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友の会会員が選ぶ「別れと出会いの季節に贈りたい本」

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#小説

友の会会員が選ぶ「別れと出会いの季節に贈りたい本」DAY.1

友の会会員が選ぶ「別れと出会いの季節に贈りたい本」DAY.1

くるくる選:山崎ナオコーラ『趣味で腹いっぱい』

本来なら4月は新しい出会いで期待に満ちているはずだ。しかし今年、2020年4月は新型肺炎の余波でとても新しい出会いを寿ぐ気分ではない。

こんなときは読書だ。少し時間ができた人には「鈍器」と呼ばれる重厚長大な作品をお勧めしたいが、疲れて不安になっている人には簡単に読めて、気分が楽になる本で心を休めてほしい。

ALL REVIEWS 友の会で、トミ

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友の会会員が選ぶ「別れと出会いの季節に贈りたい本」DAY.2

友の会会員が選ぶ「別れと出会いの季節に贈りたい本」DAY.2



『パリの手記1 海そして変容』(辻邦生 1973年 河出書房新社)をまたこの時期に読み直した。(上の画像は後の文庫版の書影。なお『パリの手記』は新潮社版の辻邦生全集にも収録されている。)

辻邦生のパリ(またはフランス)滞在日記は3種類ある。
(1)『パリの手記』(全5巻)。(1957年からの最初のパリ滞在。)
(2)『モンマルトル日記』(集英社)。(1968年からの滞在。)
(3)『パリの時

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友の会会員が選ぶ「別れと出会いの季節に贈りたい本」DAY.5

友の会会員が選ぶ「別れと出会いの季節に贈りたい本」DAY.5

きみこ選:辻 仁成『愛のあとにくるもの』

桜の季節に読み返す一冊

本当はこれにしたくなかった。主人公の潤吾が女々しいから。だけど私はこの本が大好きで、一時期、春になると必ず読み返していた。だから今回読むのは4回目だろうか。

久しぶりの再読。驚くべきことに細かいストーリーは忘れている。日韓の歴史と苦悩。意表を突く表現。はっとする比喩が胸に迫る。長い長い一編の詩のようだ。

人は試練を乗り越える

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