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5月に観た映画リスト(全25本!)

もう6月もほぼ半分過ぎてしまいましたが、今さら5月に観た映画をまとめます。
ずっと、やろうやろうって思っていて、なんとなく欝々としたまま6月前半が過ぎてしまいました。
これが書ける気分になったということは、ようやく回復してきたということかな。

5月はほぼ1日1本のペースで映画を観て、途中の凹み期間に一週間ほど観なかったのですが、それでも25本観ることができました。
ほぼ毎回、観たあとにTwitterで短く感想も書きました。
それを基にしながら、ざざっとまとめていきたいと思います。

『グラン・トリノ』
4月末に参加した宮台先生の映画ラボで、「イーストウッド作品はすべて観るように!」と宮台先生がおっしゃっていたので、今月はイーストウッドをたくさん観るぞ、と思って選んだ1作品目。
めちゃくちゃ良かったです。心が震えまくって壊れるかと思いました。
生きる上で大切にしたい「美学」というか、「マトモってこういうことだよね」っていうのがぎゅっと詰まっている作品だと思いました。

『パーフェクト・ワールド』
イーストウッド作品2作目。こちらも最高に美しい作品でした。
『グラン・トリノ』と通底するものがあるなと思いながら観ました。
人生や世界って、先が見えなくて、自分のそのときの選択が本当に正しいかどうかなんて、ちっぽけな人間には分からないんですよね。だけどいろんな選択をして生きていかなくちゃいけない。
だから、どんな結果になっても引き受ける覚悟で、そのときの自分が(正しいではなく)最善と思える選択をしていくしかない。
というようなことを考える2作品でした。

『精神0』
想田和弘監督の観察映画(ドキュメンタリー)。こちらはコロナ禍で営業できなくなってしまった単館系映画館と、そこで上映予定だった作品を応援するための「仮説の映画館」という企画で鑑賞しました。
2008年公開の『精神』の舞台である精神科病院の山本医師が引退されるとのことで、引退までの病院の様子と、奥様との生活を観察した映画でした。
優しくとことん傾聴し寄り添う、患者さんたちとのやりとり、そして認知症の奥様にとことん寄り添う山本先生の姿。
山本先生の穏やかな「受け入れ力」に包み込まれたような気分になりました。

『運び屋』
イーストウッド祭り3作品目。88歳で監督主演を務めたイーストウッドの人たらし感が最高でした。
「守るものがない人間が一番強い」というか、失うものや捨てるものがなくなった人が、本当に強く優しくなれるんだろうなと感じました。

『マディソン郡の橋』
イーストウッド祭り4作品目。記憶にないくらい昔に観たんだけど、もう一度観てよかった!と心から思いました。
理想の恋愛、大人の男女のロマンスが凝縮されていて。イーストウッドとメリル・ストリープの会話のひとつひとつが、本当に素敵なんですよ。
いろんなものの「外側」で繋がれる愛ってこういうことだよねって。
中盤のダンスのシーンは胸がいっぱいになりました。私もこんな恋愛がしたい、本当に。

『ヘアスプレー』
コメディ調のミュージカルだけど、人種差別やルッキズムに明るく立ち向かうお話で、めちゃくちゃ元気をもらえました。
周りの人が何と言おうと、状況がどんなに良くなかろうと、自分が「こうする」って決めたことを信じること、そしてそのためには自分を信じること、肯定すること。
主人公の女の子の底抜けの明るさと自己肯定感が最高です。

『ミリオンダラー・ベイビー』
イーストウッド祭り5作品目。これはしんどい映画でした…。
前半はボクシングの成功物語という感じで、貧しさや年齢に負けずにひたむきにボクシングに打ち込む女の子の姿がステキなんだけど、後半は信じがたい展開になって。
これもまた、選択の善悪や正誤について(そんなものはないのだけど、だからこそ)ずっと深く深く考え続けさせられる作品でした。

『グッバイ・レーニン』
ドイツ語の先生に、旧東ドイツの雰囲気がよく分かるし、コメディとしてもおもしろいよ、と紹介してもらって観ました。
ベルリンの壁が崩壊した直後の東ドイツで、病気のお母さんに東西統一をひた隠すために奔走する、母思いの息子のお話です。
こういう映画を通して、歴史の一端を垣間見るというか、歴史に興味を持つことができるのはありがたいです。
けっこう東ドイツへの郷愁(オスタルギー)が溢れた作品で、「資本主義=豊かでしあわせ」って本当かな?本当のしあわせって何かな?って考える作品でした。

『許されざる者』
イーストウッド祭り6作品目。宮台先生曰く、この作品以降のイーストウッド作品が必聴だそうです。
イーストウッドめちゃくちゃかっこいいです。凶悪な殺人鬼のはずなのに、街の正義のはずの保安官よりも全然血が通っているのです。
本当の正しさ(マトモさ)は、法の外にあるのだよということが、この上なくかっこよく描かれています。

