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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:影の騎士真珠の姫第二話 奇妙な星詠み

前話

「可愛い子猫ちゃんだったわね。エルフィ。さぁ、美味しいごはんを食べていらっしゃい。私はカタリーナやお父様達と朝食を頂いてくるわ」
 朝一番の散歩の後はいつもの嫌な朝食の場のフィーネペルルである。両親は深い愛情を持ち、両親に先立たれれた従姉妹姫のカタリーナとの朝食の場は、いつも、自分が一人きりと感じる場だった。三人の親切な愛情を感じれば感じるほど異端だと感じる。先ほど、子猫を助けたのは反射的だったが、これを他の者に見られば処刑場へ一直線だ。
 
 あの騎士が黙ってくれているといいけれど。
 
「おはようございます。お父様、お母様、カタリーナ」
「今日もいい顔をしてるわね。フィーネ」
 王妃の母が言う。顔色はいいけれど、内心はよくはない。考えれば考えるほど先ほどの泉での出来事が大事のように思えてきた。心は上の空だ。
「あら。フィーネ。いい殿方とでも出会ったの?」
 カタリーナが問いかける。
「ま、まさか。いつものエルフィの散歩だけよ」
「あら。顔が赤いわね。でも、それ以上の詮索は辞めておきましょう。フィーネの心が浮き立つようなことがある方が母も父も嬉しいですからね」
「どこの馬の骨とも知らぬ男に嫁いでも知りませんよ?」
 フィーネペルルはふくれっ面をしながら椅子に腰掛ける。目の前にはそこそこ贅沢な食事がある。王家の体面も保たなければいけない。庶民とまったく同じ食事を取れば権威は失墜する。そうであってもいいけれど。この国を守ることも王家の使命だ。
「ああ。フィーネ。今日は昼から新しく雇った騎士と正式に会う。お前も会えば良い。なかなか骨のある騎士だ」
「どうして。私が?」
 フィーネペルルは不思議そうな顔をする。
「そうすれば良いと昨夜の占いの星詠みがあったのだ。この王家の変革に重要だ、と。お前の殿方かもしれぬな」
「あら。お父様。嫁げば、王位継承者がいなくなりますよ?」
「そうなればカタリーナがいる。お前は自由に暮らせば良い。その苦しみはもう終わって良いのだ」
「お父様?」
 国王である父のつぶやきがちな言葉にフィーネペルルはいぶかしむ。
「よい。たわいのない一人言だ。さぁ。料理が冷めてしまう。食べよう」
「はい」
 いつも、心地悪い朝食の場であったが、フィーネペルルの脳裏にはあの子猫と取っ組み合っていた騎士の顔が浮かんでいた。
 
 あの方、何という名前だったのかしら。
 
 そんなことをつらつら思いながら食事の時間は過ぎていった。


あとがき

なんだか最初の頃の書き方と今、書いている書き方が違うような……。こんなにフィーネの心の中を書いていたかしら、と。しかし、暴走姫は変わらない。二つ目の山場にさしかかっています。昨日から冷房病にかかりながら、書き続けるか寝るか。腹痛でろくに寝れなくて書いてました。あとで、見直そうっと。

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