見出し画像

【再掲連載小説+エッセイの勉強】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(43)再編集版+エッセイの勉強「アレクサに占いを入れ込む。はじめてマスカラつけた」

前話

そしてそれから一週間と少し立った頃、キンモクセイの宮の入り口にウルガーが立っていた。冬で咲いているはずのない鮮やかな花束を持って。
「ウルガー・・・。治ったの?」
 出た声は小さかった。
「ちゅー、してくれないの? ゼルマ」
 いつものウルガーを見て私はへなへなと床に座り込む。そしてわんわん、泣き出した。緊張の糸が切れた、とでも言おうか。まるでウルガーが死ぬかのように思っていたのが、外れて嬉しいのかなんなのかわからない感情が渦巻いていた。
「そんなに泣かなくても・・・。タピオ達が寂しそうだったぞ。姉上が来てくれない、って。ほら。タピオとクルヴァが君のために収穫した野菜だよ。アーダに料理してもらおう。ほら、泣かないで立ってこの花束を受け取って」
 くすんくすん、と泣きながらもウルガーの助けでなんとか立ち上がる。私の号泣に皆、何事かと集まりだしていた。
「大丈夫。びっくりさせたから」
「ウルガー。乙女の傷ついた心をもてあそぶのはおやめなさい」
「傷ついたわけではなくて、きっとほっとしたんです。だから叱らないで。お母様」
 まだ、目に涙を浮かばせて私は言う。
「泣き虫姫だね。本当に。いつもはもっと強い女性なのに。俺の行動でこんなに泣くならうかつに動けないよ」 
 そう言って抱き寄せてこめかみにちゅーする。この馬鹿っぷるぶりに皆、いつものが始まった、とでも言わんばかりに散らばり始める。そこへ冬は風の子元気の子の筆頭のタピオが走り込んでくる。
「姉上。雪が積もってるよ。雪遊びしようー! 兄上も」
「ウルガーはまだインフルエンザから治ったばかりよ。私が行くからウルガーは暖かくしてもらって」
「俺も行くよ。タピオとクルヴァが手を組むと大変だからな。加勢するよ」
「じゃぁ。マティアス兄上も連れて行こう。行こう! クルヴァ!」
 また走り去っていく。
「ちょっと! 待ちなさい!」
 私も追いかける。後ろでウルガーが大きなため息をついている。
「泣き虫の次は野生児か・・・」
「ウルガー、ぼーっとしてないで来て!」
「夫使いの荒い亊」
「まだ、結婚してません!」
「はいはい」
 血のつながりが薄く、絆もなかった兄弟達が芋づる式に巻き込まれていく。タピオとクルヴァはやっぱり無意識からの贈り物ね。
「ダーウィットお兄様は私達がもらうわよ。ほら。早く連れてきて。ウルガー!」
「姫の仰せの通りに」
 ウルガーが花束と野菜を置いて走り出す。すれ違いざまに頬にちゅーを残して。ウルガー、完全復活ね。嬉しい知らせに心躍らせる私だった。
雪遊びを兄弟で堪能するとみんなでキンモクセイの宮で暖かい飲み物を飲んで温まっていた。手はきんきんに冷たい。雪玉を作りすぎた性。お母様が心配してあかぎれのクリームを塗ってくれた。ついでにお小言も。
「ゼルマ。あなたは春には花嫁ですよ。冬にしもやけやあかぎれを作れば影響しますよ」
「お母様、もう。春のことなのですか? まだまだインフルエンザは続きますよ」
「早く春にでもしないとゼルマがインフルエンザにかかりますから。創造神へ新年のお願い事の一つにあなた達の婚礼の成功を入れておきますからね」
「また、新年の行事か・・・」
 マティアスお兄様とウルガーが苦い顔をしている。ダーウィットお兄様は涼しい顔。
「どうしたの?」
「神殿で大神官様のながーいお説教が繰り広げられる年に一回の強制参加行事だよ。ゼルマは知らなかったね。父君の喪やらいろいろあったから。俺も、この間はまだ船の上で楽々だったんだけどね」
「ウルガー。ゼルマに変な事を吹き込まないように」
 お母様が一にらみすると逃げていく。
「ちょっと! ウルガー! カシワの宮は出禁なのよ!」
「ゼルマはここで神殿の行事のお勉強をしますよ。タピオ、クルヴァもお勉強の年頃ね。一緒にお姉様と話をしましょう」
「タピオ、お勉強きらーい」
 ふむふむ、と肯く。
