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イノセンスとナンセンスを大切に アート、料理、音楽、旅行、映画、読書を楽しみながら 暮…

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イノセンスとナンセンスを大切に アート、料理、音楽、旅行、映画、読書を楽しみながら 暮らしています。 画廊勤務→アジア料理のお店経営(25年間)→現在学習塾を運営(12年目)しています。

最近の記事

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社会派写真家からのおくりもの

20代のころ大阪の画廊に勤めていた。 その画廊内の展覧会はもちろんのこと国内外での企画展も多く、多岐にわたる仕事内容で目まぐるしい日々を過ごしていた。 展覧会の内容によって、画家、彫刻家、写真家、陶芸家、版画家...と多様なジャンルの作家さんたちとの出会いがあり、今振り返ると貴重な数年間を過ごせたことに感謝の気持ちしかない。 一度だけ、勤務中に突然体調が悪くなったことがあった。強い頭痛がして視界が揺れる状態になってしまったのだ。 店主がすぐに近くの病院で診察を受けるように

    • デブ猫ちゃんヨーグルト

      「ウム。 デブ猫ヨーグルトです。」 今日の朝ごはんのとき、ヨーグルトをひと口食べながら夫が言った。 一瞬何のことか分からず、愛犬ビションフリーゼのことを言ったのかと思った。 なぜなら、先週末のおうちシャンプーで白い毛がホワホワにふくらみ、さらに昨夜からの雨の湿度でホワホワが倍増しているからだ。 毛足の長いデブの白猫ちゃんみたいなのだ。 デブ猫ちゃん...?? 笑いながら愛犬の方を見たと同時にハッと思い出した。 そうそう!デブ猫ちゃん牛乳を買っていたのだ。 我が家は毎

      • 伏見稲荷山のきつねの手水

        3月の終わりの金曜日、人でいっぱいの京都へ行った。 午前中は伏見稲荷山 午後は京セラ美術館の「村上隆 もののけ 京都」 伏見稲荷は今回で4回目だ。 5年前、お正月に参拝したのが1回目。 その1ヶ月後に初午大祭という祭礼があるのを知り参拝したのが2回目。 実はその2回目を思い出すと少し心がチクチクして、ごめんなさいと何かに対して謝りたくなる。 初午大祭とは、稲荷大神が稲荷山に降臨された日が和銅4年(711年)2月の初午の日であったことが由来で、清少納言も『枕草子』の

        • カビリアの夜

          年度末と関係がないような、すごくあるような仕事をしている。 でも何となく区切りとして、4/1に日付が変わる前に映画を観たくなった。 ちょうど月末に運良く三連休がとれたので、心はゆったりしていた。最後の夜は、最近また観たくなったフェデリコ・フェリーニの映画を観ることにした。Amazonプライムビデオで。 フェリーニの作品の中で、まだ観たことがない「カビリアの夜」を選んだ。 2時間くらいの作品で、ちょうど0時が過ぎるころに終わった。 直後の感想は「あぁ、こんな感じで映画を

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        社会派写真家からのおくりもの

          そして僕は途方に暮れる

          2年前から母に認知症の始まりのような言動が増えてきた。少しずつ。 毎日小さなトンチンカンがじわじわ積み重なり、それに対応する同居の姉の疲労が積み重なり、私は姉に申し訳なくて辛い気持ちが積み重なり..... 姉とは昔から頻繁に電話で話し、大半がバカバカしい話をしてヒーヒー笑い合うことが多いのだが、母の状態が怪しくなってきてからは今後の進行を案じる重い話の割合が増えつつある。 そんな姉と私に、母が認知症の道を歩み始めて良かったと思える出来事が一つだけ起こった。 去年も今年

          そして僕は途方に暮れる

          ひな人形 (少しこわい不思議な思い出)

          ひな人形の少しこわい思い出がある。 もう30年以上も前の話。 大学生の頃、友達と4人で金沢へ女子旅に出かけた。兼六園周辺をぶらぶら歩き、前田家の歴史博物館を訪れた。 春の観光シーズンだったので館内の人も多く、一定の流れで進みながら展示を鑑賞していった。 甲冑や掛け軸などの展示を見ながら進んで行き、ひな人形の展示が見えたとき、私は急に強烈な金縛りにあったように体がかたまり、冷や汗が出て、雛壇のまわりの空気の重苦さが怖くて足がすくんでしまった。 でも、友達はすーっとひな人形

          ひな人形 (少しこわい不思議な思い出)

          新宿ベルクで味の形を楽しむ

          先週末、夫と東京に行った。 2日間の限られた時間の中、メインの用事の前後に行きたいところを無理やりくっつけた。 その一つが新宿ベルクでのランチ。 ベルクについては、この3冊が家の本棚にある。 昔飲食店を営んでいたこともあり、 ベルクのような時間をかけて熟成された アナーキーな雰囲気が漂うお店には 強く強く惹かれる。 お昼どき、ベルクは当たり前に混んでいた。 エッセン・ベルクというランチセットを注文するつもりでカウンターに並んだけれど、 ちょうど私の前に並んでいた人で

          新宿ベルクで味の形を楽しむ

          紅い花

          朝、犬と散歩をします 近所をぐるぐる歩きます。 ぐるぐる歩いて家に戻ると、 玄関の前で楽しみが待っています。 それは、花びら拾いです。 寒椿の花びらたちを拾います。 お隣の椿の木から、紅い花びらが パラパラ落ちています。 花ごとポトリではなく、 寒椿は一枚ずつ分かれて散るのです。 その花びらを手で拾います。 一枚ずつ拾います。 タイルにぺったりくっついている花びらは 指の方がとりやすいのです。 紅い花びらを一枚いちまい拾いながら いつも思い出すものがあります。 俳

