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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:風響の守護者と見習い賢者の妹 第九話 見習い賢者の妹

前話

「おにーちゃ~ん。おねーちゃ~ん」
 シルフィの作った雲に乗ってまたリリアーナが宮殿に帰ってきた。来ている服装がいつもの可愛らしい服とは違う。
「リリアーナ! シルフィを小さくしろ。宮殿を壊す気か!」
「ごめーん。シルフィまたね」
 雲から降りるとすっと雲から小さな風の精が現れまた消えた。
「やっかいな使い魔だな。どうして風なんだ?」
「知らない。それよりこれ見て。賢者のローブなの。それからこれが……」
「賢者の称号の証ね。きゃっ」
 ユレーネが触れると文字が浮かび上がった。ユレーネがそっと触れる。文字を読み取る。
「アイシャードの弟子……。見習い賢者リリアーナ……?」
「見習い賢者? 傑作だな。二年じゃそりゃ無理だ」
 レオポルトが笑いながら言う。
「いいのー? 妹いじめても。これがあるとないとで天と地の開きがあるってお爺ちゃん言ってたわよ」
「そうなのか?」
 リリアーナとユレーネを見ると肯く。
「老賢者アイシャードの名前があれば通れない国境も通れると聞いてるわ。でも、やっぱり見習い賢者なのね」
 くすり、とユレーネが笑う。
「あとはフロリアンの武器か。ニコ達のもあるのか?」
「さぁ? 私達は身分的に必要とアイシャードが判断したと思うけれどニコやローレライが一緒に行くとは聞いてないはずよ」
「かといっても作る時間はないぞ」
「レオ」
 ニコがレオポルトとユレーネの日常を過ごす部屋に入ってくる。ニコとローレライ達は顔パスだ。
「元炎の国に武器を取りに行ってくる。前から依頼していた。いつもの所だ。今日中に戻ってくる。ローレライを頼む」
「過保護も後々で響くぞ。ローレライはユレーネとリリアーナで女子パーティしてるさ。それにリリアーナはシャリスタン初の舞姫になってもらうからな」
「あ。舞姫の練習二年してない……」
 がーん、とリリアーナが打ちひしがれる。
「腕も大きくなってるから腕輪を新調しなくちゃね。私とローレライはリリアーナの腕輪を見てくるわ。レオポルトとニコはそれぞれなじみの店に行って。フロリアンには私からもよろしく言っていたと伝えてくれたら良いから」
「なら、途中まで一緒に行こう。どうせ元氷の国だろ?」
 舞姫の協会は元氷の国にある。フロリアンの店もそっちの方向だ。
「ありがとう! レオ。大好きよ!」
「あのー。私のお使いじゃないの?」
「どっちも一緒だ。ユレーネが言えばそっちが本当なの」
 レオポルトが言うとぼそり、色ボケしてるわね、とリリアーナが言う。
「何か言ったか?」
「いいえ。お兄様。リリアーナは賢い妹ですわ」
 リリアーナが澄まして言うがなじんでいない。レオポルトは一笑する。
「似合わないからお兄様は辞めておけ。お兄ちゃん。お姉ちゃんでいい。どうせ王妃様もお母さんだろ?」
「うん。やっぱり、妃殿下がいいの?」
 少し不安そうに聞く。多少は周りを見始めたところという事だ。
「今更、妃殿下なんて言えばショックで寝込むぞ。次女とまで言ってるぞ。お前は王妃様の娘だ。氷の国の姫として生きていって良いんだ。生まれが隣の国なだけだ。育てられた環境はこっちなんだからそれでいい」
「うん」
「レオ。腕輪より先に城に連れて行って。リリアーナの不安を取り除かないと」
「そうか。じゃ。氷の国に乗るヤツはバルコニーに行け。イーカムで行く。ニコは馬で行ってこい。じゃ、動くぞ」
 レオポルトがぱん、と手を叩くと一斉に関係者の動きが変わる。そこは王として成長した証だ。自然と人を引きつける才能があった。

 見習い賢者、リリアーナの活躍はどこで見られるのだろうか。それを楽しみにイーカムに乗るレオポルトであった。


あとがき

ストックの半分きちゃいましたね。今は「緑の魔法と恋の奇跡」の方に取りかかっていたのですが、あと一話で十話目なので、終わればこちらに変わります。やっぱり、こっちがメインだし。NOVEL DAYSこそっと1話ずつ更新したのですが、誰が読むやら。活動報告してないので。論文を入れようとして今のメモリに入っていないことに気づく馬鹿。あとで入れ直しておきます。やっぱり入れてなかったのね、と。

そして、今日も眠い。昨夜、こそっとイブを飲んで一日二回を三回にしちゃったので、眠いです。痛すぎて。昨日はエッセイの勉強が書けませんでした。ネタが無くて。ログノートも大したこと書いてないです。整理すべき事はなくて、ああ、私、この人のこと嫌いなんだ、と改めて思っただけで。できるだけ、穏便にとしてますが。

で、この話は延々と旅立ちまで時間があります。なんでこうなったのやら。
それでは「影の騎士真珠の姫」のラスト二話の手前を更新してきます。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

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