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夫婦が「親」になるとき(4)夫婦げんか研究の歴史

夫婦げんか、起きそうなとき、どうしてる?

 家族心理学には、夫婦げんか研究という領域がある。1960年代から本格的に開拓されはじめた。

なかでも「夫婦げんかが起きそうなとき、他の人はどうしているのだろうか」という問いは、長年の関心ごとだといえる。

「夫婦げんか」研究の移り変わり

夫婦げんかの研究史を簡単に振り返ってみよう。

1.1960年代:話し合いスキルの習得で解決できるか→失敗 

 1960年代以降、アメリカで盛んになった夫婦げんか研究によって、話し合いスキルを身につけただけでは、効果がないことがわかった。

夫婦げんかの解消法を調べるために、わざとケンカをしてもらった調査では、どの方法を使ってもうまく解消することはなかったのだ。

2.1980年代:相手に何を期待しているかが重要

 次に注目されたのは、互いをどのように捉えているかという側面だった。1980年代に検討されはじめたこの研究によって、顕在的に見聞きできる言動だけではなく、潜在的な要因の影響が注目されることになる。

3.現在:葛藤の組み合わせ

 今では夫婦げんかは、目に見える顕在的な葛藤と、感情や認知などの潜在的な葛藤が組み合わさったものとして定義されている。

潜在✕顕在の葛藤が絡み合う

 夫婦げんかでは、自分の行動が相手に影響を与え、相手の行動によって自分の行動が変わる体験をする。

こうした「原因と結果」の考え方では、自分の行動の原因は、状況のせいであって、相手の行動の原因は、相手の意思によるものだと考えやすくなってしまう。顕在✕潜在の葛藤が複雑に絡み合うのだ。

 したがって、相手が「ああして」「こう言った」から、私はそうしたと互いに思いあうことになりやすいのだ。

まとめ

1.単なる話し合いスキルを習得することだけでは、収束にいたらない。

2.潜在的な期待と顕在的な言動が互いに絡みあって複雑化している。

3.アメリカでは、妻が責めて夫が逃げるパターンが多い。

 夫婦げんか解決の研究は、もめごと解決研究へと舞台を移して、引き続き研究が続けられている。そこでは、「暴力」でもなく「法的解決」でもなく第三者を介した「話し合い」による解決を目指している。

おまけ:翌朝の挨拶がコツ

 ↓の書籍は、夫婦げんかを長引かせないコツは、翌朝に「あいさつをする」といった、人としての礼儀が守られていることなのだという。


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