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53歳女のソロキャンプ#2西湖でサイコー秋キャンプ②

雨とスズメバチでハードandタフだったソロキャンプデビューとは一転、
お天気も新タープもピッカピカのPICA富士西湖。
前回は絶好調で初めての小川張り設営が完了したところまでを書いた。

キャンプの本拠地が完成して、さあ、まったりタイムのスタートだ。

前回は設営が済んだ時点で雨が降り出し、クラクラして昼寝を決めこんだ。
しかし、今回は眠れない。
なんかもう、気分が大はしゃぎモードで昼寝なんてできない。
さっきから(キャンプ場に着いた時から)鼻の奥で鉄の味がするし、
多分興奮して鼻血出そうになってるよな…と思ってる。

まずは落ち着いてティータイムだ。
本当は香りの良いアールグレイが飲みたいけど、
前回スズメバチが執拗にアールグレイのミルクティを攻めていたことが思い出され、
ミントティにしてみる。

目の前に広がるフリーサイトは柔らかそうな芝土だ。
共用電源が等間隔に配置されていて、便利そう。
奥の方で男性ソロキャンパーが設営しているのを眺めるのも楽しい。

この日はフリーサイトに3人の男性ソロキャンパーが来ていた。
三者三様のテントと楽しみ方。
テントもタープもゲストハウスでレンタルしているナイスミドルがいる。
大きなバックパックとキャリーバッグで徒歩キャンプの若者もいる。
夕方になってから颯爽と現れて手際よく小さなテントを建てるこなれた男性もいる。
広い広場に、ポツンポツンと良い距離感だ。

近くにはパオが数棟並んだ区画があり、
グループ利用者で賑わっている。
その中で、若い女性の歓声が上がった。
きゃっきゃしながら4人の女子大生?がわたしのテント前にやってきた。
え?なに?
ん?
アイドルみたいに可愛い女子大生が私に目配せしてくる。
ナンデスカ?
オバチャン二ヨウデスカ?
指さす方を見ると。
鹿だ!

おおおおお。
天使みたいに可愛い女子大生よありがとう。
オバチャンひとりだったら絶対気がつかなかったよ。
若いってすばらしい。
女子大生と並んでスマホで鹿を撮った。

興奮してスマホを構える女子大生とオバチャンを見ても、
男性ソロキャンパーたちは誰ひとりとして動じず。
鹿よ?野生よ?
さすがソロキャンパー。山の男は鹿程度では動じないんだなあ。

日が暮れてきて、それぞれのテントにそれぞれの灯りが灯る。
今のうちに薪を買って、防寒対策をする。
前回寒くて寒くて焚火を続けられなかったので今回は万全に。
ヒートテックの上下にウルトラライトダウンもある。
全部ユニクロだな。
椅子にもブランケットを敷いて靴下も冬用のフカフカのに履き替えた。

メスティンでご飯を炊きながらランタンの灯りで読書。
文庫が出るのを待ち望んでいた森見登美彦の「熱帯」だ。

今日は塩鮭を米に乗っけて鮭ご飯にしてみた。
風が吹いて固形燃料の火が揺れる揺れる。

そんな時に大活躍の天ぷらガード。
近所のスーパーで160円でした。薄くて軽くて安くて便利。

夜ご飯は鮭ご飯と昨日作ってタッパに入れてきた具沢山豚汁。
それだけ。
前回、色々作ってもそんなに食えないってことを思い知ったので、
欲張るのはやめてのんびり優先にした。

1合炊いた鮭ご飯は3分の1でもう食べれないよ!ってなった。
毎回米を炊くのは楽しいんだけど消費できなくて困る。
白飯にして、翌朝雑炊にするとか、焼きおにぎりにするとか、
なんらかの打開策が必要だな。

そして今回も卓上七輪で焚火。
前回は針葉樹の薪のみであっさりした焚火だったけど、
今回は奮発して桜の薪を買ってみた。
広葉樹の薪は太くて形が薪らしくてかっこいい。
火の持ちも広葉樹の方が良い。
焼けた後の炭の形がまた良い。

燃やすとシュウシュウとえも言われぬ音を出す。
そして香りがいい。
焚火をするためにキャンプに来てると言っても過言ではないと思う。
かっこいい焚火台欲しいなあ。
でもまあ、卓上七輪が私にはお似合いかな。

