しても、アフィリエイトサイトとか、そういうものばっかり出るなと思っているので、お金を払ってくれるのかもしれないです。

内田:普通にウェブ上で書いていると、逆に原稿料は安くなっちゃうんです。フェイクニュースとかがたくさんあったりとかするので。でもそうじゃないわけですよね。ちょっと違う段階に一歩上がったら違う世界が広がっているわけですね。

けんすう:普通のアフィリエイト記事とかを書くWebライターさんとかは本当に一文字0.1円みたいな感じで、だけど価値あるものを書いている人は、逆にもう何100万とか月に入るみたいな状態にはなっていると思いますね。

内田:でも、そうじゃなきゃいけない気がしますね。ちゃんとしたものを作っている、ちゃんとしたものを書いている人たちが、ちゃんとした対価を得るっていうのって、やっぱり本当は当たり前。

けんすう:先ほど仰られた仕組みで、アフィリエイトメディアをやっている会社があって、仕組みを作って、0.1円でライターさんを集めて、広告費で稼いで、上の会社が儲かっているかというと、そうでもなくて、やっぱり一文字0.1円で書いてもらった記事を、アフィリエイトで一生懸命稼いで、やっと500円稼げたみたいな感じだったりするので、この構造に入っちゃうと、やっぱり辛いですね。

内田:それが「Web3.0」になると、全然違う景色に変えられるということですね

けんすう:構造を変えられるっていうのはあると思います。

内田:気分がよくなる。だっていいものを作った人たちが、やっぱりちゃんとした仕組みによって対価がしっかり入ってきて認められて、それが使い続けられる、そういう世界。

■「Web3.0」で描く面白ビジネスアイディア

中島:けんすうさんが、今作ろうとしているクリエイター支援の仕組みってどんな仕組みなんですか?

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