今日、どこかの教室で #10
新型コロナウイルスで休校になった学校を舞台にした創作ストーリーを会話形式で綴っています。2000文字ほどですぐ読めます。
※完全一話完結です。この記事だけでも是非読んでください。
これまでのお話はコチラ!!
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一斉休校が始まって2週間が経とうとしています。家にいるのも、そろそろ飽きてくるころではないでしょうか?今日の舞台は学校ではありません。
3月13日 ☆☆彡キャンプ場
生徒・緒方翔真(15)と父親・緒方信幸(41)の場合。
翔真「飯盒開けないでよ。炊き上がり悪くなるから」
信幸「ごめんごめん。カレー先によそっておくから」
翔真「まだできてないから。父さん座っててよ」
信幸「わかったわかった」
翔真「・・・」
信幸「どう?楽しいか?キャンプ」
翔真「俺はどっちでもないよ。父さんの息抜きに付き合ってるだけだよ」
信幸「そうか、ありがとうな。二週間ずっと家にいて息が詰まってるんじゃないかと思ったんだけど」
翔真「母さんに休みをプレゼントするって言ってなかった?」
信幸「それもあるけど、お前のことも考えてるぞ」
翔真「それなら心配しないでよ。ちょいちょい遊びに行ってるから」
信幸「誰と?彼女と?」
翔真「それは・・・父さんには関係ないでしょ」
信幸「おうそうかそうか。まぁ若いうちにいろいろ経験しておけよ」
翔真「・・・」
信幸「・・・学校はどうなんだ?最近」
翔真「中学は卒業したばっかで、高校にはまだ一回も行ってないから。なんとも言えないよ」
信幸「それもそうだな・・・高校生活の目標は?」
翔真「面接かよ」
信幸「・・・ナイスツッコミ・・・」
翔真「・・・」
信幸「久しぶりだな・・・キャンプ・・・」
翔真「昔来てたっけ?」
信幸「来てただろー。でもまだ小さかったか。翔真が4歳になったくらいから仕事忙しくなって来なくなったからな」
翔真「そうだったんだ。今日は仕事大丈夫なの?」
信幸「どこもかしこも在宅勤務だから俺みたいにいろんな現場駆け回るサラリーマンはやることないのよ」
翔真「へぇ」
信幸「もともと俺とお母さんは会社のBBQで意気投合したアウトドアカップルなんだから」
翔真「そうなんだ。お父さんキャンプ好きだったんだ?」
信幸「そうだよ!大学の時からアウトドアサークルだったから」
翔真「じゃあなんでこんなに何もできないの?」
信幸「俺は盛り上げ役だったからな」
翔真「そう。じゃあなんでもやってくれる母さんとはお似合いだね」
信幸「そうそう。俺みたいなやつがさ、みんなが盛り上がってるときに急に手伝ったりするとさ、ギャップできゅんとくるらしいのよ、これが」
翔真「へぇ・・・それで母さんも?」
信幸「まぁな。お前も覚えとけよ。いつか使えるから」
翔真「使えるかな?」
信幸「俺と典子の馴れ初めの話とかしたことなかったっけ?」
翔真「初めて聞いた」
信幸「まあ典子もそういう話は自分からしなさそうだもんな」
翔真「うん」
信幸「せっかくだからこうやってとっておきの話をしようや。なんかないの?」
翔真「・・・ないよ」
信幸「嘘つけよ・・・さっき彼女いるって」
翔真「帰って母さんに聞いてよ」
信幸「母さんとはしてるのか?そういう話」
翔真「まぁ毎日顔合わせるからね、自然と」
信幸「そうか・・・でもあるだろ?男同士じゃなきゃできない話が」
翔真「まだ、そういうんじゃないから・・・」
信幸「いつその時がくるかわからないだろ?」
翔真「父さんが!なんか話してくれたら話すよ・・・」
信幸「とはいっても話すことなんてもう・・・不倫の話なんか」
翔真「え?」
信幸「いや、してないよ!?」
翔真「そ、そうだよね・・・まさか父さんもなんてそんなわけ」
信幸「え?」
翔真「え?」
信幸「今、『父さんも』って」
翔真「あ」
信幸「あ、じゃないよ」
翔真「いいから、いいから、気にしないで」
信幸「そういうわけにはいかないだろ。詳しく聞かせてくれよ」
翔真「いや・・・」
信幸「とんでもないとっておき持ってるじゃないか!なあ知ってること教えてくれよ、翔真から聞いたって言わないから」
翔真「でも・・・」
信幸「いいから教えてくれ、どうやって知ったんだ?」
翔真「・・・最近俺のいない昼間におしゃれして出ていくことが多くなって・・・」
信幸「・・・そうか」
翔真「行く前と帰っていくときの顔がみたことないくらいキラキラしてて」
信幸「・・・」
翔真「これドラマで見たやつだってすぐに気づいたんだ。行き先聞いても誤魔化すし・・・」
信幸「・・・グスッ・・・」
翔真「ごめんごめん・・・まだ俺の勘違いかもしれないから」
信幸「・・・グスッ・・・その通りだよ」
翔真「え?」
信幸「その通り。勘違い」
翔真「は?」
信幸「それ俺だよ」
翔真「どういうこと?」
信幸「お母さんが会いに行ってる相手は俺」
翔真「は⁉」
信幸「バレると恥ずかしいから、翔真には黙っておこうって話になったんだけど、昼間仕事の合間にお母さんと会ってました」
翔真「なんだそれ」
信幸「ごめんな、不安にさせて」
翔真「まぁ、何も問題ないなら良いけど・・・」
信幸「安心してくれ、俺たちはラブラブだ」
翔真「それはそれで知りたくなかったけど・・・」
信幸「じゃあ、聞かせてもらおうか翔真の彼女の話」
翔真「あ、カレーできたみたい」
信幸「ちょ、ズルいぞ!」
ー了ー
生徒たちは登校できませんが、僕は毎日投稿していくつもりです。
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