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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:星彩の運命と情熱 第五話 王宮へ。星が瞬いてる?!

前話

 たらふく胃を満たしたリオナは服がきつくて気がどこかへとんで行きそうだった。それでもフィオナが貴族のぼっちゃんを探しにさ迷わないように袖の裾をしっかり持っている。
「ちょっと。リオナ。いくら私でも王宮をさ迷わないわよ」
「その言葉がホントならね」
「もう。ベル。リオナの手を噛んじゃいなさい」
 みゃう、と現れたベルは噛むどころかペロペロとリオナの手を舐めて親愛の情を示す。
「嫌い嫌いも好きのうち、だもんねー。ベル」
「むぅ」
 フィオナが頬を膨らませているとシェイラが静かな声で一喝する。
「ごめんなさーい」
「よろしい。さぁ、謁見の間ですよ」
 リオナは緊張でつばを飲み込む。体中が固まる。フィオナも多少緊張しているようだ。扉の前の衛兵にシェイラが告げると扉が開く。
 そこは、予想外の場所だった。
「暗いから転ばないようにしなさい」
「暗い?」
 一歩足を踏み入れた底は薄暗く、シェイラの言うとおりに頭上を見上げれば本当の空のように星が瞬いて見えた。
「ほ、星?!」
「に見えるように魔術がかかっているのですよ。ほら。テオドリック王様よ」
「あ、す、済みません。無作法に振る舞って」
 リオナがすぐ跪く。フィオナも慌ててリオナの真似をする。なのに、ベルがとっとっとと、ある方向に行く。
「べ、ベル。戻りなさい」
 小さな声で二人は言うが、ベルはある人物の腕からよじ登って肩に止まる。
「ベル、というのか?」
「は、はい」
「そうか。ベル。主人の下へお帰り」
 柔らかい声が聞こえたかと思うとベルはフィオナの肩に登った。
「す、すみません!」
「いいよ。また、会おう」
 そう言って気配が消えた。
 
 ?
 
 リオナは今の気配に引っかかるものがあった。だが、当の本人はもういない。代わりに野太い声が降りてきた。
「リオナとフィオナか?」
「は、はいっ」
 もう、小市民は平に~平に~である。
「そんなにおびえずとも良い。ここにリオナに託する証明書がある。自分で取りに来なさい」
「じ、自分で?!」
 反射的に顔を上げると薄く発光した冊子があった。
「これはエレメントが込められた冊子。お前達の役に立つだろう。すべてのエレメントを使いこなせるのはそなた達だと聞いてる。仲間を集め、癒やしの雨を降らせよ」
「い、癒やし?」
 フィオナには寝耳に水である。
「はい」
 逆にリオナは開き直ったのか力強い言葉で答える。
「こちらに。リオナ、フィオナ」
「って!」
「行くわよ。フィオナ」
 目の据わったリオナがフィオナの手を取る。リオナが許可証に触れた途端、周りが輝いた。星が降り注ぎ、中から柔らかい声が聞こえてくる。
 
『少女が癒やしの雨を降らします。全てを癒やすでしょう』

 まるで母のような優しい温かな声が二人を包む。
 
「誰?」
 リオナは声の主に聞く。
『いずれ出会えます。あなたたちを見守るエレメントとして』
「そう。では、いずれまた」
『ええ』

 降り注ぐ星が止まった。いつしか二人は普通の王宮の謁見の間に立っていた。
「あれ? 天井が……」
「グレートマザーがあなた達を祝福して星を瞬かせたのです。もう普通の王宮ですよ」
「普通って!!」
 王宮に普通も異常もない。天下の王様の居場所だ。
「この世界はこの国だけではありません。それぞれの国や土地を巡るのがあなた達の使命。がんばっていってらっしゃい」
「いってらっしゃい、って」
 フィオナはがっくりしてる。ここで本当に王子様と結婚するつもりだったのだろうか。
「ほら、お礼を言わないと」
 リオナが袖を引っ張る。わかってるわよっと怒鳴ろうとして目の前に王が座っていることに腰を抜かしかける。こんなに近いだなんて。
「あ、ありがとうございました」
 二人とも冊子を手に高座から降りる。一般人が高座に立つなど処刑ものだ。
「さぁ、今日は私の家にひと晩泊まれば、明日こそ本当の旅立ちですよ。王よ。ご助力感謝いたします。私達はここで」
「うむ。よき旅を」
「あ。はい!」
 精一杯頑張ってます、の表情でリオナが答える。それが面白いシェイラである。あれだけ世界を救うことに嫌悪を抱いてたのに、いつの間にかそれらしくなっている。あとはこれからの事だ。どこの方角に行かせるか。あの少年もくっついてくるようだ。好奇心旺盛も困ったものだ。
「シェイラさん?」
 リオナが名を呼ぶ。
「さぁ。美味しい夕食を作りましょう」
「イエーイ! ご飯だー!」
「リオナは変わらないわね」
「何を~!」
 旅の前日はまだまだ賑やかだった。


あとがき

ん? この人誰だっけ? と原稿を見て一瞬忘れていましたが、思い出しました。よかった。物忘れが激しいです。まだ中継してくれるんだろうか。あと七分。とサトテルが打った。
と。暑くなってきた。また窓締めて復習あんど、執筆のゆっくりした時間を過ごします。まずは部首を覚えよう。今更? ですが。

羽柴史莉と名前を変えてみました。意味合いはないです。吉凶のみの判断です。前はキャラの名前とか由来がありましたが。

羽柴叶音でも良かったはずなのに調べ直したら凶がはいってました。芳野亜衣も。どれも凶が入っていてしかも人に恵まれないという所でした。このフォロワー一桁というのがそうだとしたらヤバいので変えました。

フォローしたい方がいない。されても、返せる相手じゃない。

とぼやいても終わらないので、更新しておきます。

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