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暴力エンタメオタクの群れが表計算ソフトに住みはじめた話


SNS、いいですよね。皆さんは、SNSですか?Twitter?tiktok?Instagram?

わたしは表計算ソフトに住んでいます。いいですよ、表計算ソフト。

はじめまして、アロハ天狗と申します。

表計算ソフトのオタク・コミュニティサイトとしての住み心地がめちゃくちゃ良かったので表計算ソフトの話をします。

SNSで好きなものについて大騒ぎしていると人が寄ってくる


わたしは人がバカスカ死ぬタイプのエンタメ(男たちの挽歌とかDOOMとかニンジャスレイヤーとかゾンビ屋れい子とか)が好きなオタクでして、よくTwitterとかtogetterとかで、「ウォー!エイリアン2最高ッ!人が死ぬッ!」とか「ウォー!ワールドウォーZの原作小説最高ッ!人が死ぬッ!」とか絶叫してるんですよ。一人で。

ところがですね、好きな作品について一人で大絶叫してると、ありがたいことにいつの間にか似たような作品を好きな連中が周りに集まってくれてゆるいコミュニティが形成されるわけですね。SNSの醍醐味の一つです。(あとは個人攻撃とか学級会とかデマの拡散とかです)

そーすると交流の中で「この作品観ました!?人が死ぬからオススメですよ!」とか「この作品好きなんですか?めちゃくちゃ人が死ぬから面白いですよね!」とか、楽しいやりとりが発生します。いいですね。同好の士からまだ見ぬ傑作をオススメしてもらったり、大好きな作品についての愛を共有したり、自分がきっかけで誰かが素晴らしい作品と出会ってくれたりするわけです。

SNS上のオタク・コミュニケーションの抱える課題


ただ、こうした楽しいオタク・コミュニケーションも、コミュニティの人が増えてくるにつれ、以下の課題が顕在化してきました。

オススメされる作品が多すぎて、保留してるうちにどれがどれだかわからなくなる(記憶力があほなので)
他人に何をオススメしたかを忘れる(記憶力があほなので)
誰が何を経験済みで誰が何を経験したか全然わからなくなる(記憶力があほだしオタクだから他人に関心が薄いので)

具体例1:
『まきちゃんがこの前オススメしてくれたアノ映画なんだっけな・・・ほら・・・なんか香港で・・・人がめっちゃ死ぬヤツ・・・まあええわ!他の観るか!ガハハ!』

具体例2:
『まきちゃんって"マッハ!!!!!!!!!!"とか観てましたっけ?人も死ぬしオススメですよ!』『あんたにオススメされて観たでしょ!めちゃくちゃ面白かったよ!あとこの下りもう3回目!』『そーでしたっけ!ガハハ!』

こうなるとまーまー不便ですし、こう、今つるんでるようなオタク連中だと
「コイツはどんな人間か」というのと「コイツはどんな作品が好きか」というのがほぼ同義なので、その辺がタイムラインのストリームでチョロっと流れて終わりってのは結構辛いんですよね。

例えば私のようにnoteとかでオールタイムベスト作品リストなんかをあらかじめ公開しておくというのも一つの手段ではありますが、これはこれで他人との比較がしづらいし、管理もなんだかんだし辛いという点がちょっとした悩みでした。

で、そこで表計算ソフトですよ。

『せーの、表計算ソフト、サイコー!!』


と、いうことで表計算ソフト(googleスプレッドシート)を導入してみました。(こんなの欲しい欲しい言ってるだけでゴロゴロしてたら親切で有能な人が作ってくれた

結果的に、めちゃくちゃ便利というか、現時点で殆ど後世への遺産めいたものができてしまいました。

基本的な仕様としては
・行で作品
・列で個人
・セルで各人の視聴ステータスを管理(未見、既見、オススメ等)
・映画、漫画、ゲームなど毎にシート分け
オンライン上で管理されており、複数人が同時に編集可能
となっています。

(こんなかんじです ショベルナイト超面白いよ)

で、具体的なメリットとしては、以下のようなところです。

①自分が他人にオススメしたい作品が随時追加できる
②他人がどの作品を体験したかの確認が一発
③自分が未見で、かつ趣味の近い人がオススメしてる作品の確認も容易
④どの作品が似たよーな趣味のヤローどもの中で特に人気か明白
⑤個人ごとの特性(誰がどんなジャンルに強いか etc)も一目瞭然

