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無料の誕生と19世紀パリの魅力【『ゲンロン12』刊行記念】鹿島茂 × 東浩紀関連書籍の紹介

2021年10月15日、ゲンロンカフェにおいて「無料の誕生と19世紀パリの魅力」と題する鹿島茂さんをゲストとする講演会が開催されました。19世紀パリから現代の日本を見るといった趣で、博識の鹿島さんが、新聞に広告をいれることを思いついたジラルダンを皮切りに、次から次へと話をつないでいきます。東さんの的確な合いの手により話は思わぬ方向に転がりながらも、どの瞬間にも新情報のある5時間半でした。この講演に関係のある本をまとめてご紹介します。


19世紀フランスの有名人の伝記

鹿島さんには、19世紀フランスの著名人の伝記が数多くあります。

19世紀、「著作権」を確率するために奔走したのが作家のバルザック、新聞広告を確立したジラルダン、フィガロを創設したヴィルメサンなど。

中でも、日本のビジネスマンに参考となるのは、パリ左岸のデパート、ボン・マルシェの創業者、ブシコー夫妻の物語。社員の福利厚生にも力をいれた経営は「成長と分配」の参考になるかもです。

悪名高き為政者ナポレオン三世や、その部下でパリ大改造を行ったオスマンの伝記もあります。

伝記ではないのですが、19世紀パリの一大イベント、パリ万博について書いた『絶景、パリ万国博覧会ーサン・シモンの鉄の夢』は長らく絶版でしたが、近日再版予定とのこと。

日本の実業家の評伝など

東さんが付箋をいっぱい貼っていた本が小林一三の評伝。宝塚歌劇団の創設者としても知られていますね。

大河ドラマの主人公、新一万円札の顔として、知名度爆上げ中の渋沢栄一の伝記。エピソードが並んでいるので、読みやすいです。

絵画コレクションの図録など

鹿島コレクションは19世紀から20世紀の印刷アートを集めたもの。女性も子どももとってもかわいい。東さんも付箋をいっぱい貼って楽しそうに眺めてました。

展覧会ではないですが、『「レ・ミゼラブル」百六景』、『職業別パリ風俗』も鹿島さん所有の図録がたくさん紹介されている、見て楽しい本です。

セックス関係の著作

19世紀パリはメゾン・クローズと呼ばれる、娼館が生まれた時期でもありました。『パリ、娼婦の館』、『パリ、娼婦の街』は19世紀パリのナイトライフ事情も書かれています。

また、エッセイ集『オール・アバウト・セックス』、対談集『オン・セックス』はALLREVIEWSのショップで販売中。こちらは数に限りがあるので、お早目に。

エマニュエル・トッド、吉本隆明

鹿島さんの最近の関心はエマニュエル・トッドと吉本隆明。トッドについては『エマニュエル・トッドで読み解く世界史の深層』、吉本隆明については『新版 吉本隆明1968』をご参照ください。

鹿島茂さんの著作サイト

広くて深い鹿島茂の世界。その著作物の全貌は著者の鹿島先生も把握しきれていないとうかがいました。そんな広大な鹿島茂先生の仕事の全貌、ファンの方が整理しています。鹿島先生公認の労作サイトです。

最後に~鹿島先生のお話が月1回聴けます

鹿島茂さんは書評サイトALLREVIEWSを主催しており、友の会会員になると、月1回、鹿島先生とゲスト講師の方の対談が聴けます。過去の対談は書籍化されています。

友の会会員になると、月1回、鹿島茂先生の他、書評家豊崎由美さんの講演も聴くことができます。過去のアーカイブも視聴可能です。

【「ALL REVIEWS 友の会」とは】
書評アーカイブサイトALL REVIEWSのファンクラブ。「進みながら強くなる」を合言葉に、右肩下がりの出版業界を「書評を切り口にしてどう盛り上げていけるか」を考えて行動したり(しなかったり)する、ゆるい集まりです。
入会すると、日本を代表する書評家、鹿島茂さんと豊崎由美さんのお二人がパーソナリティーをつとめる、書評YouTube番組を視聴できます。
友の会会員同士の交流は、FacebookグループやSlackで、また、Twitter/noteで、会員有志が読書好きにうれしい情報を日々発信しています。
友の会会員の立案企画として「書評家と行く書店ツアー」、フランスのコミック<バンド・デシネ>をテーマとしたレアなトークイベントや、関西エリアでの出張イベント等が、続々と実現しています。2020年以降はオンライン配信イベントにより力をいれています。
さらに、Twitter文学賞の志を継承した「みんなのつぶやき文学賞」では、友の会会員有志が運営にボランティアとして協力。若手書評家と一緒に賞を作り上げていく過程を楽しみました。
2021年2月には、鹿島茂さんとの対談6本をまとめた『この1冊、ここまで読むか!超深掘り読書のススメ』が祥伝社より刊行されています。
本が読まれない時代を嘆くだけではダメだと思う方、ぜひご参加ください。
ALL REVIEWS友のTwitter:https://twitter.com/a_r_tomonokai

【記事を書いた人:くるくる】

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