PICA富士西湖には無料で利用できるお風呂がある。
若い女性グループはきっと夜遅くに利用するだろうから、
混む前に、と思って21時に焚火を終えてお風呂へ。

一度に利用できる人数は10人まで、とされているお風呂はとても広くて清潔だった。
私が体を洗っているうちに先客が出て行ったので、
浴槽は独り占めでのんびりできた。
循環風呂のようで、常にお湯が流れていてすごく綺麗だ。
お湯はぬるめでありがたい。
キャンプでお風呂に入れるのは助かるなあ。

湯冷めが怖くてヒートテック下着の上からスウェットを着た。
ホカホカのまま寝袋に入る。
腹這いになって小説の続きを読む。
近くのパオの男子学生たちがずっと下ネタで盛り上がっている。

キャンプ場は10時消灯のルールで、男子学生グループ以外はみんなテントやパオに入って静かになっている。
だから余計に彼らの下ネタトークが鮮明に聴こえてくる。
おいおい君たち、みんなが耳を澄ませて聞いてるけど、良いの?
そんなことを思っていたら、巡回のスタッフが「お静かに!」と注意していた。
巡回は30分ごとに行われているようで、0時を過ぎるまでに学生たちは数回注意を受け、その度に少しづつトーンダウンして静かになった。

夜中に、さすがにヒートテックは暑いって!とガバっと起きて脱いだ。
寝袋って充分あったかいね。
勉強になるなあ。

前回はテントを叩く雨の音で夜中に数回目が覚めたけど、
今回は雨音の代わりに動物の声と足音で数度目が覚めた。
キョーーーーーーーーーーー!という甲高い鳴き声は鹿なのかな?
テントの周りでザクッと砂利がなるのは何かが歩いているのかな?
何かいるのかなあ?
まあ、食われはしないよね。
食料は全部クーラーボックスに入れて車の中だし。
うとうとしながら考えてまた眠るのを繰り返した。

翌朝は日の出と共に目が覚めた。
もぞもぞテント内で身支度をしていると、
他のソロキャンパーの動き出す音が聞こえてくる。
みなさん早いですね。

テントから這い出すと、朝靄に包まれて水っぽい空気が美味しい。
行き交うキャンパーがみんな「おはようございます」と言ってくれる。

朝はやっぱりミルクティが飲みたいなあと、
スズメバチが気になりながらもアールグレイを入れてみた。

そしたら、来た!
スズメバチだ。
やっぱりこのOKストアのアールグレイ、相当香りが良いんだわ。
前回のスズメバチ戦争を無事に生き延びたわたしはもう狼狽えない。
落ち着いてティーバックをゴミ袋に捨て、
そのゴミ袋をテントからほどよく離れた場所に置く。
今回ぬかりなく持参したスズメバチジェットのロックを解除して手元に置く。

朝ごはんは前回美味しかったアヒージョ。
朝の冷えた空気の中、あったかいものが食べたい。

タコとトマトとスズメバチジェット。

そして、朝6時から始める焚火。


結局、今回のスズメバチは一回ジェットを吹きかけたら二度と現れなかった。
のんびり朝ごはんを食べて小説の続きを読みながら焚火をした。

晴れた空の下で、テントをひっくり返して乾かしたり、
日の当たる場所でグランドシートを広げて乾かしたり、
焚き火の横でペグの泥を落としたり、ガイロープをまとめたり。
撤収作業も遊んでいるみたいで楽しかった。
ソロキャンパーたちは手際よく撤収して、10時ごろにはみんないなくなってしまった。
広場にひとり残って、ゆっくりゆっくり丁寧に撤収した。

11時過ぎにチェックアウトして、13時半には帰宅した。
車から荷物を下ろしながら、焚き火の残り香を楽しんだ。

若かった頃、恋人とデートしてじゃあねと別れて帰宅して、
さっきまで一緒にいたのに、もう会いたい!と思う自分を持て余していた。
今は、キャンプして、ああ楽しかったと帰宅して、
荷物を片付けながら、さっきまでキャンプしてたのに、もう行きたい!と思ってる。
これは、恋か?

そうか、恋なのか。
焚き火の匂いが染み付いた毛布に顔を埋める。
そうか、恋なんだ。
だから、鼻の奥が鉄の味になるんだ。
うん!
これは恋だ。

これからどんどん寒い季節になる。
今年は後何回キャンプに行けるかな。
いっぱい行けなくてもいい。
なんか、恋してるって思うだけで幸せになってきた。
次のキャンプを楽しみにするだけで幸せになってきた。

キャンプって、いいですね。

なんでこんなに恋焦がれちゃうのか、
それはまた落ち着いてnoteにしたいと思う。

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