「好きも嫌いもありません。宮廷の人間は国民の事を祈ることが必要なのですよ。はい。飲み終われば、カシワの宮へ行きますよ」
「カシワの宮? 私出禁なんですが」
「それはウルガーが寝込んでいる間だけです。もう大丈夫なのですから、ウルガーもこの際、もう一度勉強してもらいます。もう大人なのですからね。マティアスも来ますか?」
「お、俺は・・・はい。行きます。ダーウィット兄上はもう把握済みですね」
 マティアスお兄様の言葉にさもありなん、と言ったダーウィットお兄様。
「今更、神殿の行事など頭に入りきっている。宰相が予算を組むのだからな」
「さすがはダーウィット。では、ニーナに優しく教えてあげなさい。エーヴィーも教養は一族で一番の良さを持ってますから大丈夫ですよ。三人で冬の景色を楽しんでいらっしゃい。さぁ。飲み終われば、カシワの宮ですよ。なんですか。ゼルマ、その緩みきった頬は」
 にんまりしている私にお母様が突っ込む。
「だって。カシワの宮ですもの。お医者様のウルガーが見れる数少ない場所ですよ。これが緩まない方がおかしいです」
「本当に借金のカタにイヤイヤ着いてきた姫ですか? べた惚れどころか馬鹿が付くほど惚れ込んでるではないの」
「はい。借金のカタの姫です。訳あり姫君は真の愛を見つけました」
 にんまり、と答える私にニーナお姉様がびっくりして見ている。
「借金のカタ・・・」
「お手つき騒動もあがったわよ。曰く付きの姫、ね」
「そんな自虐はどうでもいいのです。さっさと飲みなさい」
「はぁい」
 夏のレモネードを冬用に温めたものを喉に流しこむ。蜂蜜の甘さとレモンの酸味が心地いい。
「気に入りましたか? ゼルマ。カシワの宮でも飲みながら話を聞きなさい」
「はい。お母様」
 今度は真面目に返事する。お母様の心遣いが嬉しかった。本当に、この国に来てよかった、と思うひとときだった。
冬のインフルエンザの大流行はピークを過ぎ、年が明けた。その時の大神官様の大説教、もとい、お話は想像以上に長くて、流石の私も疲れた。そして、祈りを捧げるときには何故かレテ姫の魂が安らげますように、と祈った。なぜか。あの小さな姫が孤独に泣いているような気がして。
 そんな年明けからは早春の花が咲いたり、ヨハネスお父様の菜園は鮮やかになった。そして、菜園の一年が始まるときにはタピオもクルヴァもしっかりとヨハネスお父様を支えていた。
 私達も華の宮の敷地に菜園を作ることにした。木の宮で教わったこと、ヨハネスお父様の指導もあって、なんとか半人前の菜園ができあがった。そしてその隣にいつも置いてけぼりだった愛犬の、と言ってもほぼ、お母様の犬だったヘレーネの運動場を作った。そして、ご主人としてやっとウルガーと一緒にヘレーネの散歩に行くようになった。宮殿の周りをぐるりと回って散歩する。始めはイヤイヤだったヘレーネもお菓子を多くもらえるのがお母様より私達と知ってからは私達になつくようになった。というか、もらえるものはもらっとけ、のような馬鹿にされた主人だけど。でも、お菓子を減らしても最近は懐いてくれるようになった。
「ヘレーネ。やっと一緒に行動できるようになったわね。長かったね」
 これまでの事を思い出しながら、ヘレーネの頭をなでる。
 借金のカタと実父の治療のためこの国に来た。お父様が亡くなって帰り道でも絶対結婚なんてしてやるもんか、とストライキを始めた。そしてウルガーの闇を知り、癒やしてあげたくなった。そこから私はウルガーが好きになったのだと思う。その後、また私は元の世界、「意識」に戻り、「無意識」のこの世界に戻ってきた時には一年経っていた。あの、現と夢の分岐点にはあの可愛いレテ姫が今でもいる。そこでウルガーを幸せにすると約束した。そして物語師という存在を知って、その人達から私達は介入を受けていると知った。そして婚礼を挙げてこの国の人間になり、レテ姫を開放し、闇の物語師たちと対峙することとなっている。どんな戦いが待っているのかもわからない。ただ、この大きな集合的無意識体と私の無意識が交雑している。この秩序を保たないと、この世界も滅びる。もちろん、私も死ぬ。死んでも意識に戻るだけと思うけれど、ウルガーと再会できるかはわからない。覚えもしてないかもしれない。それはあんまりにも悲しい。今ではこんなに大好きになっているのに。もう会えないのは嫌。考えの泉に沈んでいた私をヘレーネが吠えて引き戻す。
