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白熊杯 俳句審査員賞 【圭果賞】


しろくまきりんさんのステキなイラスト🐻‍❄️
ホストおつかれさまでした♡


白熊杯にたくさんの方にご参加いただきましてありがとうございました🐻‍❄️
お蔭さまで俳句は148名388句ものご応募があり、キャッチフレーズの「ほら、いつもそばにいるよ」に掲げられていたとおり、たくさんの方々に寄り添っていただき無事終了することができました。
心から感謝申し上げます。
企画、運営のスタッフの皆さま、本当にお疲れさまでした。いつもながらご尽力に感謝いたします。

私が審査員など烏滸がましい限りですが「みんなの俳句大会」の趣旨であります

感じたこと思ったことを素直に俳句にしてみよう

を大前提に、今回冬の大会なので

「凍てつく冬の寒さを感じながらも心の中は温かさを感じる句」

などを審査の基準にさせていただきました。

私は皆さんと同じ俳句仲間のひとりで俳句の先生でもなんでもないので、とにかく心に響いた句を直感で選ばせていただきました。
良句が多すぎて388句の中から審査員賞6句+入選句6句を選ぶのは至難の業でした。
またこの12句も同等だったのですが、最後は先に書きました審査基準で決めさせていただいた次第です。

前置きが長くなりましたがそれでは発表させていただきます。

 

     🐻‍❄️大賞🐻‍❄️

【寒月や部屋に命を刻む音】 チズさん

病室にピッピッと命を刻む機械の音が響き渡るのは私も父母共に経験があるので何とも言えない気持ちが伝わります。
定期的に刻まれる音は確実に生きていることを知らせてくれているのに、冷たい機械音は胸に刺さります。
冷え冷えとした窓の外の月「寒月」という季語がその胸の内を表しているように思え、冷たい機械音とオーバーラップします。
チズさんは「〜に」は説明的かと書かれていましたが、命を刻む音が部屋(に)響き渡っているので私はとても良いと思いました。
場面の切り取り方が繊細で見守る優しさが溢れていると感じました。

おめでとうございます🐻‍❄️


    🐻‍❄️銀賞🐻‍❄️

【咳ひとつシャッター街を軋めけり】 うみのちえさん


「咳」という季語に「シャッター街」という寂れた風景の取り合わせが素晴らしいと思いました。「咳ひとつ」という上五がその風景に溶け込みさらに「軋めけり」でキシキシいう音も聞こえ風の冷たさ、心の寂しさをも表しているように感じ胸が締め付けられました。
ひとつひとつの言葉選びが丁寧で情景を膨らませていると思いました。

おめでとうございます🐻‍❄️


 🐻‍❄️銅賞🐻‍❄️

【冬の日の地蔵にふれる夫婦かな】 
兄弟航路さん


童話の「笠地蔵」を思い浮かべるような静かな冬の日の光景を思いました。
雪も散らついているのでしょうか。冷たく凍えるようなお地蔵さまをいたわってそっと触れる老夫婦にも思えます。
この十七音の中に冬の空気の冷たさ、お地蔵さまを思う夫婦の心の温かさがぎゅっと詰まっているようで感動しました。

おめでとうございます🐻‍❄️


 🐻‍❄️4位🐻‍❄️

【深深と雪雪と唯六花】  十六夜さん


ただただずっと降り続く雪を想像できて「しんしん、せつせつ」という言葉の響きがより冷たさと切なさを表していてステキだと思いました。
十六夜さんは「雪がすべての音を吸収するかのような世界が好き」とおっしゃっていますが、ただただ降りしきる雪の世界に雪の結晶である季語「六花むつのはな」がとても印象的で映像が浮かびます。声に出して読んでも字面を見ても美しいと思いました。

おめでとうございます🐻‍❄️


  🐻‍❄️五位🐻‍❄️

【初雪に笑む子と憂う母の皺】 Camyuさん

今年初めて降った雪、あるいは初めて雪を見たお子さんかもしれませんが、雪を見たらお子さんは大はしゃぎですね。
それに引きかえ「積もったら大変だ」「雪かきはどうしよう」などと少し心配になりながらも喜んでいるお子さんを見て一緒に微笑んでいるような母の姿にも思えます。それは「憂う母」ではなく「憂う母の皺」という着地で感じました。
これは作者のお子さんと作者のお母さまのような関係を思え、何とも言えない表情をしている憂う母の気持ちを汲み取っている優しい眼差しも感じました。
はしゃいでいるお子さんと母の憂い顔の対比が「初雪」の季語と共にとても効いていると思いました。

おめでとうございます🐻‍❄️


 🐻‍❄️六位🐻‍❄️

【迷子のわたし混々と雪止まず】   大橋ちよさん


「混々と」と降る雪の「こんこん」がシンクロして「混々と」という表現から雪の中を迷子になっているような心の迷いを感じながら、それでもこんこんと雪しきる道を歩んで行くような心の強さも感じました。
七・十の破調も、よりこの句を引き立てていると思い心に響きました。

