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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:星彩の運命と情熱 第六話 本当の旅立ち。フィオナが先ってどういうこと?!

前話

「リアナ。起きてる?」
 隣のベッドで寝ているリアナにフィオナが声をかける。うん、と小さな声が返ってくる。
「明日だね」
「うん」
「やっぱ、やめる?」
 しばらくの間があった。
「行く。私には運命の人がいるんだもの。会いたいわ」
「それだけなの?」
 そうね、と答えが返ってくる。
「私にしか出来ない事らしいから、やれるならやるわ」
「そう。それじゃ、お休み」
「お休み」
 フィオナはすっと眠りに落ちていったが、リアナの心は千々に乱れていた。会いたい、でも世界なんて救えるの? そういう想いがわき上がる。だけど、王宮で聞いたあの暖かい声の持ち主に会いたかった。まるで故郷の母のような存在に思えた。あの人に聞きたかった。どうして自分が選ばれたのか、と。普通の魔法使いの家の子がどうして、と。リアナは未だ、自分が選ばれたことが信じられなかった。シェイラはどうやってこの王都からあの田舎の家までたどり着けたのだろうか。
 色々考えていると頭が冴えてくる。そっと起き上がって窓の外を見る。王都に荒廃はない。夜でも夜専門の市場が灯りをともしている。部屋を出てシェイラの家から見える空を見上げる。王宮の天井に張り巡らされた星々。手に届きそうだった。運命の人ともそんな風に出会えるのだろうか。
「それはあなた次第よ。リアナ」
「シェイラさん」
「眠れないのね。あなたの心の惑いが伝わってきたわ。とりあえず、行くだけ行ってだめなら帰ってきなさい」
「帰ってきていいんですか?!」
 リアナは驚愕に満ちた表情を浮かべていた。暗闇でわからないが。
「無理だという理由はないわ。一度は外へ出るべきよ。そこで何を感じ、何を思うかはあなた次第。その結果の行動なら仕方ないわね」
「私が感じたままの行動でいいんですね」
 少しリアナの声に力が戻ってきていた。
「さぁ。いい子は眠る時間よ」
「いい子じゃないです」
「寝不足で旅立てば行き倒れますよ」
「はぁい」
 不承不承の返事を返してリアナはまた部屋に戻っていく。
「酷な事を言ったわね。グレートマザーが導いてくれるといいけれど」
 シェイラはそっとため息をついて己の役目の事を考え込み始めたのだった。
 
 翌日、安いがなんとかやって行けそうな装備をつけてリアナとフィオナは城郭の外にいた。見送りはシェイラ一人。そこに少年がやってくる。
「マルコ! あなたはこの使命に関わることを禁じられてるはずですよ」
「あなたは……」
「おや。僕の姫君でない子はわかるみたいだね」
 少年は健康そうな笑顔を見せる。フィオナはぼーっと見つめている。ベルが勝手に出てきてその少年の肩に乗る。
「女の子二人は危ないよ。傭兵として一緒について行ってもいい? フィオナ」
「って、なんで私じゃないのっ」
 リアナが突っ込む。王宮の暗がりにいた王子らしき人の気配とマルコの気配は一緒だった。マルコは無視する。
「僕の運命の相手はきっと君だ。さぁ。姫。僕を一緒に連れて行って」
「って……」
 フィオナがうろたえている。
「念願の王子様よ。どーして私より先なのよっ」
 リアナの反応と少年の言葉からどうやら本当に玉の輿に乗りかかっているとフィオナがようやく理解する。ちらっとリアナを見る。
「はいはい。好きにして。その代わりいちゃつかないでよ」
「ありがとう。リアナ!」
 フィオナがリアナに抱きつく。
「抱きつく相手が違う!」
 そうだったとリアナから離れてマルコに抱きつこうとしてシェイラに止められる。
「いちゃつかない約束でしょう?」
 予定が狂って鬼の形相をその綺麗な笑顔の下に隠しているとわかったフィオナは気をつけの立ち位置になる。
「シェイラ。それぐらいで目くじらたてないで」
 シェイラを軽く抱くとフィオナを腕の中に確保する。
「マルコ! フィオナ! 行くわよ!」
 ずんずんリアナが歩き出す。マルコの腕の中から出るとフィオナはリアナを追いかける。
「振られましたわね」
「面白そうに言わないで。フィオナー。リアナー」
 シェイラにそう言って二人を追いかけ始める。シェイラは南の国のアルカナ遺跡を目指すように言っておいた。そこでリアナは改めて自分の事を知るのだ。本当に帰ってくるかもしれない。だが、あの子の強さに賭けた。
 シェイラはいつまでも三人を見送っていた


あとがき
すみません。「煌星の使命と運命の絆~星の恋人達」にこの話の画像貼ってました。修正しました。これは第一段階いくだけで相当な話数を割きました。今日は「影の騎士真珠の姫」より先ですけど、通常はそちらが優先です。

そろそろいろいろなメインが終わるので執筆に行きたいところですが、不調気味でして。スランプと言うほどでもなく、精神的にどうも昨日からおかしい。イライラするし。落ち着かないし。原因は大方わかってるんですが、乗り切るしかない。それを乗り切ったらきっと大丈夫。

とにかく、クーリッシュ食べて(飲んで)少し楽になりました。クーリッシュ禁止令がでまして。こそっと安売りしていたので買って先ほど食べて満足。座骨神経痛も思うように動きが取れないのがきっとイライラの原因なんでしょうねぇ。
この後、連チャンで「影の騎士真珠の姫」更新します。あとは、執筆か寝るか水替えか漢検かというところですが、どれもしなさそう。「煌星の使命と運命の絆~星の恋人達」は次の行き先決めて道中に出会う人物やらいろいろ決めたのですが、なぜか上手くイメージできない。またChatGPTさんに書いている間にプロットになるんでしょうね。結局使わないという。

さて、ゆっくり昨日の余波を取るために段取りつけてきますか。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

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