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2023年8月の記事一覧
詩『この人生から俺を追放する』
「この人生から俺を追放する」
今さっき自己判決を下した
無罪という罪状
罰は×
つまりミッフィーの唇
化繊糸で絶叫封印
(俺はもうこの人生にはいない!)
0㏈の叫びが傍聴人の鼓膜を揺らす
++++++++++
廃楽園のはずれ
幹の腐った林檎の木から
熟した蝉が地に落ちた
水で研磨されたような黒曜石の瞳
それはレンズ
カラスという映像記録装置の
ちなみに取説には落書きがある
簡素な女性器の
+++
散文詩『モラトリアム定食』
時が止まった。
窓から差し込む光、舞う埃の粒子をプリズムに、お盆の上に色彩を付与する。
サバの塩焼き、その焼け爛れた鱗の連なり、滲んだ脂が、背骨の辺りから差し上る太陽の微光を受け、冥王星にて未だ命名されぬ丘陵の佇まいで皿の上に転がる。
箸の先に十穀米が乗っている。その一粒一粒、小規模なビッグバンを準備している生命の核のよう――
「こんな莫大なエネルギーを口中に受け入れて、僕は無事でいら
詩『19頁に挟まってる口づけ』
人生の一頁に口づけが挟まっている
栞のように
もう読み終えた筈なのに
抜くことのできない
栞
あの人との口づけ
手探る
まだ前半部分
物語がうねりだす地点
だけど私にとって
そこが最終頁なのかも
栞
あの人との口づけ
何度も同じ頁をめくり
そこから再開したいと
願う
もう一度読み返せば
物語が変わるのではないかと
でもその先に
あの人は登場しない
栞
口づけ
輪郭のない花のよう
大丈夫
ちゃんと今
散文詩『未熟な永遠』
アイスキャンディの棒を伝って指にオレンジの冷たさが流れた。
キミは手の甲に舌を這わせ、悪戯に笑う、上目遣いで。
晴天の下っ腹にもくもくと雲が立っていて、風は乾いて清々しい。
なのにボクは、勃起をしている。鼓動が蝉よりも早い。
甘い風にほのかにキミの唾液の匂いが混ざっている。
詩『猫の手も借りたいほど君が好き』
優しく包み込むんだ
両頬を手のひらで
そしたらあの子
ニッコリ首傾げ
僕の親指を握り
「なぁに?」と
ため息のように囁く
##########
そこで妄想から覚める
手を見る
はぁー
僕はあの子の最愛にはなれない
だってあの子は猫に夢中
筋金入りの肉球マニア
どんなに鍛えて血管浮かせど
プニプニからは遠ざかる
男らしい手は目指せるけど
猫らしい手は目指せない
だから祈るしかない
「神よ!与