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つけ麺を推す、強引に。

 つじ田の濃厚つけ麺を食べたことがあるだろうか。

 私はそもそもラーメンはそんなに食べない。食べるなら"ゆず塩"や"あっさり"と書かれたメニューを選びがちだ。しかも細麺でサラッといけそうな感じだとなお良い。

 そんな私がゆず塩でもあっさりでも細麺でもないのに定期的に食べたくなるのがつじ田の濃厚つけ麺。何がいいのかと言われても要領を得ない説明しかできないので食べてみてほしい。

つじ田

 都内は外国人観光客が増えていて、新宿ではラーメン屋に列をなしている光景をよく見かける。外国人向けのガイドブックにでも載っているのだろうか、特定の店を目指して彼らはやって来るようだ。
 私は都内で美味しい日本食を見つけては、もっと色々美味しいもの食べて帰ってくださいよと彼らに声をかけたい気持ちになる。アイ レコメンド つじ田の濃厚つけ麺。

 ところでラーメンって、それ中華じゃないの?と思われる方もいるかもしれない。でも日本食としてのラーメンは確かにある。札幌の味噌ラーメンとか、家系ラーメンとか、元は中国から入ってきた拉麺というものであったのだろうが、日本で独自に発展し、今も進化し続けている。

 私は中国に1年ほど住んでいたのだが、近所にあった日本のラーメンチェーン店にたまに行っていた。中国人と一緒に行くこともあった。私は日式ラーメンの方が好き!とその子は言い、中国においても"日本のラーメン"というカテゴリは確立している様子だった。
 中国人も認めるのであれば、堂々と日本食ラーメンを訪日観光客に対して訴求しても良かろう。


 私は日曜の午後、遅めのランチにつじ田でつけ麺を啜りながら、外国人観光客に対してつじ田のつけ麺を推す方法を考えていた。

 まず、券売機。彼らは写真を見ながらつけ麺を選択できるだろうか。つじ田にはつけ麺ではない普通のラーメンもある。彼らのイメージするラーメンとはおそらく麺がスープに浸かった状態だろうから、つけ麺の写真では蕎麦やうどんと勘違いされる可能性があるのではないだろうか。

 つじ田に行ったからにはつけ麺をぜひ食べてもらいたい。ヌードルとスープがセパレートしている点は必ず言及する必要があるだろう。

 そして、麺に添えられたすだち。おそらく、日本にしか無い。存在しないものは言い換える言葉がなく、理解してもらうのは難しいかもしれない。雑にまとめれば、まあ味も用途もレモンみたいなものだろう。カインドオブ レモン。
 つじ田では麺が出る際、すだちを後から絞って食べるよう言われる。味変だ。こちらも、そんな英単語は存在しない気がする。念の為スマホで検索してみるとstrange tasteという直訳がでた。味、変。そうきたか。確実に誤解を与えるので却下です。

 頭を使いすぎると食に集中できない。もう強引に連れてきて、食券をこちらで選んでやって、すだちはいい頃合いでナァウ!って言って搾ってもらえば良いのでは。そもそも相手が英語を話すとも限らないし、やってみせれば良いのだ。

 きっと満足してくれる。気に入らなかったとしてもstrange日本人が教えてくれたセパレートタイプのラーメンとして記憶に残るものとなることは確かだ。

 それで今度私たちがあなたの国へ行ったときには、ガイドブックに載っていないすっごく美味しいものを教えてくださいよ強引に。

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