【食物アレルギー】知っておきたいエピペンのこと
いつき博士です。
アレルギー患者教育向けサイト
を運営しています。
今年も入学・入園の時期となり
新たに学校生活がスタートして
生活環境が変わる方も多い季節ですね。
食物アレルギーのある子を持つご家族は
学校給食で症状が出たらどうしよう。。
と不安に思われているかもしれません。
アレルギーの有病率は増加傾向と報告されており
学会等でも議論されることが多くなっています。
学校生活における健康管理に関する調査では
アレルギー疾患の他にアナフィラキシーも
危惧されています。
ここで「アナフィラキシー」という
言葉を耳にしたことはあるでしょうか?
これは身体の過剰な防御反応になります。
早急に対処しなければ命を失う危険も。
そこで現れる救世主が「エピペン」です!!
今回は救世主エピペンについて
正しい知識を身につけるため
一緒に勉強していきましょう!
1.そもそも食物アレルギーとは?
ある特定の食べ物に含まれる
タンパク質をうまく分解できず
身体が異物と認識して起こす防御反応です。
さらに詳しい解説はこちらの記事にあります↓
<<<薬剤師が解説する食物アレルギー>>>
1-1.症状
症状は全身に現れ、多岐に渡りますが
2時間以内に出現する場合が多く
食後の運動で症状が誘発されるケースもあります。
1-2.原因
原因とされる品目は下記をご覧ください。
乳幼児では特に卵や小麦、牛乳など
学童期にかけては甲殻類なども
要因として多くなってきます。
1-3.検査
基本は血液検査を行い
抗原特異的IgE抗体を測定して
陽性になるかどうかを見ます。
IgE抗体とは
身体に入ってきたものを異物と認識し
排除しようとする武器にあたります。
ある特定の異物に抗体がある場合
RAST値というIgE量が高くなります。
アレルギー検査では一般的ですが
食べ物に関しては信頼性はあまり高くなく
この検査のみで断定するのは困難です。
その他皮膚テストや食物除去試験など
を実施する場合もあります。
2.エピペンについて
エピペンとは
医師の治療を受けるまでの間
アナフィラキシー症状の進行を一時的に緩和し
ショックを防ぐための補助治療剤です。
食べ物でアナフィラキシーが出現した際
心停止までの時間はわずか30分以内と
報告されています。
食べ物摂取をきっかけに防御反応が働き
免疫系成分が過剰に放出されることで
以下の3つの病態が引き起こされ
①血管拡張
②毛細血管透過性亢進
③気管支収縮
血圧低下や喘息様呼吸症状等が現れます。
2-1.成分の効き方
エピペンの成分はアドレナリンです。
アドレナリンには
血圧上昇や気管支を広げる作用があります
2-2.使用方法
エピペンは体重に合わせて
投与量が変わってきます。
体重 15-30kg → 0.15mg
30kg以上 → 0.30mg
エピペンを太ももの前外側に垂直にあて
「カチッ」と音がするまで強く押し付けます。
太ももに押しつけたまま数秒間待ちます。
太ももは筋肉が多く
誤注射のリスクが低いです。
※太もも以外は避けてください。
エピペンの使い方については
製薬会社のHPで動画の紹介もあり
ぜひ使うところをイメージしてみてください。
ALLERUのInstagramでも解説しています!
2-3.保管方法
▶︎携帯用ケースに入れる
※アドレナリンは光で分解されます
▶︎15-30℃で保存
※冷蔵庫には入れないでください
3.学校側でできる対策
学校でもアレルギー対応は
職員の方にとって課題となっております。
下記に示す学校生活管理指導表は
実際の取り組みにつなげるための
正確な情報把握に利用されます。
教職員の方に向けた研修・講習会を通して
現場で対応可能な取り組みが
実施されています。
4.まとめ
近年増えている食物アレルギーと
救世主エピペンについて勉強しました。
アナフィラキシーから命を救うため
エピペンの正しい知識を持って
即座に対応できる準備が必要です。
病院では各病棟にアナフィラキシーセット
と呼ばれるアドレナリン注射が即時に行える
緊急対応セットが常備されています。
やはりいつ起こるかわからない敵には
いつでも対応できる備えが一番ですね。
食物アレルギーのある方でも
すぐに原因食物を提示できるように
ALLERUのお薬手帳には以下のページを
用意しています。
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