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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:魔法の遺産~運命の紡ぎ手~ 第七話 母から授けられた魔法

前話

 仕事に行かなきゃ! 
 
 セリーナはがばりと起き上がった。が、それは失望に取って代わった。あの夢の時間はもう終わったのだ、と。落ち込んでぐすぐす言っていると急に母、レイナが入ってきた。
「お、お母様! まだ服を着替えてないのに。ごめんなさい。寝坊したのね」
 慌てて取り繕うセリーナのベッドの脇にレイナは座ってセリーナの頭を引き寄せる。
「そんなに格式張る必要はないのよ。ここは政治の舞台ではないのだから。寂しいのね。仕事がなくなって。でも、そんな事もすぐに言っていられなくなりますよ。旅立つ用意をしないと。魔法を一つ授けましょう。エーテル・リフレクションという大事な人を護る防御の魔法よ。習得するには難しいですが、この王冠を頭に載せて何度か使っていけば、自分の魔法になります」
 レイナの両手にはいつの間にか小ぶりな王冠が載っていた。
「旅するのに王冠かぶるの? お母様」
 びっくりしている娘に母は少し笑う。
「魔法の鞄を上げるからそれに入れなさい。エーテル・リフレクションを使うときだけ出せばいいのです。魔力を強めてくれるわ。あとの装備はしばらく作らせているから、レイスとしばらくゆっくりなさい。そう言う時間が失ったものを思い出せるかもしれませんが。姉の式の用意でも見てなさい」
「お母様……」
 セリーナはぐす、と鼻を鳴らす。それでも涙をこらえる。
「そう。それでいいのですよ。王女はみだりに泣かないものです。あなたには王女の矜持がしっかりと備わっているのですね。楽しみだわ。さ。さっと着替えて朝食を頂きなさい。料理長があなたの好物をたくさん作ってくれているわ」
「そんな……。ダイエットしてるの知ってるのに~」
 好物とあらば食べるしかない。だが、年頃の乙女としては体重も気になる。
「あなたには減量なんていりませんよ。元気いっぱいでいなさい。それがあなたの強み。さぁ、着替えて食卓に来なさい。母は先に行って待っていますから」
「え」
 セリーナのびっくりした声はレイナが扉を閉めたことで聞こえなかった。母はいつも同じ時間に食事を取る。誰が何をしても。それが食べてないなんて……。何かあったの? 
 セリーナは不安に思いながらドレスに着替える。それも朝食が終わればまた違う服だ。一日に何回も着替えるのは苦痛だが、ある意味慣れてしまった。あの図書館で同じ姿でずっといられるのが楽だった。楽を知ると苦がつらくなる。だが、自分は母をお手本に生きて行くのだ、と思い直して顔を上げる。鏡で顔を見る。泣いていた性で少し瞼がはれている。あとで冷やせば治るだろう。そんな事を考えながら簡単に無礼のない程度に髪を整える。それから食卓に飛び出す。途中、誰かにぶつかった。
「ごめんなさい! ってレイスか~」
「なんだ。セリーナか。どこへ行くんだ。そんなドレス着て」
「朝ご飯よ。王族は何回も着替えないと行けないの。不経済なことにね」
 へぇ~、とレイスは興味深く見る。
「な、何よ」
「馬子にも衣装、だな」
「なんですってー!!」
 とっつかみあいのケンカをけしかけようとしてはたと止まる。
 
 私、こんなことしたことないわ。何が変わったの?
 
 知らず知らずのうちに両手で自分を抱きしめる。
「セリーナ?」
 レイスが異変を感じて様子を見る。それを打ち消すように首を振って笑う。
「なんでもないわ。ただ、ちょっとびっくりしただけ」
「何に?」
「秘密。いけない。お母様を置いたままだわ。レイスまたね」
 そう言うとセリーナは走ってるけれど歩いているというぐらいの速度で食卓の間に急ぐ。とんでもない速さにレイスはぽかんと、口をあけて眺めていた。
 
 この王家の人間は変わった人間が多いようだ。
 
 レイスは複雑な女王一家を分析しては楽しんでいた。


あとがき
六時間以上寝ると眠いという変な習慣を持ってしまった。はやく寝ることに越したことないけれど、起きてもまた眠くなる。今も睡魔と闘ってます。お昼のパワーナップでは時折意識が飛んでました。パソコンチェアーが回転しかけて起きるんです。二十分間でそれが何度か。
先ほど昨日の続きを書いてさぁ、次書こうと思っても頭が働かない。あら? 寝る前に二錠飲む薬を一錠のんだ? 一瞬、とんでもない事に思い当たる。あれ、そうとう眠いんです。最大量ですから。夕方五時までは何をしてもいい休憩時間。一日のスケジュール、朝活、昼活、夜活にわけてスケジュール立てれば簡単だった。今までの苦労は何? 冊子には今回はしてません。いつも見られるようにとしていたのですが、面倒くさくなって。片面大文字印刷して一つ穴開けてフックに吊り下げています。ストレッチも改めて朝とかバランスを失っている場合とかいろいろ聞いて印刷しました。
フォロバの事で気になる出来事はありましたが、フォローする前に固定記事見てください(泣)です。

余りにも眠いため、あとがきはこの辺で。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

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