          ハナチョーチン

          我が家には13年間飼っているカメがいる。 ミシシッピアカミミガメで名前はコウタロウだ。 昨日、コウタロウのハナチョーチンを見た。 現在コウタロウは冬眠中で、ベランダに水槽を置いて毎日様子をチェックしている。 “水槽”と書いたが、実は衣装ケース。(笑) どんどん大きくなって、水替えなどが大変で 衣装ケースがちょうど良いのだ。 毎年この時期はじーーっと動かなくなり、 春が近づき始めるとゴソゴソ動き始める。 サラッと書いているが、実は毎年不安だ。 コウちゃんが無事に冬眠から

          ハナチョーチン

          異獣

          お正月に飲もうと、ジャケ買いのような選び方で目をつけていた日本酒があった。 このラベルの雪男は、江戸時代の本、鈴木牧之『北越雪譜』に出てくる毛むくじゃらの「異獣」がモデルとなっているそうだ。 この毛むくじゃらの異獣はおにぎりが大好き。 山中に現れ、重い荷物を背負った旅人におにぎりをねだる。 そして、お礼に荷物を担ぎ道案内をして、目的地の村が見えてくると荷物を置いて山へと駆け去ってしまう。 もし私が旅人だったら、前を歩く異獣が突然振り返り、食べられてしまうのではないかとビ

          シャイニングのおっちゃん

          探しものや片付けをするたびに、 突然どこからか現れる怖いステッカーがある。 映画『シャイニング』の有名なシーンのステッカー。 このシャイニングのおっちゃんは、 だいたい、こんな感じの紙類の中に潜んでいる。 毎回出てくるたびに「ひいっ」となるので、どこか別のところへ入れておくのだが、それを忘れてどんどん別のものを重ねてしまい、結局忘れたころにおっちゃんが現れて「ひぃっ」となる。 これを今まで何度かくり返している。 今回この記事を書こうと思って、上の写真の ケースの中を探

          シャイニングのおっちゃん

          桃源郷

          日本酒で桃源郷に行ったことがある。 「あゝ桃源郷」と思わず口にしてしまうような状態になることだ。 良いスピーカーで音楽を聴いたときに「あゝ桃源郷」に何度もなったことがあるが、日本酒ではまだその一回だけだ。 昔、夫と飲食店を営んでいた頃、面白い常連さんご夫妻がおられた。 串揚げのお店をされていると知り、夫とお客さんとして訪れてみることにした。 ドアを開けて入ると、想像していた串揚げ屋さんとは少し違い、かなり落ち着いた大人のお店だった。 そして、ご主人もいつものくだけた感じで

          ぞうきん、モップ、ホコリトリ

          わが家の愛犬の毛がずいぶん伸びてきた。 毛量が多いビションフリーゼなので、 トリミングからひと月も経たないうちに ボサボサになる。 ぞうきん、モップ、ホコリトリ。。。 昔読んだ今は亡き鈴木るみこさんの『パリの すみっこ』(マガジンハウス)という本の中に、 「パリのぞうきん犬」というページがある。 引用させていただくと、 タイトルの写真に使用したアヴリルというワンコについては、こう書かれている。 「あんたたち、 自分のこと犬だと思ってないでしょ? 」笑 うちのワンコ

          ぞうきん、モップ、ホコリトリ

          アヴァンギャルド

          白石かずこの詩の”一部”が異様に好きだ。 アヴァンギャルドできれいだから。 でも、全部は少し苦手なときがある。 ちょっと残酷だったり官能的な表現があるから。 こんな読み方をしたらいけないのだけれど、 詩の”一部”だけ切り取ってしまう。 でもその切り取られた言葉には 不思議なリズムが宿り、 心が引っ張られてクラクラする。 私がクラクラした詩の”一部” < 思潮社 白石かずこ詩集より > 横尾忠則さんがデザインされた本も素敵だ。 そして、

          アヴァンギャルド

          オンナ度〜パリ・ニース〜

          まだ大人とはいえない年の頃、森瑤子さんの小説を読み、ある場面にドキッとした。 夫の不倫相手の女性宅を、妻である主人公が訪ねる場面。 玄関先に出てきた女性の、赤いペディキュアがきちんと塗られた足の爪を見て「負けた」と思う場面。 脳内に映像が流れ、「ああ、オンナ度ってこういうことだ」と妙に納得したのを覚えている。 女子力とは少し違う「オンナ度」。 私が今までオンナ度で「ああ、かなわない」 と思ったダントツ一位はFさんだ。 Fさんは実は男性である。 私が20代のころに画廊に勤め

          オンナ度〜パリ・ニース〜

          NAIFS

          神戸 岡本にある雑貨屋さん NAIFS (ナイーフ) 店内にはアジアやヨーロッパなど世界中の食器やキッチン用品がぎゅうぎゅうと並んでいる。 「いかにも」な品揃えのアジア雑貨のお店とは違い、オーナーの買い付けセンスが随所にキラキラ しているお店。 旅に出た時に、「市場で雑に積み上げてある食器」を探す感覚が思い出せるお店。 昔から大好きで、神戸に住んでいた大学生の頃 一人暮らしの小さなキッチンの食器は、ほとんどがNAIFSで見つけた器だった。インドのスプーン、ベトナムの小皿