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【新連載・ロマンス・ファンタジー小説】あなただけを見つめている……。 第一部 クロスロード 第五話 智也と当騎のワンコ

前話

 日史に子犬の扱い方を步夢と優衣が習っている間、智也と当騎は離れまで行って話していた。犬に集中していれば、盗聴もしないだろうと智也が考えたのだ。
「どうした?」
 智也の顔をじっと見つめていた当騎は一つの可能性に行き着いた。
「まさか、命削りすぎたんじゃねーだろうな」
「半分はあっているけれど、半分は正解じゃないよ。末期ガンなんだ。余命はもって一ヶ月。延命措置はやめてホスピス代わりにここにいるんだ。日史もいるからね」
「ガン? それなら俺がすぐ薬を作ってやる。一ヶ月で死ぬな。步夢が泣く」
「いいの? 当騎はそれで。步夢は当騎のものにならないよ?」
「むーはモノじゃない!」
 当騎が詰め寄る。
「わかっているよ。むーって呼ぶんだね。可愛い。あの子犬にもむーって名付ければいいよ」
 狂気めいた事ばかりの智也に当騎が額に手をやる。
「熱は下がったよ。一ヶ月の内半分は、意識不明になるかもしれない。このタイミングで君が来てくれて助かった。用はすんだから、戻ろう。步夢が来る」
「そりゃそうだが……」
 納得いかないまま当騎も智也の後につく。子犬にミルクを懸命にあげている步夢の顔は穏やかだった。この顔を守ってやりたい。心の底からわき上がる思いに当騎は思わず步夢を抱きしめかけて、手を止めた。步夢は今、智也の婚約者だ。智也を差し置いて腕の中に入れるわけには行かない。当騎もまた不器用な愛情表現しかできない少年だった。皆、どこか不器用なのだ。思いやりすぎて変な方向を向いているのだ。
「あ。当騎。この子。すごくおなかがすいていたみたい。哺乳瓶カラになっちゃった」
 無邪気な笑顔を步夢は当騎に向けた。その向日葵の笑顔で今までのすべてが走馬灯のように流れていく。この決断をした步夢はつらかったろう。だが、智也を幸せにしたいのは当騎も同じだ。同じ人間なのだから。
「俺のワンコだ。貸せ」
「もう。おなかいっぱいって言ってるよ?」
「じゃ、げっぷさせた方がいい。誤嚥する」
 当騎は人間の子にげっぷさせるようにさせると、再び、步夢と優衣の手の中に戻す。
「暖めてやれよ。あと、名前もおまえ達で決めろ」
「って。当騎が拾ったワンコだよ。パパじゃない」
「じゃ、步夢と優衣がママだ。俺はこの子が安定するまでいさせてもらう。金が必要ならいくらでも出す。智也。将棋でもしようか」
「ああ。いいね。チェスはどうだい?」
「ちょっと。放っておくの?!」
「ぴぎー!!」
 步夢の手から落ちた子犬が抗議の雄叫びを上げる。
「ごめんごめん。名前何にしようかな? 男の子なの? 女の子なの?」
 步夢の柔らかい優しい声が当騎の耳に聞こえてきた。相変わらず優しいんだな。変わらない步夢にほっとする当騎である。

