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【連載小説+エッセイの勉強】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(74)+「後書きという名のエッセイの勉強」

前話

 予想を覆すことなく、翌日、キンモクセイの宮は人であふれかえっていた。まず、最初にタピオとクルヴァがお父様とやってきた。この子たちはいつもここだからいいけれど。でも質問攻めにあう。お父様も大丈夫かと何度も聞くし。
 そうこうして朝食となったらフローラお姉様夫婦、ダーウィットお兄様夫婦、マティアスお兄様夫婦、が一挙に押し寄せた。一斉に病気がどうのこうのと聞かれるけれど、こんな大人数の言葉を聞き分けられることもなく、ウルガーにアイコンタクト。そこでウルガーのちゅー魔が発動されたけれど、それを押しのけてお姉さま方がお母様と大挙してああだこうだと引っ張りまわす。さすがにお盆で殴るわけにもいかず……。弱り果てていると今度は二人のお父様とお兄様方にああだこうだと引っ張り回され、食事の合図の「頂きます」まで二時間かかった。そこでウルガーに医学的に説明してー!!と叫びに叫んで、ウルガーの心の風邪というものは……、と解説してもらった。私も改めて、ふーん、と納得。なるほどねー、と聞いているとあなたのことですよ! とお母様が涙ぐまれてぎゅうぎゅう抱きしめる。その上からお姉さま方も押しかける。つぶれるーと叫んでウルガーが腕の中に確保してくれてようやく身の安全がとれたのだった。おかげで何家族もそろっていつものテーブルでは足りず、広いキンモクセイの宮の部屋をめいいっぱい使ってテーブルをおいてお食事。お食事が終わってもウルガーに守ってもらわないと身の危険が及ぶほどの引っ張り合いになってしまう。どうして、こんなに気にするの? ウルガーに言うと「ゼルマだから」と一言。私、今まで何してきたのー!!

「はぁ。忙しい朝食だった……」
 カシワの宮に逃れてティアラの冊子をぼーっと見ながらつぶやく。どっと疲れる。ふと、視線を感じて顔を上げればダーウィットお兄様と目が合う。
「やはり、ゼルマ姫は元気ないな」
「だから~。たんなる怠け病ですって。ちょっと、気が緩んだだけです。ウルガー。アルポおじいさんのところに行きましょうー」
「ごめん。この書類を書かないと最終的に議会に行かないんだ。これを片付けてから行こう」
「いいわよ。ひとりでヘレーネと行ってくるわ」
 立ち上がってまた座る。
「行かないの?」
「行く気力が出ない」
 ウルガーが飛んでくる。
「書類は作らなきゃいけない。ゼルマは東屋でカタログを見ておいで。フルーツを用意してゆっくりした方がいい。心の風邪はがんばるといけないんだ」
「ウルガーがいるところでないと嫌」
「ゼルマ。君の心は無理しちゃいけないんだ。壊れてしまう。光が入ってくるまで待たないと。スティーナとトビアスに会いに行くかい? マチルダ様も心配してるって聞いているよ」
 ウルガーが飛んできて抱きしめる。
「ん?」
「ゼルマ?」
「ふわもこちゃんが……」
「え」
 聖獣が現れた。くぅんと鳴いてやってくる。ダーウィットお兄様が剣を抜く。
「お兄様まって。物語師の聖獣なの。私とウルガーだけが触れられるからそこを動かないで。ふわもこちゃん、おいで」
 しゃがんで手招きする。白いふわもこちゃんがやってくると口にくわえている小さな球を掌に落とす。
「これは?」
 聞いてもくぅんと鳴いて頭をすりつけてくる。
「心配してるんだよ。この子たちも。これはなんの水晶だろうね」
 ウルガーが触れようと手を重ねるとすっと消える。
「え?」
 思わず、ウルガーと顔を見合わす。
「ゼルマ。今、心の中に何かある?」
「ふわもこちゃんの心が伝わってくるわ。力を貸すから病を治して、と」
「俺もだ」
 くぅん、と黒いふわもこもウルガーの手にすりすりする。そしてまた黒い球をウルガーの手に落とす。
「物語師の心の糧じゃよ」
「大神官様!」
「どうも、聖獣がまた現れたとあって神殿からきましたぞ。さぁ。ゼルマ姫。この清水をお飲みなさい。すこしは負担が減ります」
 大神官様が虹色に輝く水が入ったコップを渡す。
「ウルガー様も。相互作用します。お互いが闇に置かされた時はそうして相殺したらよいでしょう。水が足りなければまた神殿にこればよい。ゼルマ姫はしばらく日光に当たる散歩もなさるといい。光が差し込むでしょう」
「あ。ありがとうございます」
 そう言って不思議な水を飲む。
「あ。心の中に虹が……」
「やはり、物語師の不和の影響がゼルマ姫の負担になっておるようじゃの。成婚せず、物語師たちをまとめられることになさるか?」
「成婚せず?」
 いや、とウルガーが言う。
「ゼルマを守る力は多いに越したことがない。このふわもこと東屋でしばらくゆっくりしてきます。ゼルマ、行くよ」
「書類は?」
「もってく。優秀な王太子はどっちも兼ねられるからね。それに俺にも元気がもらえたから。ゼルマの闇も見えた。取り除いてみよう。さ。行くよ」
 有無を言わさず、ウルガーが書類と一緒に引っ張っていく。
「じゃ、ティアラのカタログも」
「わかった。こっちも、持って行ってあげる」
 お兄様方は狐につままれたような顔をしていたけれど、説明する余裕はない。会釈してカシワの宮を出て行った。
 そうして私は不思議な物語師の力に触れて回復していく過程を歩み始めたのだった。


【あとがきという名のエッセイの勉強】
 見てもらえないものを置いてなにしてるんだろう、と、野球を見ながら更新作業して思う。だけど、私の創作を見せる場所はここしかない。Nolaも始めたけれど、いろんなものを載せるところでもない。ファンタジーばかり。あるいは成人向けとか。澄川市物語なんてとてもおけない。俳句の季語をキーワードにして一節ずつ書いているものなんて誰も見ない。レベル低すぎなんだろうか、とも思う。自分だけのものにしてしまおうか、とも思う。仕事だけ行って、ここはもうでて自分だけの世界に引きこもったらいいのかな。コミュニケーションを求める気はないが、見られてないのに更新するのどうなんだろうって思う。でも、気長にやってれば成果がつづくのかもしれない。前向きにと昨日思ったところ。こうして我慢のしどころを越えれば阪神みたいにまた変わってくるのかな?
底に沈むときは必ずある。あとは這い上がるだけ。自分の創作の上達のためにここにいてもいいかな。練習して、論文とか書いて。明日はES細胞の作成の仕方をまとめてみよう。読まないと行けない本もあるけれど。それぞれ読んでくれる層がある。そのテーマに沿って行こう。うん。元気出た。心の糧を自分で作ろう。明日は店に買いに行きたいものもあるし。行って気晴らししよう。何買いたかったんだっけ? 一つは思い出せてるけれど、後からこれもどうしようかなというのがあったはず。明日までに思いだそう。今日は漢検もこなしたし、あとは登販。阪神みながらしようっと。あ。その前にチャットさんだ。キャラ絵作るんだった。ユメの世界観とか書くことにしていた。大陸の模様を載せる事にもなってたし。人事を尽くして天命を待つ。しかない。

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