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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子第十二話 銀糸の舞姫と老賢者

前話

「レオヴァルトー! リリアーナー!! デートのお時間よー」
 ユレーネが姫らしからぬドでかい声で叫ぶ。
 扉がばん、と開く。
「おねえちゃん!」
 アデーレが飛び出してくる。開けたのはレオポルトらしいが、その後ろから強引に出てきたようだ。
「リリアーナ!」
 女の子同士でひしと抱き合う。その光景を呆れて見るレオポルトと微笑みながら見ている少女がいた。
「その子か? ニコ一筋は」
 ようやくアデーレとの抱擁が終わったユレーネがレオポルトの視線を受ける。
「ええ。ローレライという子よ。銀糸の髪の毛が綺麗でしょう? 私は黒髪だから憧れるわ」
「黒髪でも銀糸でもかわらん。そろそろカールがニコを連れてくるだろう。レナも一緒だな?」
 ユレーネの後ろで控えめに立っているレナを目に留めて言う。
「素敵ね。一目惚れですって?」
「お前が、余計な伝言を頼んだばっかりに捕まった可哀想な侍女だ。カールは女には弱いからな。ぶんどられないようしっかり捕まえておけ」
「ぶんどられって尻軽男なの?」
「尻軽とは心外ですよ。ユレーネ様」
 一同の視線がカールに集まる。どこへ行っても洒落た登場の仕方だ。
「ニコはカールを見習うなよ」
「そうか? レオヴァルトは堅実なんだな。もっと情熱的な男だと思っていたが……」
「情熱は持っているが、使う場所をわきまえているんでね」
「なにそれ。ひどーい」
 ユレーネが頬を膨らませる。
「俺は父上と同じじゃないって事だけは確かだ」
 それだけ言うと歩き出す。アデーレが走って背中を追いかける。その後ろからユレーネが声をかける。
「どこ行くか知ってるの?」
 ぴたり、とレオポルトオの足が止まる。
「知らん」
 不機嫌な声で一言言ってユレーネを見る。
「本当に仕事一筋なのね。国が気になってしょうがないのね。大丈夫よ。悪い知らせは入ってきてないから」
「どうしてわかるんだ?」
「行きましょ」
 レオポルトの問いには答えず、ユレーネが歩き出す。その後ろをまた追いかけ始めるアデーレである。
「おい」
「レオ、何も言わず着いて行った方がいいようだぞ」
 ニコが声をかける。あえて、レオと呼んでいる。もう駆け引きは始まっているのだ。この平和そうな世界に亀裂が生じ始めていることをレオポルトは痛いほど認識していた。

「こっちは舞の練習場じゃないか」
「そこを通り過ぎて行くのよ」
「どこへ行くんだ?」
 相変わらず不機嫌そうにレオポルトが聞く。
「不機嫌ね。それが一掃される所に行くのよ」
 そう言ってレオポルトの手を握る。
「ユレーネ!」
「何? デートでしょ?」
「あ、ああ……」
 女の子と手を握ったこともないレオポルトとしては驚愕の行動だが、ユレーネはそれがしたかったらしい。満足げな表情だ。
「確かに。デートだったな」
 きゅっと握り返してやる。ユレーネが嬉しそうにレオポルトを見る。
「な、なんだ」
「ありがと」
 そう言って頬にキスする。
「ユレーネ!」
「あ。着いたわよ。ローレライのお爺ちゃんでこの国一番の老賢者、アイシャードの家よ」
「ユレーネか? お入り」
 どこからか声がする。老賢者とあって声は年老いている。
「お爺ちゃん! 今日はお婿さんを連れてきたわよ」
「お婿さんって……」
「つべこべ言わないの。アドルフに対抗できる人の一人なんだから」
 ユレーネが言うと、レオポルトは目を見開く。ユレーネはデートの名目でこの国で隠しておきたかった存在の一人と結びつけてくれる所だったのだ。
「ごめん」
 消沈した様子で謝罪するレオポルトの背中をニコがばしっ、と叩く。
「女房の尻に敷かれたままか?」
「ニコ!」
「さぁ、行こう。ローレライ、案内してくれ」
「ええ。ニコ様」
 ローレライを先頭に幾重にも幻がかかった庵にレオポルト達は入っていったのだった。


あとがき

月曜日から足が曲がらないという品出しには致命的な状態でして、月曜日寝れば治ると信じていたのに起きても曲がらない。筋肉が痛むのですが、筋肉痛というか筋がおかしい。ので、欠勤して椅子に座ってぽちぽち続きを昨日から書いてました。膝は曲がるのですが、正座に近い体制になると強烈な痛みが。痛み止めで歩けるようになったとたんのこの状態。泣きたいくらいです。でも、今日一日湿布と眠りでかなり復活。かなりしゃがめるようになれました。

朝は激痛でしたが。魚のご飯に下にしゃがまないといけないベタの水槽。横座りとかでこなしながら結局欠勤の電話も時間過ぎてからになって、一日憂鬱です。阪神が勝っただけでも朗報。明日こそ、と湿布張り替え、寝る用意。お腹空いてるんですけどね。

もしかしたらうどんでも食べてまた執筆を一時間ぐらいはしてるかも。本ネームの方も進めないと。

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