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【新・ロマンス・ファンタジー小説】あなただけを見つめている……。 第一部 クロスロード プロローグ 步夢と当騎、初めてクロスした道

「ちょっと、歩くの速い!」
 少女の声が当騎の背中にかかった。どきり、とする。誰よりも最初に愛した妻の声と似ていたからだ。
「あゆ?」
 どんな顔をすればいいだろうかと当騎は思いながら振り向く。
「アユム。どういうわけか男の子のような名前なの。髪も長くないし……」
「あ、アユム。俺、これからヒコーキに乗って……」
「その便に私も乗るのよ」
 ふふん、と自慢げな步夢にまさか、とまた顔を真っ青にする。
「お前! 数学最悪だったじゃないか」
「英才教育のたまものよ。漢字覚える前に数字の本持ってたって」
 当騎は数学の国際大会に出場するために今から日本を発つ。それにアユム、いや、あゆがでるって?!
 当騎はまじまじと步夢の顔を見つめる。
「見せようか? 満点テスト用紙を。もう飛び級してるわよ」
 と、そのときに搭乗を告げるアナウンスが聞こえる。
「やべ! 乗り遅れる!」
 步夢の手を引いて当騎は走る。
 
 相変わらずね。少し、悲しい気持ちで步夢は思う。步夢にはもう財閥を保つために婚約者がいた。当騎とは一緒になれない。せめて最後のフライトと思って強引に来た。あとから警備のスタッフやらが慌ててくるだろう。
 步夢はまた吉野財閥に生まれた。もう当主だ。相手も決まってる。智盛の記憶を持つ青年。魂は当騎が受け継いでいるが、智盛の記憶だけ剥がれて別の男性に宿ってしまった。どちらもソウルメイトには違いない。そして步夢は当騎と別れる決意をした。今、財閥は不穏な空気で満ちている。危ない事に巻き込みたくなかった。今回は自分が当主で姫巫女だ。日本で影の人物となり、ああだこうだと指示するのだ。そして、神事を司り、歴史の記録者である。ここまでいらないことが付随していると前世で真が別れを切り出したのもわかる気がする。今度は自分が彼を傷つけるのだ。步夢は当騎の背中を忘れないように涙でぼやける視界をしっかり見開いた。
「あなただけ見つめていた……」
「何か言ったか? すいませーん。乗りますー」
 当騎は步夢のスーツケースをひょいと持つと預ける。そのまま飛行機の中にダッシュだ。
「そっちじゃなくて、こっち」
 步夢はファーストクラスの方に手を引く。
「俺、エコノミーだけど」
「いいの。大盤振る舞いしたいから」
 步夢の言葉に当騎は眉をひそめる。
「步夢? って言いにくいな。何かニックネームはないのか?」
「むー、でいいよ。みんなそう呼ぶから」
「猫みたいな名前だな」
 嘘だ。皆、姫巫女様としか呼ばない。数学を教えてくれた父は数年前事故で亡くなった。今世では姉だった紗羅耶が母だ。母は今、病院で昏睡状態だ。一緒に事故に遭ったのだ。その母を心配していたが、当騎との最後のデート。最初で最後のデート。姉であり、母である紗世ならば行ってこいと言うだろう。また、お節介妹の優衣がしっかり母のそばに居てくれる。それも、ずっと妹で過ごしてきてくれた娘だ。一度姉の時もあった。長い歴史の中でたびたび出会い、恋をし、人生とともにしてきた仲間達。人間関係がごちゃごちゃだ。

 今世は彼らの出番がありませんように。

 切ない心で步夢は祈る。ふと涙がこぼれそうになって空いた手で拳を作ってぐいっと拭う。
「むー?」
「ここよ。ゆっくりすごして」
「これ。VIPルームだろ。また吉野か」
「まぁね。今世の私はお利口さんだから覚悟してね」
 拳銃で撃つまねをすると関西人ばりばりの当騎はやられた、といって倒れるマネをする。それをやいやいからかう步夢。

 今世、初めてクロスした二人の道は重なるだろうか。步夢の思惑通りに離れていくのだろうか。それには少々お邪魔虫が多すぎるのだった。


あとがき
果たしてオマージュとしてできるでしょうか。書いたものの方向性はまだまだ未知。訳ありが執筆可能になるまではいろんな話を書いてリハビリ。受験勉強もおろそかだし、この長期間没落してたし、別のところに没入してたし(←エッセイの勉強参照)。やっと日常に戻ってきました。フォロワー作るために営業も視野に入れてますが、つぶやきだけの方多くて。記事書いてない方はご遠慮ください。あと、有料ばかりも。ロム専門の方は除外です。お申し付けください。傷ついているところなのでやたらと言葉が丁寧なんですが、お気になさらず。誠意を持っても理解してもらえなかったのがこっちででてます。もう、ほぼ、吹っ切りましたけどね。人生の仕切り直しをしているところですので、ちょうどよかったです。頭かすめますけどね。当該ファイルともにメールも捨てました。持ってるだけで厭わしい。一作だけではだめなんですよ。構成的に。なのに、二作目は拒否されました。ファイル持ってても嫌気がさすのであっけなくゴミ箱。そしてゴミ箱カラにしました。
まだ完全抹消ではないですが、そのためにソフト入れる気もなく。これから短めの話を量産していきます。訳ありちょいと横置き。エッセイの勉強のテンプレートも作り直そうかな。創造的な事をしてるとテンションあがる。おでかけにツキがありそうなので時間ができたら人間観察にスーパーに行ってきます。また一口羊羹食べまくり。抹茶がないのが惜しい。よく当る星座占いが一位だった。いいことありそう。今日も一日つつがなく過ごせますように。ここまで読んでくださってありがとうございました。

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