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【雑談の授業】湿った花火に火をつけるトレーニング


昨日から新しい雑談のクラスが始まりました。

メンバーは前学期と同じです。
前回のタームでは「コミュニケーションツールとしての雑談スキルを身につける」というのが目的でしたが、今回は「自分の意見や考えを分かりやすく相手に伝える」ことが最終目標です。

前学期の段階で、彼らが「話すことが好きで、自発的に話したい気持ちが強い人が多い」ということはわかっていました。ただ「一方的に自分の話ばかりする(いわゆるマシンガントーク)人が多い」というのが気になっていました。

既に様々な日本語表現を知っているので、それを駆使してたくさん話すのですが、聞いている途中でこちらが「何の話をしてるんだっけ?」と思ってしまうようなことも多々あります。

そこで、今回は「5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本」を取り入れることにしました。

この本の中にはアウトプットのためのトレーニングがいくつも出てきます。
始めに出てくるのが、語彙力を増やすトレーニングです。
たとえば「30秒で単語を10個言ってみよう」というもの。

この本では、「語彙力がないと感じている人の多くは、ある程度の語彙は既に備わっているが、湿った花火のようになって脳の中で眠っているだけ。それに火をつける練習をすれば、必要な場面で花火を上げることができる」とあります。
それに火をつけるのがこのトレーニングです。

実際にやってみるとなかなか難しいです。
授業では、はじめは彼らの母語でやってもらいます。
「花の名前10個」
「ヨーロッパの都市の名前10個」など、相手にランダムにお題を出してもらいます。
皆「いやいや、○○語なら簡単でしょ」と言いますが、必死で考えても最後の一つ二つは出てきません。

(この記事を読んでいる皆さまも、ぜひ試してみてください!)

これはあくまで「トレーニング」です。
筋トレと同じで、毎日続けることで効果を発揮します。

こちらのトレーニングですが
西隈先生の「考える・理解する・伝える力が身につく 日本語ロジカルトレーニング 初級」の一番初めに「リストアップ」として同様の活動が載っています。



やはり相手にうまく伝えるためには、まずは自分の頭の中で眠っている語彙を呼び起こしたり、整理しておくこと。
これが重要な第一歩なんですね。

外国語の語彙を習得する手段としても、理にかなっています。
一度頭に入れたものを、毎日トレーニングしながら使えるようにしていくことで、「語彙力」という武器に変えていくことができると思います。

授業でも、私が「日本語の語彙を覚える時も使えるよ」と言うと
「まさにこれをずっとやっていた」と答えた学生が何人もいました。

余談ですが「おじいちゃんに教えてあげたい・・・」とつぶやいた学生もいました。

語彙が豊富でその場その場にふさわしい言葉をサッと取り出す人と、最低限の言葉で済ませてしまう人にはこうした脳内の活動の違いもあるかもしれませんね。

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