なので、
「この映画めちゃくちゃ最高やけどお前ら誰も観てへんのか!よっしゃプレゼンするで!」とか、「〇〇さんこのゲーム好きそうだけどやってるのかな、おっ、お気に入り済じゃん。あのボス戦語ろう」とか、「次の小説何読もうかな…俺が読んでなくて、趣味近いこの人のオススメでフィルターして…あ!これ気になってた!」とか、「あれ、バーフバリ観てないの俺だけ?この機会に観ちまうか」とか「△さん、ゲームとかは普通だけどアニメの詳しさ尋常じゃないな…アニメのことならめちゃくちゃ信頼できる…」とかが即座に実現できちゃうんですよ。アッこーいうのが欲しかった。

(例えば映画を集団での人気順にソートするとこんなかんじですね。魔女の宅急便が浮きすぎている)

完全にオタク・文化系溜まり場部室の本棚に刃牙とかカイジとか覚悟のススメを全巻入れていくのと同じノリですね。部室だ…

あと単純に好きな作品をガーッてみんなで並べてもう観ただのまだ観てないだの埋めてく行為自体が超楽しい・・・オタクは好きな作品でしか自分を定義できない生物・・・ウーパールーパー・・・

運用上の課題

という感じでめちゃくちゃ便利だしタノシーなんですが、まだ運用開始してすぐなので、課題も結構あります。(アイデアください)

・悪意ある第三者への攻撃に無防備
だれでも編集可能ということで、現状だとシートそのものの削除や空欄化、データの改変といった攻撃に対してノーガードという点は明白なリスクです。
履歴からの復旧やバックアップを取るというベーシックな手法で対策していますが・・・

・シートの肥大化による重量化 **
これも課題で、
超楽しいのでみんなで浮かれて大量の作品を追加したり、勢いで便利集計関数をホイホイ突っ込みまくっていたら挙動が重くなってきました**。中で書式条件が肥大化したりもしているのでこの辺は最適化や式の見直しが必要かもしれません。

・コミュニティのメンバー
オタクとしてのコンテンツ生息圏が重ならない人を無暗に入れても、リストのオススメ精度がガンガン下がってただの定番作品の羅列にしかならないので、これはある程度少数のクローズドなコミュニティが向いていると感じます。

いかがでしたかブログによる汚染が深刻なGoogle、限界集落と化した旧2ch、Amazonレビューは勿論metacriticやrotten tomatoのようなレビュー集積サイトも腰抜けのレビューボムによって機能不全となりつつある今、フラットな大衆の集まりによる知の集約という幻想は完全に破壊されつつあります。

その意味で(こと趣味的な領域では特に)有象無象のレビューを100件見るよりも、信頼できるオタクを一人見つけたほうが遥かに有用とはすでに常識ですが、それが顕著に発揮されるのが今回の試みだと思います。

とはいえ、閉鎖的カルト社会は過疎化して衰退で済めばマシなほうなので、塩梅は悩ましいです(これはコミュニティという概念そのものの普遍的な課題ですが)

落としどころとしては、twitterなどのオープンなコミュニティでワオワオしつつ、似た趣味につられて寄ってきた人を引き入れるとかでしょうか。

未来へ…!

若干の課題は残っていますが、我々開発チームは今回のエクスペリエンスに対して期待した以上の大きな達成を実現できたと考えております。

求められるハード的な機能としてはほぼ実装できたので、後は楽しく使っていくだけですね。(わたしもアクション映画やSF小説などで未体験の傑作がドカドカあることが改めて可視化されましたので積極的に食っていきたい)

今回のわれわれは人がバカスカ死ぬ暴力エンタメが好きな連中が多いのでそーいった作品が中心のevil寄り暗黒リストとなりましたが、例えば百合作品好きとかアイドル好きとか、趣味のコミュニティ単位で作っておくとそれぞれの世界が深まる感じがするので、暴力殺人ゲームオタク以外の皆さんにも色々とオススメします。要するに、それぞれの部室を作って自分たちで世界にある楽しいものを共有していこうということです!

すでに、WEB小説読み界隈でこの取り組みのフォロワーが出てきたという話もあり、なんかこうした面白い感じをそれぞれワオワオしていって世界を良くしたり人がいっぱい死んだりすると楽しいですね。

せーの、表計算ソフト、サイコー!

(おわりです スパイダーバース死ぬほど面白かった)





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