見出し画像

【連載小説】ファンタジー恋愛小説:星彩の運命と情熱 第二十話 フェアリードラゴンの仲人。キ、キスって?!

前話 

 お互い告白し合ったリアナとセイランだが、それ以上の変化はない。というか、それ以上の事がわからないのだ。好ましく思っていてもそれが愛なのか恋なのか運命の相手なのかもわからない。
 最初に出会ったのはマルコだが、フィオナの恋人だ。
 次に出会ったセイランがリアナの相手なのだが、お互い最初の印象が悪すぎてケンカしかしていなかった。
 ただ、そんな中でも突きつけられた酷な予言を受け入れようとするリアナをセイランは支えてやりたいと思っていた。それが運命の相手ならなおさら。
 だからフェアリードラゴンの卵をもらって育てようと言った。リアナはその頃心がすさんでいた。ただ、使い魔には心を開いている。思い付いた事を言っただけだ。それだけの関係しか考えてなかった。
 シェイラに言われて形のないものが形を取りつつあった。
 そして、真珠の涙事件以降、真珠の涙と言われるフェアリードラゴンの命を増やす珠を一日に数回食べさせて体調の安定を待った。セレスはセイランの掌に載る大きさだったが、球を食べ始めてから急に大きくなった。1週間もすればもうシルヴァリアと肩を並べてもわからないぐらい大きくなった。
 ただ、その幸せの色と呼ばれる蒼い色を除いては。
「もう。セレスちゃんは一人立ちができる大きさねー。よく育ちましたー」
 赤子に言うかの如く子供言葉で言いながらセレスの喉を撫でる。セイランよりリアナに懐いている気がするのは気のせいだろか、と見ていると、不意にセレスが振り返った。
「なんだ? セレス」
 優しく聞くととことこ歩いて飛び上がるとシルヴァリアの様に肩に止まった。
「そうかー。セレスもそれができるようになったんだなー。いい子だなー」
 そう言って喉を撫でる。にゃーと一声出すとリアナを見た。
「わ、私? ママがなんなの?」
 リアナはもう切り替えようとしていた。ママと言う言葉がとっさに出てこなかった。もうセレスはセイランの使い魔。そう間を置こうとしていた。それをセレスは敏感にも察したのだ。シルヴァリアもみゃーと鳴く。
「ママとパパがいないと寂しいんだってさ」
「マルコ!」
 リアナでもなくセイランでもなく言葉を発したのはマルコだった。
「いい加減。認めなよ。君達は運命の間柄。この子達の永遠のパパとママだよ。それをまたよそよそしくしようとして。シェイラ様じゃなくても頭を抱えるよ」
「シェイラ様が?」
 リアナはマルコの方に顔を向けていて手の力はなかった。それをシルヴァリアがつかんで動かしていた。セレスはセイランの手を動かしていた。二人とも使い魔のお節介には気づいていない。不意に手が触れて二人は飛び上がった。
「何?!」
「何だ?」
「その子達が仲人をしたんだよ。いいから手を握り合って」
 言われるままに手を差し出す。そしてそっと二人で手を握り合う。が、意識はマルコに行っていて本人達の気持ちはどこかへ飛んでいた。
「好きなんでしょ? リアナ」
 マルコの後ろから顔を出したフィオナが言う。
「そうだけど。それとこれが何の関係に?」
「もうー。キスの1つでもしなさいよ」
「き、キス!?」
 二人の手はまた離れる。
「ああ~」
「もう。しばらくは放っておきなさい。二人の問題ですよ」
「シェイラさん!」
 リアナがとんで行く。
「皆してよくわからないことを言い出して……」
「はいはい。リアナとセイランにはまだまだ試練が残っていますからね。追々絆を深めなさい」

 まだあるの?
  
 げそっとしたリアナにシェイラは微笑む。
「まだ癒やしの雨、から動いてないでしょう? これからですよ。旅は。さて、遠見をした結果を知らせます」
 一瞬空間に緊張が走った。
「エルダリアンの聖域、ここへお行きなさい。グレートマザーの力が集中する場所です。この辺りにおられるでしょう。でも、直接会う事は叶わないかもしれません。グレートマザーは偉大なる全ての母。一人だけを見るわけにはいかないのですよ。リアナに目をかけているのは特別。グレートマザーも知らなかった「癒やしの雨を降らせる少女」なのです。そうね、セイランは知っていたわね。あの壁画を見て。私がしっかり予告をしておいたから別の子と恋に落ちることもありませんでしたし」
「って。わざわざ、取っておいたって事ですかー!」
 リアナが叫ぶ。
「耳が痛い!」
 セイランが叫ぶ。二匹も羽根で耳の変を押さえている。
「ふふ。恋のいろはを経験なさい。エルダリアンの聖域への道はまた地図を書いて上げますから、それで数日の内にいきなさい」
 そう言ってシェイラは用意された部屋に戻っていく。恐ろしい人だ、奇しくも皆思っていた。
 
 次の目的地が決まった。セレスも旅立てる。セイランは未来が明るくなるよう祈りを捧げた。リアナが泣くことがないように、と。


あとがき
「星彩の運命と情熱」はもう少し載せるようにします。続きが書ければまた掲載しますね。今日は「花屋elfeeLPiaシリーズ モンステラの物語」の執筆に時間を取られました。明日以降、漢検共に執筆していきますね。阪神戦がやっと全部見れそう。グーグルネストハブにスマホから繋いでいます。九時過ぎてもみれてます。段々阪神のファンになってきています。ファン倶楽部入ってしまいそう(汗)。ここまで読んで下さってありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?