『ジャージー・ボーイズ』
イーストウッド祭り7作品目。「フォー・シーズンズ」の伝記的ミュージカル。
イーストウッドは、なぜこのミュージカルを映画化しようと思ったんだろう。「仲間」を描きたかったのかな。
フォー・シーズンズってバンドは知らなかったけど、「君の瞳に恋してる」は超有名だし、当時の音楽の雰囲気が楽しかったです。

『メランコリア』
ラース・フォン・トリアー監督作品。宮台先生が以前紹介されていたので観たのですが、めちゃくちゃ好きな作品でした。
隕石が地球に接近して、最後は衝突して滅亡しちゃうんだけど、重度のうつ病を抱えているジャスティンは、隕石が近づくにつれてどんどん冷静になって、逆に「普通」だった人たちがどんどんパニックになって。
作品全体を覆う(いろんな種類の)絶望感とか、ジャスティンの振る舞い、最後の甥っ子への愛情の示し方など、いちいち共鳴してしまって、「好き~!!」ってなりました。
たぶんラース・フォン・トリアー作品は初だったけど、他の作品もたくさん観たいと思いました。
宮台先生からは『アンチクライスト』を薦めていただきました。まだ観ていないけど。

『ミスティック・リバー』
イーストウッド祭り8作品目。こういう「思い込みによって世界ってどうとでも見えるよ。でもそれは真実とは限らないよ」って突きつけられる映画を観ると、そのあとに見える現実をどう受け止めていいか分からなくなってしまいます。
「私が本当だと思っていることは、本当に真実だろうか」「この人が見ている世界は、この人が作り上げた物語なのではないだろうか」「そもそもたったひとつの「真実」ってあるのだろうか」って…。
ちょうど、「#検察庁法改正案に反対します」がムーブメントになっているときで、たくさんの人がたくさんの視点をTwitterで投げかけているときだったので、余計に考え込んでしまいました。

ここで、私の配信しているPodcast「ガラクタらじお」にて「イーストウッド監督の映画を語る」回を収録&公開しました。

『ガタカ』
こちらは宮台先生が5本の指に入る大好きな作品とおっしゃっていたので、絶対観たかったのですが、さすがに最高でした。
遺伝子によって人間の優劣が決められ、新たな差別(格差)が生まれている近未来。まずその設定がありそうで怖い。
そして、どんな世の中でもどんな状況でも、何が大事かは自分が決める。本当に大事なことのために法の外側で生きる。そこで繋がれる本当の人間の心。かっこよかったです。

『旅立ちの時』
こちらは、神保さんが大好きとおっしゃっていたリバー・フェニックス主演の少し古い青春映画。
甘酸っぱくてハートフルで、芯のある映画でした。神保さんも素晴らしい芯をお持ちの方なので、この映画が好きなことはすごく納得です。
誰にも言ってはいけない秘密を打ち明ける、それを受け入れてもらうっていう、究極のフュージョン体験は、『ガタカ』にも出てくる甘美な瞬間で、「この人になら打ち明けられる、この人となら溶け合える」っていう相手に出会える幸福について考えたりしました。

『メシア』
Netflixの連続ドラマ、シーズン1全10話です。こちらも宮台先生がダースレイダーさんとの番組で触れられていて、コツコツと観ました。
すごく不思議なミステリーで難解なんだけど、不思議な魅力のある作品でした。
信仰とか信念とか救いとか。世界をどう見るか(切り取るか)、何を見て何を信じるのか。どれも根拠なく危ういものだけれど、それなしには生きられないものなのだろうなって感じました。
続きが気になる終わり方だったけど、シーズン2はないみたいで、残念です。

『きっと、うまくいく』
お誕生日当日に観ました。人生を明るく生きたいと思えるような映画が観たくて選びましたが、我ながら良いチョイスだったと思います。
3時間近くある長編のインド映画で、てんこ盛りだったけど、全然長く感じませんでした。
損得勘定まみれの競争社会、クソ社会にまったく迎合せず、自分の内発性だけを信じて飄々とご機嫌に生きているランチョーがすごく魅力的でした。こんなふうに生きられたら、どんなに楽しいだろう。
「成功を追うのではなく、自分の美徳に従えば、成功はおのずとついてくる」
成功するとかしないとかじゃなくて、内発性(美徳)に従って生きることがすべてだと感じました。

『恋はデジャヴ』
宮台先生ファン仲間からオススメしてもらった、タイムループもののラブコメディ。
町山智浩さんの解説が素晴らしいよ、とオススメしてもらったのだけど、確かに映画を観ただけでは気づけないような深い哲学的なテーマがあって、1日1日を大切に生きようと思えました。
無意味な繰り返しの中にも、意味やしあわせを見つけてしまうのが人間なんだよ、じゃあ積極的に見つけにいこうとするのもいいんじゃない?っていう感じかな。