「女の子、のようだね。名前どうする?」
 日史が優衣と步夢を見る。
「チキ、というのはどうです? 智也の字のちと当騎のきで。字はそうですわね」
 デバイスを弄って優衣が進めていく。
「千輝。千の輝きってどうかしら? あの二人のワンコでもあるし、生きている証ですわ」
「そうね……。二人の犬なんだから、そうよね。千輝にしましょう。ちきちゃ~ん。ミルクの後はトイレですよー」
 近くのティッシュをとって排泄を促す。
「どこでそんな技身につけたの?」
 日史が不思議そうに聞く。
「遠い、遠い昔よ。しくじった。ちょびって名前つければよかった」
 步夢から前世の顔が飛び出す。それが優衣にも日史にも面白く映る。けらけら、二人で笑う。
「なによー。ちょびのどこが悪いのよー」
 完全に普通の少女となっている步夢に日史が優しいまなざしをむける。
「よかったね。当騎が来てくれて」
「日史……」
「主治医なんだから先生と呼ぶこと。何度言ったらわかるの?」
 日史に注意されるが気にしてない。
「日史は日史だもの。大事な仲間よ。仲間を探さないとね。こうも生まれ変わりが出てくるなら」
「ふむ。まずはみんなの所在確認か……。手伝うよ」
「さすが日史先生。できてるわー」
 またも千輝を落として大抗議をうける步夢である。
「ごめ~ん。ママ、そそっかしいの。しっかりしたママはこっちに居るからねー。お散歩できるようになれば一緒に吉野の山を歩こうねー」
 千輝をなでなでして步夢は言う。
 またも、苦しみを抱えている姉に優衣はつらかった。智也の命の宣告を優衣はしっていた。偶然耳にして内緒にしている。せっかくの出会いがもう終わる。当騎が居てくれてよかった。智也の具合は一層悪くなっている。モルヒネをこっそり持ち歩いている。モルヒネを使い出せば命はない。そのうち沈静化して言葉も交わせなくなると言っていた。步夢はこの悲しみを乗り越えられるだろうか。二度も失う悲しみ。優衣は千輝と遊んでいる姉に寄りかかる。
「優衣?」
「姉様大好き」
「せめて名付けた千輝にも言ってあげなさいよ」
 にっこり笑って步夢と千輝を見る。
「千輝ちゃんも大好きですわ。この子譲ってもらえないかしら」
「ちょっと。優衣。飼うつもり?」
「いけません?」
「悪くはないけれど……」
 犬ごと帰れといった身としてはもらえばそのまま居座りそうな気がする。それはそれでうれしいのだが。困る。智也と当騎に挟まれたらどうしたらいいかわからなくなる。
 困った……。
 手の止まった步夢を優衣が見る。
「姉様?」
「ううん。もらえるかどうかは当騎に聞きましょう。拾ったのは当騎だから」
「そうですわね。步夢ママ。もう千輝ちゃんを落とさないでくださいまし」
「わかってる……あ」
「ぴぎー!!!!」
「姉様! 千輝ちゃん痛かったわねー」
 二人できゃいきゃいしているのを日史は優しく眺める。智也の件はきっと乗り越えるだろう。当騎がいるのだから。優衣のために龍一を探す必要がある。彼もまた仲間で優衣のいい人だ。一人だけいないのもかわいそうだ。どうしたものか……。日史は姉妹を見ながら考えあぐねていた。


あとがき
あとがきから有料にしてもとを出してもいいんですが。見るとびっくりでしょうね。もう三十年も前の二次からのオマージュですから。一個、キーヒントが後日の話ででてます。改良すべきか悩む。あと、二日は持つ。
野球の実況すら聞けなくて消音にしてしばらく野球を見てました。その間に打つ。一話できあがりました。この次はややこしい下りです。父を看取ったからこそ書けるシーン。しかし、シーズン7で、やっと決着がつくか。長かった。半分自分の産み直しをした課程を得たシーズン1と2。
あとは湧き出るモノを抑えられれずどこどこ書いたのです。最近はシーズン1の原稿がなくても落ち着くのでもう、役目を果たしているのでしょう。落ち着きどころがわからないですが、みんなひっくるめてまとめようというこの魂胆。異世界に行ったら二次もぶっ飛ぶ。オリジナルワールド。そこまで行くまでお待ちください。そろそろ訳ありも復活の兆し。メモを消しちゃったけれど。毎日執筆病で困ってます。受験勉強~~~~~~。日付越えて寝てます。一日に二話も投稿するのは早すぎるので、引っ込めて明日、水曜日にでるようにします。エッセイの勉強も明日。トラが勝ったけれど、その瞬間はテレビでは見れず、ラジオで聞き取りました。いつもいいところでテレビ終わるのよ。だからホームの時はトラテレで見てます。あるいはサンテレビ。あとはうらぎりものーだ。ファームでミエちゃんのホームラン見たいので今度ファームも見ます。もう、沼につかってる。門ちゃんはいずこへ? タオル買ったのに。輝さんのタオルがほしい。甲子園行きたいよー。金なしだけどね。チケット到底とれない生活になってます。ツケが回ってきております。恐ろしや。除湿でないとこの寝苦しい空気がとれないので困ってます。温度は設定できないので。冷房にしてたらまた湿度が70まで上がりました。慌てて除湿。って、エッセイを書いている。眠気が来てわやってる。こういうときはおとなしく寝ましょう。でも茶が飲みたい。もう一回入れてこようかな。いや、氷水が飲みたい。暑い。真夏になったらどうなるのでしょうか。考えるだけで恐ろしい。続き書きたいけれど、書けるかな? あと三十分で。日付越える決定かも。悶々とするので書くしかないんです。ここで止まって数分。言葉も浮かばないのでここで切ります。ここまで読んでくださってありがとうございました。

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