今日、どこかの教室で#9
新型コロナウイルスで休校になった学校を舞台にした創作ストーリーを会話形式で綴っています。2000文字ほどですぐ読めます。
※完全一話完結です。この記事だけでも是非読んでください。
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政府による大規模イベント自粛の波を受け、アーティストたちが相次いでライブを中止しています。発表の場を失って困っているのはプロの歌手だけではないかもしれません・・・。
3月12日 (^_*~]高校・2年B組
生徒・金村信二郎(17)と先生・多部田真保(27)の場合。
信二郎「失礼します!!」
真保「金村くん・・・どうしたのいきなり・・・しかもギター持って」
信二郎「今日は、先生に歌を聴いてもらいにやってきました!」
真保「え?それってもしかして・・・」
信二郎「卒業式で披露しようと思っていたんですが、中止になってしまったので、多部田先生だけにでも聞いてもらおうを思ってやってきました!」
真保「それって・・・どんな歌?」
信二郎「卒業生のみなさんに向けて僕なりのロックンロールを届けたいと思って作詞作曲しました!」
真保「私にむけてじゃなかったのね・・・安心したわ」
信二郎「では歌います!」
真保「ちょっと待って!」
信二郎「はい!ちょっと待ちます!」
真保「卒業式の、どのタイミングで歌おうと思ってたの?」
信二郎「式のエンディングで乱入しようと考えていました!」
真保「それは・・・チャンスなくなって良かったかもね・・・」
信二郎「では改めて・・・」
真保「はいはい・・・じゃあどうぞ」
信二郎「聴いてください、『空に歌うよ』」
ジャーンジャーンジャカジャーンチャカジャーン
真保「ちょっと、やめて」
ジャーンジャーンジャカジャーンジャーンジャーンジャーンジャカジャーンジャーン
信二郎「♪一人で~みていた~」
真保「止めて!」
信二郎「すいません」
真保「私トラウマかもしんない、弾き語りの」
信二郎「え?」
真保「昔同棲してたのよ、シンガーソングライターと」
信二郎「はぁ」
真保「そろそろ結婚かってとこまでいったところで、別のシンガーソングライターと浮気してるのがわかって、そこから私シンガーソングライターのこと大っ嫌いなのよ」
信二郎「全部のシンガーソングライターがそういう人ではないと思います!」
真保「ごめんごめん。でもさ、そんなに必要かな?音楽って、生活に。わざわざメロディー自分で伝えなきゃいけないことってあるかな?」
信二郎「それは・・・」
真保「私そんなことあってから音楽なんて全然聴いてないけど、聴かなくても全然やっていけてるよ?ねぇ音楽の何がそんなにいいの?」
信二郎「僕は!僕には、音楽しかないので音楽で伝えます!」
真保「はぁ」
信二郎「サッカー部のやつはサッカーで、頭いいやつは勉強で輝くように、僕は音楽で輝きます」
真保「あっそう」
信二郎「音楽でできた傷は音楽で癒してください!」
真保「偉い自信あるのね」
信二郎「はい、歌っていいですか!」
真保「いいけど、やっぱりここじゃ無理だわ」
信二郎「え?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
真保「こーこーなーらー、いーよー」
信二郎「校庭ってー広すぎて聞こえないと思いまーす」
真保「だいじょーぶー聞こえてるー」
信二郎「はい!じゃー行きます!」
ジャーンジャーンジャカジャーンジャーンジャーンジャーンジャカジャーンジャーン
信二郎「
♪一人でみていた~空は大きくて
僕は立ち上がり~恥ずかしくて叫んだ~
誰かに届けばいいな~近くの誰かに
春の風に背中を押されて~駆け出した僕が
息切れしてる間に~誰かに歌ってほしくて
君に届けばいいな~遠くの君に
ためらわないで歌うよ~ひとりじゃないこと
歌い続ける僕と~聴いている君
あの日すれ違った誰かも~明日出会う僕も
隣にいてとは言わないからさ
」
ジャーン
信二郎「どーでしたかー」
真保「まぁよかったよ普通に」
野球部員たち「「「ワーーーー」」」
真保「え、なんで野球部が?」
野球部員1「出場予定だった選抜高校野球が中止になったので!練習早く切り上げて、ミーティングしに学校に戻ってきました!」
真保「あーそうなのね」
野球部員2「今の歌!とても感動しました!」
信二郎「あ、ありがとうございます」
野球部員3「明日から頑張ろうと思えました!ありがとうございます!」
真保「泣いてる?」
野球部員4「みんなで胴上げだ!」
野球部員たち「「「ワーーーー!!!」」」
信二郎「え?」
野球部員たち「「「ワーッショイ、ワーッショイ」」」
信二郎「届いたぞー!やったー」
野球部員たち「「「ワーッショイ、ワーッショイ」」」
真保「よ、よかったねぇ」
ー了ー
生徒たちは登校できませんが、僕は毎日投稿していくつもりです。
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