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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:風響の守護者と見習い賢者の妹 第四十四話 エターナルマナと恋人達

前話

 散々、花たちの歌を変わる変わるリクエストして歌わせたリリアーナは少々、耳が痛くなってアルシャンドールの家に戻った。
 セイレンも耳が痛い。リリアーナは歌だけだが、セイレンは古木の語りと同時の二つの事を一緒にしていたたため余計痛い。だが、それが特に変わったことだとはセイレンは気付かなかった。王である時はいくつもの仕事を掛け持ち、同時進行していたのだ。同じ状態なので何も感じていなかった。
「涼しい顔をしてるわね。昔からそんな事ができていたの?」
  リリアーナが聞く。余り思い出したくない日々だが、うん、と答えざるを得なかった。リリアーナの前では正直でありたいと、常に思っていた。純真な少女の前ではウソはつきたくなかった。
「そう……。誰しも思い出したくない日はあるわね」
 静かにそう言って手を差し出す。

 ?

 セイレンがきょとんとしていると、鈍いわねっ、と言って手を握る。セイレンはドキドキとして何も言えない。
「それで、プロポーズよくできたわね」
 記憶を思い出したリリアーナは少々気が強い。
「気が強いんじゃなくて少々勝ち気なのよ!」
 そう言ってずんずん歩き出す。途中で放り出されたかと思うとリリアーナはアルシャンドールに抱きついていた。
「ちょっと。抱きつく相手が違うんじゃないの?」
 セイレンは気付くと焼き餅を妬いてそんな言葉を発していた。
「ふぅん」
 そういったリリアーナは輝かんばかりの笑顔をセイレンに向けていた。
「やっと素直になってくれたのね」
「それはこっちの台詞だよ。随分勝ち気になって。僕のリリアーナを返してほしいよ」
「こっちが本当の私よ。今まで殊勝にも明るい天然ボケの妹を演じていたのよ」
 天然ボケは演技だったのか……。可愛かったのに……。
「少女に理想の女の子を押しつけないでよね」
「僕はっ……」
 言い返すにも何もできず沈黙する。アルシャンドールがはいはい、と恋人の会話を止める。
「夫婦げんかは犬も食べないが、本当のケンカになる前に止めておくモノだよ。二人とも」
「お婆ちゃん……」
 リリアーナがうなだれている。何かを隠したくてただ勝ち気になっているとセイレンは気付いた。
「セイレンは察しのいい子だね。リリアーナ。今日はお婆ちゃんと一緒に話をしよう。二人ともエターナルマナを取得した。明日にでも返したいが、リリアーナには私との話が必要だ。もうしばらく、泊まっておいき」

 え?

 二人顔を見あわせた。
「アルシャンドール様! エターナルマナを得たとは本当ですか?」
 身を乗り出してセイレンは聞く。
「そうとも。そうだね。本当のエターナルマナは得てはいないが、一番目の壁は乗り越えた。本当のエターナルマナを得るのも時間の問題だよ。明日もう一度裏庭へ行くかい?」
「はい!」
 二人の賢者の弟子は揃って答えて、アルシャンドールに恋はするもんだねぇ、と言われて真っ赤になった二人だった。


あとがき
一か月ぶりです。いい加減、書き溜めたものも出さないとということでレオ達がもどってきました。星彩は途中で止まっている話数があるのでそれが片付いたら交互にでも出してきます。前後のお話はマガジンをどうぞ。しんどかったのは高血糖のせいと判明しました。最近、好調な血糖値だったので気づかなかったのですが、既定の時間に計ると、限度超えてました。少し経つと収まってきてしんどいのも取れてきたのでこれでやっと更新ができました。魚のひれの付け根の赤いの、もう一匹も発見し、感染か? と考え込んでいるのですが、腹側だけなので判断がつきません。そして元ちゃんはどうやらメスのようです。産卵をしようと水草にしきりに口をつけています。どうも食べているというよりはつけているという動作に見えました。白コリ母ちゃんを思い出せばそうなるのです。なかなか激しいホバリング大会が二水槽で行われてましたがやっと落ち着きました。私も寝よかなと思ってます。クリエイターフェス、タグは入れてるけれど、とくにこれといって企画はない。スピンオフを載せるぐらいで。ユメに一話あるんですよ。課題で書いていて、批評をすっぽかされてそのあと傷つくような言葉を言われ、ライティングから手を引いた代物ですが、作品に罪はない。どこかで見たようなということならばそう言いう経緯です。まぁ。明日にでも発掘してきます。ファイルはあるんで。多少加筆修正が必要かも。字数制限で削ったところを復活させないと。覚えているかははて。ここまで読んでくださってありがとうございました。

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