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【アートと詩】〜この宇宙の片隅で〜

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うつくしき小宇宙の創造主、絵描き・ヨガインストラクターMoeちゃんの絵から生まれたちいさなものがたり。 【ポストカードSHOP】 https://moemuta.thebase…
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記事一覧

この宇宙に たった一人で すべてのわたしのために

この宇宙に たった一人で すべてのわたしのために

あぶくみたいに
生まれては消える
日々のうたかたを

手のひらに乗せて
じっと見つめてみるの

ひらきたての花弁の上で
憩う雫

あ、小さな虹
いのちの一欠片

月に絆されて
砕けては散る
涙のしぶきで

ペンの先を濡らして
描いてみるの

夜の波に揺れる
クラゲのダンス

あ、絡まる触手
世界の一欠片

こぼれ堕ちていく
光と闇を
抱き寄せては
紡いで

流れ去っていく
色と音を
捕まえては

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楽園へいこう

楽園へいこう

焼け爛れた 朱い空に浮かぶ
あれは 太陽か 月か 

千切れ飛ぶ 雲の破片
消滅する 星の飛沫

見上げれば そこに 終末

「さあ 逃げて」

誰かが 囁く
耳の奥 渦巻く螺旋に
靴音が 響く 

「誰」

答えは ない
僕は 立ち竦む

朽ち果てた 地平に蠢く 
あれは 蛇か 鬼か

侵食する 幾千もの触手
増殖する 幾億もの細胞

見渡せば そこに 終末

「さあ 逃げて」

誰かが 叫ぶ

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あなたが生まれた日。わたしが死ぬ日。

あなたが生まれた日。わたしが死ぬ日。

あのね
あなたが 生まれる ずっと前
かあちゃん 泣いたよ
会いたくて
どこにいるのーって
叫んだ
涙で なんにも 見えなくて
だけど 知ってた
ずっと 待っててくれてたこと

あのね
あなたが おなかにいる頃
かあちゃん 歌ったよ
伝えたくて
大丈夫だよーって
何度も
楽しいことも かなしいことも
この星では みんな美しい
一緒に 見にいこうよ

あのね
あなたが 生まれた瞬間
かあちゃん 笑っ

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世界の終わりを花束にして

世界の終わりを花束にして

かなしいこと
たくさん あったわ

泣いた
犬みたいに
夜の 歩道橋の上で

息するのも 鬱陶しくて
じぶんが誰なのかも 忘れて

でもね いま
わかるの

星も見えない
まっくら闇
誰もいない

世界の終わりに
うずくまってた
ちいさな わたしを

宙の向こうから
見つめるもの

それは
かみさまでも
天使でもない
今日のわたし

あの日の 慟哭を
あの日の なみだを

花を摘むみたいに
ひと

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星を織る

星を織る

宙を 泳いでたんだ
裸足で
スカートの裾が
揺らめいて 海月みたい

雲に ほおずりしたら
なつかしい におい
記憶の粒の 真ん中の
昏い 甘い 喚びごえ

星が 降りてきたよ
つかまえて 齧ってみて
シャリシャリ サラサラ
白い闇に浮かぶ 飴玉たち

聴かせて 音楽を
この世界が生まれる
もっと ずっと前の
最初の 産声を

光よりも早く
この宇宙を 一周して
後ろから 抱きしめる

その腕

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椰子の木と太陽

椰子の木と太陽

一本の 椰子の木が
太陽に 恋をした

 
山から 昇る
朝日を見上げ

海へと沈む
夕日を見つめ

雨の日は 雲を仰ぎ
夜の闇に 月と語り

波の数だけ 願う

かみさま どうか
誰よりも わたしを 高く
空の天井に 手が届くほどに

あのひとに 触れられる ように
あのひとに 届けられる ように

この風を
この歌を
この光を

一本の 椰子の木が
太陽に 恋をした

何千回 何万回

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モシモシ宇宙

モシモシ宇宙

モシモシ宇宙
聴こえてるかな
満月の夜は
きみを いつもより
近く感じる

星をつないで
首飾りにしたよ
きみの 漆黒のうなじに
そっと
かけてあげたい

モシモシ宇宙
ここにいると
ときどき 哀しくなる
きみの ほんとうの姿を
このぼくでさえ まだ知らない

目を開けてると 見えなくて
目を閉じてると 見えるもの

世界中の宝石を
集めて敷き詰めても
きみを 描けやしない

だけど
ぼくが 笑う

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