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謎の光の正体は。

父・縁側・光

「眩しい!」
私は叫んだ。

せっかくの土曜日だというのに、部屋に入り込んだ無慈悲な光によって起こされた。

おかしい、この部屋には窓が無い。日差しなど入るはずがないのだ。

だが、次の日も謎の光は私の眠りを妨げた。優雅な休日を守るためにも、なんとかしなくてはならない。私は調査に乗り出した。
 
調査の結果、光が差すのは休日の6:00〜6:05分の5分間だけであることが分かった。光源はふすまを隔てた先にある縁側からだが、そこから私の部屋までは距離があり、到底日差しが届くとは思えない。調査は行き詰まってしまった。

考えあぐねていると、そこに仕事を終えて帰宅した父が現れた。その姿を見た瞬間、私は閃いた。明日は幸運にも休日だ。私の推理が正しければ、謎の光の正体を暴くことができるはずだ。

次の日の朝、私が縁側で待ち伏せていると、父が現れ、縁側に座って新聞を読み始めた。しばらくして日が登り始めると、その日差しは父のハゲ上がった頭頂部に反射し、ふすまに開いた穴を通り、私の枕を照らした。

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