『スイス・アーミー・マン』
これは一緒にPodcastラジオをやっているガオガオさんに「気に入ると思うよ」って薦められた作品です。
お下品さに大爆笑しつつ、美しい映像に魅了されつつ、ヘタレな男の子の冒険がとてもいとおしいと思ってしまう。
本当の自分なんて誰にも分かってもらえないから絶対出せない、周りの目を気にして窮屈に生きていて、くたびれちゃって、でも一人だけでも理解してくれる「本当の仲間」ができれば、勇気が出せるよね。

『トゥルーマン・ショー』
これは坂口恭平さんの「躁鬱大学」に出てきたので観ました。
ちょうどリアリティ番組が発端となる痛ましい事件が起きた直後だったので、リアリティショーの闇の部分を考えてしまって、素直に楽しめなかった感があります。
でも、たとえこの世界が造られたものだったとしても、自分が本当は誰かに操られているのだのしても、大切なことは変わらないはず。
大切だと思えることを大切にして生きられたらいいなって思いました。

『あの頃君を追いかけた』
なかなか元気が出ない日が続いていたときに、Twitterで「元気が出る作品をオススメしてください」と書いたら、フォロワーの方からオススメしていただいた作品、その1。
台湾の映画なんだけど、最高の青春映画でした。10代男子のおバカさがかわいくて、ヒロインの女の子が魅力的で。
実話が元になっている初恋物語なんだけど、叶いそうで叶わない恋の甘酸っぱさとか、ちょっと『ラ・ラ・ランド』っぽいラストとか、ハッピーエンドだけが良いわけじゃないよっていう(映画も人生も)メッセージを感じて、元気になりました。

『バーフバリ』
「元気が出る作品」でオススメしていただいた作品、その2。超スペクタクルなインド映画。
最初は作り物っぽい映像が笑えるんだけど、あまりの壮大さにだんだん引き込まれました。古代インドが舞台だけど、戦争のシーンとかは中世ヨーロッパっぽい雰囲気もあって。
この映画は、絶対自分では選ばない作品なので、オススメしてもらって観るのもいいなって思いました。

『スクール・オブ・ロック』
「元気が出る作品」でオススメしていただいた作品、その3。
最初は主人公のロックンロール野郎のあまりの傍若無人さがけっこうムカつくんだけど、だんだんとその空気の読めなさゆえに「ウンコのおじさん」になっていくさまが素晴らしかったです。
やっぱり素直に内発性に従っている人間が一番強くて魅力的なのかもしれない。

『ミッドナイト・ゴスペル』
Netflixのアニメ、全8話。宮台先生とダースレイダーさんの番組で、課題になっていた作品です。
かわいらしいけどすごくシュールなアニメーションの世界と、それとは一見無関係に滔々と流れるインタビューの会話(主にマインドフルネスや哲学の話題が中心)。
語られている内容も、気づきが多いものだったりして、何度も聞きたくなるんだけど、その語りのテンポ感とか、不思議でポップな色使いの世界観とか、観ているだけで「トリップ」できちゃう感覚がすごく好きでした。特に4話と8話が好きです。

『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』
宮台先生が出演しているらしい、というミーハー心で観たのですが、内容が衝撃的すぎでした。連合赤軍、浅間山荘事件、というのは、言葉と概要くらいは知っているつもりでしたが、ものすごい凄惨な内容で。
観終わった後に、朝までずっと連合赤軍について調べてしまいました。
数十年前の日本で、こんな凄惨な事件が起きていたとは。こうして映画で知ることができてよかったです。

『インビクタス』
イーストウッド作品9つめ。5月はイーストウッドに始まり、イーストウッドに終わろうと思って観たのですが、ちょうど黒人差別への抗議活動が激化しているときだったので、黒人差別という内容がタイムリーすぎでした。
実話に基づくお話だけど、イーストウッド監督がこの題材を取り上げたことに心底納得です。
「私が我が運命の支配者/私が我が魂の指揮官なのだ」
どれだけ理不尽に翻弄されても、見失いたくない光がある。


はい!全25作品、書き終えました!!
時間が経っていても、意外と内容や感想は覚えているものですね。
それだけ、心に残る作品をたくさん観られたということだと思います。
2ヶ月間、今までにない大量の映画を観つづけて思うことは、大袈裟に言うと、生きる指針というか大切な視点のようなものを、改めて教えてもらったり、思い出させてもらったりできるな、ということです。
やっぱり、ただ観て泣いたり笑ったり感動したりするだけではなく、それを観たあとの自分自身に、何か変化や引っ掛かりのようなものが残る映画体験をしたいですね。
それこそが宮台先生のおっしゃる「アート体験」ですもんね。

6月は不調が長引いたため、まだ全然観ていないのですが、引き続き良い映画を観ていきたいと思います。
久しぶりに誰かと映画館に行って、そのあとゆっくり感想を語るっていう体験もしたいなぁ。

4月に観た映画リストはこちらです。


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