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【アトピー性皮膚炎】皮膚炎におすすめ漢方薬の紹介

いつき博士です。
アレルギー患者教育向けサイト
を運営しています。

昨今、アトピー性皮膚炎領域の
研究開発は目覚ましく
たくさんの治療薬が登場しています。

一方で、現代の医療進歩においても
夜のかゆみに苦しんだり
薬の副作用に悩む方も多いです。

治療に行き詰まったとき
選択肢の一つとして
漢方薬が使用されることがあります。

今回は、治療の幅を広げるために
漢方薬の可能性を考えてみましょう!



0.漢方薬?生薬?

0-1.漢方薬とは

日本の伝統医学である漢方医学理論に基づき
自然の生薬を混合して使用する治療薬です。

生薬の解説は前回の記事 ↓
をぜひ参照してください!
「鼻炎におすすめ漢方薬の紹介」

0-2.代表的な皮膚炎に効く生薬

そもそもアトピー性皮膚炎とは
皮膚バリア異常+アレルギー反応により
辛いかゆみ症状を引き起こします。

大きく分けて考えると
外と内の異常が起こっている状態です。
外面異常▶︎皮膚バリアの異常
内面異常▶︎体内で起こるアレルギー反応

皮膚炎の治療としては
炎症を抑えることが1つです。

また汗に含まれる成分が
アトピー性皮膚炎の悪化の原因になる場合は
発汗異常を治すことでも治療につながります。

皮膚炎に用いられる生薬の例一覧

1.皮膚炎に使用できる漢方薬一覧

皮膚炎の治療アプローチは
外面からと内面からという
2つの側面から考えられます。

基本的に西洋薬では
塗り薬(外面)飲み薬(内面)
どちらも使用して対応します。

では漢方薬はどうでしょうか?
こちらも一つの捉え方として
外面皮膚バリア状態に対応する
内面不足部分を補う
という視点で考えていく方法があります。

今回は主に外面の異常に対応する
代表的な漢方薬について解説していきます。

皮膚炎漢方薬こんな方にオススメ!一覧
(外面からのアプローチ篇)

1-1.十味敗毒湯(6)

●ジュウミハイドクトウ
症状:化膿している、湿疹
寒熱:熱感を伴う方

★いつき博士が考えるこんな方にオススメ!
・膿や湿疹が出始めた方
・普段体力はありほてりや口の渇きを感じる

1-2.黄蓮解毒湯(15)

●オウレンゲドクトウ
症状:のぼせ気味で顔色赤い、イライラする
寒熱:熱感を伴う方

★いつき博士が考えるこんな方にオススメ!
・乾性の湿疹でかゆみ、ほてりが強い方に
・普段体力はあり、ほてりや口の渇きを感じる

1-3.消風散(22)

●ショウフウサン
症状:分泌物が多い、痒みが強い
寒熱:熱感を伴う方

★いつき博士が考えるこんな方にオススメ!
・かゆみが強く、分泌物が多い方に
・普段体力はあり、ほてりや口の渇きを感じる

1-4.越婢加朮湯(28)

●エッピカジュツトウ
症状:むくみ、多汗、湿疹
寒熱:熱感を伴う方

★いつき博士が考えるこんな方にオススメ!
・炎症が強くむくみがあり、汗が出る方に
・普段体力があり、ほてりや口の渇きを感じる

1-5.白虎加人参湯(34)

●ビャッコカニンジントウ
症状:のどの渇きとほてり
寒熱:熱感を伴う方

★いつき博士が考えるこんな方にオススメ!
・のどの渇きがあり、乾燥している方に
・普段体力があり、ほてりや口の渇きを感じる

1-6.温清飲(57)

●ウンセイイン
症状:下記症状を伴う月経異常のある方
    (皮膚の色つやが悪い、のぼせる)
寒熱:熱感を伴う方

★いつき博士が考えるこんな方にオススメ!
・主婦湿疹のある方に
・普段体力があり、ほてりや口の渇きを感じる

1-7.当帰飲子(86)

●トウキインシ
症状:分泌物が少ない慢性湿疹
寒熱:冷えを伴う方

★いつき博士が考えるこんな方にオススメ!
・乾性の湿疹で赤みが少ない方に
・普段体力はなく、寒気や冷えを感じる


1-8.その他(内面からのアプローチ篇)

内面の異常が考えられる場合に
使用する漢方薬の一例です。

★代表的な皮膚炎に使われる補剤
 補中益気湯(41) 十全大補湯(48)
 四物湯(71) 黄耆建中湯(98)
 小建中湯(99) 当帰建中湯(123)

胃腸虚弱な方や疲れやすい方
寝汗がひどい子供などは
上記の薬が効果を示す場合もあります。


2.漢方薬のリスクは?

漢方薬はときに
入院を要するような
危険な症状が出る場合もあります。

前回の記事↓
「鼻炎におすすめ漢方薬の紹介」
ここで詳しい解説をしているので
安心安全に使用いただくために
一読いただけると幸いです。

代表的な副作用

3.いつき博士の考察

今回は皮膚炎に対して使用する
漢方薬の特徴についてまとめました。

ドラッグストアでも購入可能な
皮膚トラブルに対する漢方薬は
たくさんあります。

かゆみの症状を取りたい場合も
皮膚がカサカサジクジク
冷えがある炎症が強く熱っぽい
状態に応じての対応が必要です。

これまで、有効性を確認するために
抗アレルギー薬と比較を行った試験も
多数存在しています(*)。

ただし、そもそも抗アレルギー薬の
かゆみに対する効果は乏しいため
本当にこれで効果を評価できるのか?
といった疑問も残ります。。

とはいえ
実際に効果を認めているからこそ
長く使用されている背景もあるので
自分に合った薬を見つけたい方は
ALLERUのInstagramから
ぜひ相談してみてください!



<参考文献>
・ツムラHP、クラシエHP
・治療 Vol.104 No.10 (2022.10)
・看護師のための漢方薬がわかる本
*病棟薬剤師業務における湿疹・皮膚炎群の痒みに対する薬剤効果の検討-「痒みのスコア表」を使用して-. 医薬ジャーナル1993; 29: 973-6.
*皮膚ソウ痒症の漢方薬による治療. 和漢医薬学会誌1993; 10: 126-30.