おめでとうございます🐻‍❄️


以下は入選句六句です🐻‍❄️順位はありません。
先に申し上げましたとおり、上記の六句と同じくらい感動させていただきましたが、審査基準で分けさせていただきました🙇‍♀️

【年玉は貰えぬ輪転機止まぬ】 白さん


二物衝撃と言うのでしょうか。
お年玉と輪転機…この二つの取り合わせで味わい深いものになるのですね。
お年玉っていつまで貰っていたのでしょう。そんなことを考えながら、輪転機の回っている規則的な音と共に早く終わらないかなぁなどと見つめている姿が目に浮かびます。
若い方は輪転機をご存知ないかもしれませんね。
学校ではまだまだ輪転機は現役だそうですが、驚きました。かれこれ40年くらい前は会社にもコピー機はフロアにひとつ、コピーをするのも順番待ちでした。しかもコストがかかるため多くの書類を印刷する時は輪転機を使いました。
今の輪転機とも違ってカーボンを挟んでタイプを打ってそれを円筒型の輪転機に挟んで手動でグルグル回しました。
懐かしい思いと共に、九・八の破調の句「貰えぬ」「止まぬ」の言葉の切り方に心奪われ勉強させていただきました。


【いつしんに振りぬく鍬よ春を待つ】 チューダ(知遊陀)さん


一番乗りにご応募ありがとうございました🐻‍❄️
チューダさんの心意気を感じます。
まだ空気の冷たい畑で一生懸命、鍬を振りぬいている姿が思い浮かび、春に芽が出るように心を込めて耕しているひたむきさも伝わります。
「いつしんに」が祈りのこもった心情をより強く表していると思いました。


【冬北斗三等星の自尊心】     雪ん子さん


冬の北斗七星🌟おおくま座の腰から尻の部分である柄杓の形をしている七つの星ですが、六つの星は二等星なのですね。
一番大事な柄杓の柄の付け根の部分のメグレスだけは三等星ということで、健気に光っているメグレスに注目されるのは流石だなぁと思いました。
春に向かって北東の空から天心に移って行く北斗七星(おおくま座)は、まさに白熊杯の前途を祝福してくれているようですね🐻‍❄️

みんなの俳句大賞おめでとうございます🎊


蒼穹そうきゅうに軽く運命さだめを跳ぶうさぎ】   ひろ生さん


「蒼穹」蒼は青、穹は天空を表すステキな言葉ですね。青く晴れ渡った大空は壮大で青も濃くて深く吸い込まれそうに思えます。
今年はうさぎ年ですが「うさぎ」は冬の季語
うさぎをご自身とも重ねて運めを跳ぶ…しかも軽くと言うところに信念を感じます。


【母さんの愚痴聞く夜の虎落笛もがりぶえ】   ゆずさん


凍てつく冬の夜、風が音を立てて吹き荒んでいる中、お母さんの愚痴を頷くだけで黙って聞いてあげている光景が目に浮かびます。
外は垣根に吹き付ける冷たい風が笛のように音を立てている「虎落笛」がお母さんの愚痴とシンクロしているようにも見え、季語との取り合わせが絶妙だと思いました。


【忘れ花迎ふる朝のあたらしき】   すうぷさん


小春日に返り咲く健気な2.3輪の花が、やがて厳しい冬を思いやるように思いがけなく咲いた静かな朝の光景でしょうか。
そこに新年の希望のようなものも感じました。
時ならぬ花は帰り花とも言いますが、それに気づく花々への優しい眼差しも見えます。
冬に咲く健気な花は気分も和らげてくれて、新たな一歩を踏み出させてくれますね。


たくさんの良句を拝見しましたので、ここに選びきれずとても心が痛みます。
最終的には20句に絞りましたので残りの八句も別記事にてご紹介させていただきたいと思っております。

また、今回俳句の記事には全てコメントしないで読み流しまして失礼いたしました。
最終的には一覧で選ばせていただきました。

多くの良句の中、最後に選択するのはほんの少しの好みの違いだけの様に思えます。
それだけにたくさんの方が私設賞を投稿してくださって感謝しております。

今回の大会は7回目になりますが、回を重ねるごとに思うことは、たくさんの方に選ばれる句はもちろん良句ですが、ひとりでも共感していただき感動を与えた句も良句だと自信を持って良いのだと思えます。
私自身コメントをいただいた時、どんな賞をもらうより嬉しかったことが度々ありました。

今回も大変勉強になりました。
ありがとうございました。


しろくまきりんさんの参加賞お受け取りください🐻‍❄️


私からは💐



審査員賞



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