「ああ。ごめんね。ヘレーネ。お散歩に行きましょう。そろそろ花が咲き始めるわ。お母様に持っていきましょう。それにはウルガーとあなたのお母さん犬アルミも一緒じゃないとね」
 私の言ってることがわかるのか、ワン、とヘレーネは一声鳴く。
 ヘレーネの母犬は、アルミと言う。夫に当たる犬はヨハネスお父様が飼っている。アルミとヘレーネとウルガーと連れだって散歩に出かけるのが最近の日課となっていた。
「ウルガー。散歩の時間よ」
 カシワの宮に行くとウルガーは難しい顔で書類とにらめっこしていた。
「どうしたの?」
 何時もの如く、仕事に割りいる。ウルガーはさっとその書類を書類の山の下に差し込んだ。疑問符が浮かぶけれど、これ以上悪くなり様はないだろうとその時は気にも留めなかった。それが、私の根幹を揺るがすこととなっているとも思わず・・・。


あとがきというエッセイの勉強区域
なんと、今日で111日。一度途切れて元に戻った。前は101日目で途切れてやっと超したのでプロフィールには202日目となっています。111日目だと合計どうなるのかしら。100で区切ればよかった。計算機出さなくてもわかる計算に戸惑う文系すぎるわたし。計算はいやー。そしてそろそろ再編集版が終わるのです。note用に番号を振り分けた1話ごとになるんです。だから分量も減る。その後には新連載部分。30本ほどあるかしらね。また、続きを書かねば。週末地元のスタバに行って週末朝活するときに執筆します。一本。しかし、座るところはあるのか? 平等院店。天気は持ちそうだけど。お茶の種類が豊富とのことで母達が遊びに行ってる間ストレス発散。お金のやりくりはなんとかなりそうです。ほんと危ない橋渡ってます。キャリア決済をしすぎて爆発した。二度とキャリア決済でタブレットを買うもんか。しかし、海外製のキーボードと日本配列って違うのね。やっと相性のいいキーボードや立てる道具を得て自由になります。問題はタブレットのテキストエディタ。もう、WordはKindle化するとき以外使わないので、テキストエディタがほしいんです。でもアンドロイドに適したものがなくて。海外製が多くてフォローがないとか使わない方がいいとかあって唯一やりやすいやつでやってるんですが、その外部キーボードと結びつけるアプリが危ない。クレジットカードなどの情報が漏れると。あわててアンスとしても消えない。リセットしてやっと評判の悪いエレコム自身のものと自動でつながるものでやりくり。日本語は入るので英字を入れるときがややこしい。切り替えがあるらしいんだけど。アマゾンはKindleのためだけにある。後はアレクサ。しかし、スマホもピクセル8なのでデバイスのセットアップが二重三重になって(ネストハブも反応)電源切ってタブレット同士でコピーしました。虎テレがネストハブしか飛ばないので捨てることはできず……。しかも、住所とか消さないと捨てられない。アレクサは占いばっかり。ついにタロット占いを購入。でも悪い運勢ばかり。エキサイト占いとかよく当たる星座占いはよいんだけど。そういえば、今日、初めてマスカラをつけてみました。カールしなかったんですが、よくわからん。マスカラをすると何が変わるの? 黒でないとと母の言葉。お化粧に詳しい社員さんに今度聞きます。もうちょっとまつげ伸ばさないとね。しかも目に入るから。それを指で拭う私。おかげで今、目の調子が悪いです。まぶたの中が幼い頃かゆすぎて指を突っ込んでかく癖がつき、今でも突っ込めるんですよ。でも、おかげで角膜が傷つく。目薬で修復。でも今、かゆかったのでもう一度目薬いれておきます。タブレットとか2in1でしゃかしゃか打ってビジネスウーマンになりたい。どうもただのぼけーとした人にしかなれない。でも漢字検定の勉強は飛び飛びでもします。週末朝活がんばります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?