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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:星彩の運命と情熱 第三十四話 フィオナの涙。いつも一緒って言ってるでしょ!!

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前話

「あー。食った食った」
 ピクニックから帰るなり、腹鼓を叩いているリアナを見てあの膝枕を返せーと言いたい、セイランである。あのあと二時間ほど、爆睡したリアナはセイランの分を自分の分と勘違いして爆食いした。もっともその子供のセレスとシルヴァリアの爆食いがなければもう一人分あったのだ。この親にしてこの子あり、である。
 そしてげっそりとしたセイランに一同驚いたが、皆が驚くほどの恋愛物語はない。腹が減ったと言ってばったりとした。リアナはそんなパパを放り出して子供達と夕食ごっこだ。ドラゴン食を久しぶりに二匹に食べさせて満足している。
「腹減った……」
 セイランの言葉に耳を疑うフィオナである。
「あんなにたくさんバスケットに入ってたのに」
「全部、あいつらに食べられた」
「というのは。リアナとドラゴン達かい?」
「他に誰がいる? おまけにぐーぐー膝枕だ。俺の気持ちを返せー」
「あらあら。それでは、夕食を早めましょう。セイランも聞きたいでしょう? 次に会うべき人間に」
「次に……」
「会うべき……」
「人間……?」
 リアナを放って外野と一部当人が聞き返す。
「グランドファーザー、ですよ」
「誰? その古めかしいおじいちゃんは?」
 あらぬ方向から還ってきた声に皆、リアナを見る。
「いろいろ言ってくれたわね。ぜーんぶ聞こえてましたからねぇー。誰の膝枕? 起きたときはシルヴァリアの背中だったけど?」
「あ。いや、それは……」
 セイランがうろたえる。
「おまけにこの子達が爆食いしたのね。そりゃそうでしょ。私の子なんだから」
「セレスは俺の子だ!」
「ママだもーん」
「リアナ。少し、何かを感じているのですね」
 グレートマザーの声に身じろぐリアナである。
「そうね。また試練が在るかもしれないわね。でもあなたには仲間がたくさんいますよ。まだ会ってない友人も。フィオナ。あなたも聞く必要のあるがあるかもしれません」
「私に? ただの魚のフンの私に?」
 リアナはぱっとフィオナを見た。あの、アルカナ遺跡で罵倒したことを思い出す。それが、リアナの連れ子という感じで残っていたのだ。リアナは悔しそうに唇を噛む。
「キツく噛むと血が出る。その辺でやめとけ」
「セイラン!」
「お前、いつも自分の気持ちを押し隠すもんなー。たまには素直になれ。フィオナのことは大好きなんだろう」
「当たり前よ。入学してからの一生の親友よ!」
 そう声を上げたリアナに何かが飛びついてきてリアナは床に転がる。
「フィオナ。押し倒す相手が違うわ」
「間違ってなんかない。リアナがずっとずんずん進んで行って試練をこなしていって……。私、いらない子じゃないかってずっと思ってた」
「ばかねぇ。あんたみたいなお馬鹿な子を見捨てる馬鹿はいないでしょ。あんたは私の一生涯の友よ。家族よ」
「リアナー」
「フィオナ……」
 フィオナがリアナの胸で泣き出す。
「そっと二人だけにさせてあげなさい」
「ええ。行くぞ。チビども」
 残っていたフェアリードラゴンの首を持ってマルコとグレートマザーと一緒に退場するセイランだ。
 きっとフィオナはリアナの影。対象的存在なのだ。どちらが欠けてもだめなのだ。セイランにはそう見えていた。
「賢い子。そうです。リアナのなりたい姿がフィオナです。フィオナのなりたい姿がリアナなのです」
「影、か……。リアナが妻にならなくてよかった」
 マルコがしみじみ言う。
「どーいう意味だ。リアナが悪いとでも?」
 息巻くセイランをグレートマザーなだめる。
「お互いの好みの違いですよ。原因は男の方です」
「痛い。グレートマザー。はっきり言い過ぎです」
「あなたもね。マルコ王子」
「その身分はフィオナのために在るんです。あとは普通の男ですよ」
「だと、いいのですが。、さぁ。男の子ですが、夕食を作るのを手伝ってもらいますよ」
「男でも女でもできる者がすればいいのです。私は喜んでフィオナの食事を作りますよ」
 マルコがすっと顔が紅くなりそうな事を言う。
「俺だって伊達に一人暮らしをしていない。リアナの涙を止めるならなんでもするさ」

 こうして男二人とグレートマザーの料理が二匹が注視されながら作られていたのだった。


あとがき
必死で書きました。この後の設定は自分で考えつつ、提案された案をねりねりして出してきます。やはりグレートマザーのあとはグレートファーザーでしょう。権威、規律。厳しき父。賢者とどっちと言われて勝手に放り込んだこの概念。ChatGPTさんが良い案です!と言った。
いくつか設定の提案は受けたけれど、ひっくり返すかも。よくある展開だったので、そこを変えるつもりです。この手もいらんかったんですけどね。普通の女の子が成長する事が目的でしたから。あくまでも素質、です。とネタばれさせるだけして逃げる。これも予約配信なんですよ。試験勉強が一通り終われば、また出没します。あと一時間でパソコン終わるけれど。ここまで読んで下さってありがとうございました。

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